今年九月に国立天文台三鷹キャンパスの「6mミリ波電波望遠鏡」が日本天文遺産に認定された。
 五年ほど前に本紙で三鷹の天文台について書いた際、キャンパス内にある望遠鏡のこともいろいろ調べたつもりだが「6mミリ波」の文字に見覚えがない。いぶかしく思っていたら、なんのことはない。この望遠鏡は二年前に鹿児島から移設されてきたばかりで、しかも、里帰りだという。
 一九七〇年、三鷹で完成した国内初の6mミリ波電波望遠鏡は「新たな星間分子の検出、オリオン星雲や天の川銀河の中心領域での星間分子の分布観測など、画期的な成果を挙げ」(国立天文台HPより抜粋)たそうだ。セイカンブンシのブンプカンソクの内容は素人には皆目見当もつかないけれど、このまちで生まれた望遠鏡が日本の宇宙電波観測の幕開けを告げるものだったと聞けば、それでじゅうぶん誇らしい。
 その後は三鷹から岩手県の水沢、水沢から長野県の野辺山、野辺山から鹿児島県の錦江湾公園へと移転を重ね、再び三鷹へ。長旅を終えて、これからはゆっくりこのまちの変化を観測できそうだ。

(『そよかぜ』2020年10月号/このまち わがまち)