BLノベル
『ニライカナイ
~永遠の道連れ~』
(2014)
高岡ミズミ/花丸BLACK
/斑目ヒロ
(『ニライカナイ~永遠の道連れ~』(2014)高岡ミズミ/斑目ヒロ/白泉社花丸ブラック文庫、表紙より)
◆これはもう、まずは表紙買いでしょう。でも中身の挿絵、すっごい癖強くてびっくりした〜けど斑目先生の絵、合ってるわ。ちょっと怖い描写もあるから癖がすごいこの絵が、しっかりハマってます。たま(水虎)にかっこよく体重をかけている伊織の絵ですが、たまに寄りかかれるのは伊織だけなんだろうなぁ・・・と妄想中です。
でもこれ、1ページ目のカラーイラストが凄すぎてびっくり!!!これは衝撃!!!斑目先生、やりよった。何しろ表紙に巻き込まれてたからこのイラストに気付かないまま読み進め・・・・読み終わってから気づいたんですけど。それが良かった。もしこのブログから『ニライカナイ』読む方がいらっしゃいましたら、1ページめのカラーイラストは見ずに全て読んでから、最後にカラーを見ることをおすすめします。その方がぐっとくると思いますよ。(この1巻は、この通り表紙が「綺麗」で、1ページめのカラーイラストがかなりドギツいですが、2巻の方は、カラーイラストが「綺麗」で、表紙は癖のある感じになってますね。この物語の、「強さ」や「美しさ」と、「苦しさ」や「恐怖」のように清濁併せ持つ感じを表しているかのようです。)
何度も言うけどすげー!!これ画像載せたいけど、実物を見て「おおっ」てなった方が良いと思うから載せませんが。阿鼻叫喚してます。この稲川淳二も逃げ出しそう(そんなことないと思うけど)なダークネスについて誰かと語り合いたいわー。さすが「花丸ブラック」文庫!!ブラック!!って感じです。ちなみに私、「花丸ブラック」初なんです。これで「花丸ブラック」処女、喪失しました。
◆ニライカナイって・・・居酒屋じゃんって思ったのでまずはその意味を載せておきますね「遥か遠い東(辰巳の方角)の海の彼方、または海の底、地の底にあるとされる異界。」のことだそうです。
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◆あらすじ
祖父の残した骨董屋を継いだ伊織(受)は、たまに舞い込む曰くつきの骨董を断り切れずに浄化しては体をやられていた。何年か前に河原で拾った壺から現れた水虎(たま)が浄化を助けてくれるようになり、体へ受ける負担が減ったが、油断して関わらなくても良い事件に首を突っ込むこととなる。しかも1回死ぬ。
◆伊織の目の下にもホクロが。
表紙見てなんとなく気づいてたけどね!
でもすっかり忘れて、ホクロ描写が出てきたときは、おお!!なりました。
全ての受けくんにホクロがあるわけではなさそうですが、ホクロあると嬉しくなります。
先生の作品でホクロのある受けを無意識に探してるくらいですからね。無いときは無いで良いんですけどね。
◆本筋のネタバレ
もうね、これは・・・愛の物語です。
久方ぶりに釜爺が出て来ましたよ。
「愛だ、愛!(←釜爺)」
まさかそういう話だったとは・・・ほとんど誰も読んでない記事だから、堂々とネタバレしちゃいますが。
これは、主人公が事件に首を突っ込んであっけなく一旦、死んじゃうんですけど、どうやってまた2人一緒にいられるかなーってんで、何度も何度も・・・百回くらい閻魔様に試練を繰り出され、それでも俺達を離れ離れにすることは出来ないんだー!!!!いんだー!いんだー!!ぃんだー(エコーかかってます)っていう物語です。この本の半分くらい(たぶん)はループしてます。
◆p33「外国の血が混じっているという話は聞いてないな。確か、純潔の狸だ」
(『ニライカナイ~永遠の道連れ~』(2014)高岡ミズミ/斑目ヒロ/白泉社花丸ブラック文庫より)
