五十六年前。東京オリンピックの聖火ランナーとして、このまちを走り抜けた当事者たちに会う。記憶の糸をたぐりよせた先に何があるのか。その答えを見つけたかった――。
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 手元にある資料を並べてみる。
 十月八日。調布市を離れた聖火は世田谷区を経て三鷹市へわたった。三鷹市内の聖火リレーは全四・八㌔、三区間。
 第一区間は世田谷との境にあった川瀬タバコ店前から都道六十五号線(現在の吉祥寺通り)を通って三鷹警察新川駐在所前まで。正走者は二隅賢次(大成高)。副走者に西文雄(三鷹高)、佐藤憲治(明星高)。
 第二区間は駐在所前から新川十字路、旧市役所前を経由し、むらさき橋通りを鷺宮製作所前まで。正走者は高橋あゆみ(三鷹高)。副走者に供田房子(日本無線)、出水裕子(宮野鉄工)。
 第三区間は鷺宮製作所前からむらさき橋通りを直進し、武蔵野市との境であるむらさき橋まで。正走者は木村文雄(宮野鉄工)、副走者は佐土原訓(東京精密)、原田貞男(東邦製作所)。
 一人ひとりに会って話を聞きたい。このまま諦めるわけにはいかない。
(この連載は当面休みます)

(『そよかぜ』2020年5月号/このまち わがまち)