銀座あたりの寿司店の暖簾をさっとくぐって、そうだな、天然本マグロの大トロちょうだい、なんて口にしたこともないけれど、お寿司好きならだれもがあこがれる一貫。その本物の天然本マグロが身近なところで買えるとなれば――。
調布駅から北へ。布田天神の前を通り、電通大の脇道を抜ける。目の先に中央道、向こうに深大寺の杜が見えてくると「深大にぎわいの里」だ。小さな店舗が軒を連ねる市場に、この七月、マグロにこだわる鮮魚店『鮪翔万』がオープンした。
ウッディなテラスを上がり、明るくて、さわやかな店内へ。彩りもあざやかにマグロのお寿司、サーモンとイクラの親子丼、ウニにカニ。「デパ地下に負けないクオリティ」という商品がずらりと並んでいる。
「天然ものはさっぱり、養殖ものは脂がおいしいですよ。お好きなネタを自由に組み合わせることもできます」と、スタッフの下里さん。
さて、どれを買おう。おいしくて、楽しい。こういうお店、待ってました。
(『そよかぜ』2020年8月号/ひとやすみ)