伊織とたまが、またまた観ていたテレビに出てきたアイドルの男。狸・・・どっかで見たかも?と思いましたが、「橘かおる」先生の作品とのコラボのようです。探してみましたが・・・これで良いのかな?これは・・・私のタイプ的に読むどうか迷いますが、すっごく明るい話のようなので気になる・・・エニマルでアイドルでエロス有って・・・どんなだろう。レビュー読んでも気にはなる。
◆p115~p116
「――また飲みすぎたのか。」
(『ニライカナイ~永遠の道連れ~』(2014)高岡ミズミ/斑目ヒロ/白泉社花丸ブラック文庫より)
たまと離れ離れになって、たまのことを忘れてしまう伊織。でもこれは夢の中なのか、昔の記憶なのか・・・。
もう死んでしまったから、たまには会えないのに。2人でまったりしている温かい記憶として蘇ってくるところが凄く胸に突き刺さります。この台詞というか、このシーン全体的に凄く良いです。なぜなのか。
この辺、ええ・・・何が起こってるの??って凄く続きが気になるんで、読み始めたら止まりませんよこの話は。
まるで麻薬に侵された和孝が、久遠さんとの甘い日々を思い出しているところのようで・・・おいしい。あのシーンもめっちゃ好きだわ~ん。
◆「自ら望んで地獄に行きたがる人間がいるなんて」
(『ニライカナイ~永遠の道連れ~』(2014)高岡ミズミ/斑目ヒロ/白泉社花丸ブラック文庫より)
自分を生き返らせるために、おそらく閻魔に魂を売ったたまを地獄から取り戻そうと地獄へ赴く伊織ですが、一人で簡単に行けるわけではありません。叔父さんの知り合いらしい篁という地獄の住人の助けを借ります。
篁は、本当に伊織が不可解で仕方なかっただろうなーと思う一文です。愛する人を助けに、地獄に行くか?うーん・・・夫なら助けに行かないな。息子なら行くけど。ほら、一応ここにも、地獄に行きたがる人間いますけどねw
だいぶ怖い描写あります。
生ぬるい「とりあえず地獄でも行っとくかー」っていうノリの地獄ではありません。完全にガチの地獄です。こんな地獄に送られる人間はもう窃盗とか、横領とか・・・そういうレベルじゃない罪を犯してるでしょうね。何だろうな~38人連続婦女暴行殺人・・・とかな。じゃないとこんな攻め苦に耐える義理が無いよ!!っていうくらいの地獄描写あります。
地獄の攻め苦に何度も何度も耐えて・・・耐えて・・・それでも2人を分かつことはできないんだー!!!っていう物語なんで、地獄の攻め苦の描写、すげー怖いです。昔のおバカな小娘の頃の私なら完全に夜トイレ行けてないですね。でも、読めるようになった。こんなところで成長を実感するとは。実際、地獄ってどんなところだろうかと考えさせられるような地獄です。マジでこんなガチ怖い地獄なら、そりゃ悪いことはできませんぜ。怖すぎるだろう。ちょっと盗んだとか、ちょっと嘘ついたとかでこんな酷い地獄に送られてたら本当、割に合わんよ。
◆p124「ええ、厭です。あいつは、俺の男ですから」
(『ニライカナイ~永遠の道連れ~』(2014)高岡ミズミ/斑目ヒロ/白泉社花丸ブラック文庫より)
高岡先生の描く主人公は、熱い男です。岩をも砕いた、たまの心意気にしても、何度忘れようとも絶対たまを思い出しては取り戻そうと同じ道をたどる伊織の気骨稜稜・・・にしても。高岡先生のキャラクターには、骨のあるキャラが魅力ですね。男らしい受けです。和孝とか、和孝とか・・・あと、和孝とかね(クドイ)。
潔く、「厭だ」と突っぱねるんだけど荒っぽくはならない。「俺の男ですから」ですよ。ここ、敬語なのが良いんですよ。
この台詞、本当に好きだわー。この台詞に和孝(作者さんらしさ)を感じてまた喜ぶ私です。
例えばヤンキーだったら
「はぁ?厭だ。アイツは俺の男なんだよっ」
