野川公園入口の信号から多磨通りに沿って公園を右手に少し歩く。大きく取られたガラス窓からカフェのカウンターと大きな本棚がのぞく。ウッドデッキのスロープから中へ入る。太陽の光が照明替わりに差し込み、風の音がBGM。静かな時間とコーヒーの香りだけがゆっくり流れている。
今年六月にオープンした「カフェハウス」は、公園とカクタス(サボテン)に囲まれた小さなカフェ。店内はカウンター六席とテーブル八席。外国語の本や絵本を取って、だれかと話す。ひとりで書き物もいい。手には一杯のコーヒーを。
「みなさんに来てもらいたいけど、混んでくるともういけない(笑)。のんびりが一番ね」と、オーナーのビルギット。壁一面の本は、長年にわたってさまざまな国で子どもたちの教育支援に携わってきた証でもある。カクタスの花言葉は「暖かい心」「枯れない愛」だっけ。なるほど、ぴったりだ。
このまちに清々しい風が吹き抜ける場所がまたひとつ。散歩がてら、ぜひ。
(『そよかぜ』2020年7月号/ひとやすみ)