あーもう全然だめですね。他の本ならいざしらず、『ニライカナイ』の伊織には合ってない。はい。例によって上手く言えませんが、この台詞がとにかく好きだと言う話です。
◆閻魔「なにをやっている」
伊織「まだやってません」
(『ニライカナイ~永遠の道連れ~』(2014)高岡ミズミ/斑目ヒロ/白泉社花丸ブラック文庫より)
満身創痍で餓鬼に襲われながら、それでもでもお互いを求める2人のところに、閻魔さまがやってくる。と、極限状態でこの台詞の伊織。全っ然、余裕だなぁ。こういう寒いギャグでちょいちょい緊張感を緩和してくれます。私はめちゃくちゃ好きです。
2巻の方にはないから、この怖い描写をこのギャグでチャラにしようとしているんだと私は読みました。ギャグなくても全然良いんですけど、ちょっとミステリアスな伊織のくだけた場面に、すごくかわいらしさを感じます。ほのぼのです。レビューで「怖かった」って書かれてる方結構いましたが、この可愛いギャグ(下ネタ)についても触れて欲しかったですw
このまま閻魔さまが恩赦を下さらずに「一生離れ離れの刑」とかになっても、それでも何とかして気合いで出会っちゃいそうな2人です。物凄い愛に、胸がざわつきます。何者も寄せ付けない、究極の思い人でしょうね。こんな風に愛する人に出会ってみたいものです。夫・・・はまぁ感謝してるし大好きだけど、夫が死んだからって閻魔様と取引なんて私にはそんな度胸無いし、仮に夫が私のために取引してくれたとしても、私はそのまま夫を忘れて幸せに生きちゃうと思いますw薄情な女とお思いか。いや、普通そうだわー。
◆最後、伊織の「浄化できる」設定が完全に消えてるっていうか、関係ない物語になってる・・・たまと一緒にいられるようになったのは本当に良かったけれど、閻魔様に対抗するのだって、たまの水虎としての妖力でも伊織の特別な魔を祓う能力によってでもなく。ただの2人の愛によって成された・・・のは良いんですけど、なんか最初の設定もう少し読みたいっす。続編、必要でしょうこれは!!!先生!!!激しく続編求む!!!ですよ。あーなんで私、リアタイで読んでなかったかなぁ・・・って思う作品だらけです。
めっちゃ良いのに。続編・・・欲しかったわー・・・
あと大事なこと忘れてました。閻魔様の絵が、最高にかっこいいです。惚れたわー。
◆サブタイ「永遠の道連れ」ですが・・・道連れというよりは「運命共同体」みたいなイメージでしたけども。でも表紙の謎っぽいクールな感じには「道連れ」が合ってますね。「永遠の」に関してはもうまごうことなき!!って感じです。「永遠」がふさわしいピタッとハマってる話でした。2人は何百回死んでもまた出会って恋に落ちるはずです。キリスト教では輪廻転生はないから、2人で天国で幸せに暮らしたはず・・・だけど、この二人は永遠に閻魔様の下で働くんでしょうから、天国というか地獄にいるんだけども、ややこしいなww
◆まさか、叔父さんの話、あるとは!!!
叔父さんの話、読みたい〜って書こうと思ってたんだった。よかった〜キンドルでお取り寄せだわ(ง •̀ω•́)ง✧
この叔父さんの話にたまと伊織がどれくらい出てくるのか分かりませんが楽しみです。早速、「ワンクリックで買う」ボタンクリックだわ。
私は篁と閻魔様がデキてるのかと思っていたけれど、そういう話あるといいんですけどね。でも叔父さんと篁には何かしら縁があったらしいですから、まさか篁と叔父さんが??ラブ??って心配したけれど、叔父さんとくっつくのは、別のキャラのようです。一人で安心しております。
◆サイン会の前からやってる『高岡ミズミ祭り』にて本屋で少しずつ買ったやつ。本棚にあるやつ片っ端からね〜。
地獄とか好きだしね。
あとがきで先生もファンタジーがお好きで『八犬伝』とか好きで~って書かれてますが、なるほど。私も、母が好きだったので見てましたよ~。あべ美幸先生の『八犬伝』も大好きです。