夏が近づいてくると、ふと遠くの島を想う。当たり前だけれど、あっちにも新聞って届くよなあ。だれがどうやって届けているんだろう――。
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 神津島の空港にASA調布西部の新聞が毎日一部だけ届く。二十年以上続いているたった一部の配達だ。
 ただし、スタッフが届けるのは調布飛行場まで。そこから先、神津島の読者の手に新聞が届けられるまでのルートは実はだれも知らない。それならこの目で確かめてみようじゃないか。
 そよかぜ、神津島へ行く。この夏の目標決定。このまちの仲間の顔を見にいこう。
 調布飛行場から神津島までは一日二往復の直行便が出ている。新中央航空のドルニエ旅客機(十九人乗り)で四十五分の空の旅だ。
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 神津島。東京都心から南西に一八〇㌔。海に囲まれた地形が豊かな自然と温暖な気候を育み、島の中央には標高五七二㍍の天上山がそびえたつ。面積は十八㌔平方㍍というから三鷹市よりやや広く、調布市より狭い。二〇〇〇人(八五〇世帯)ほどが島の西側の集落で暮らしている。
 島の名前の由来となった言い伝えがある。
「その昔、事代主命という神様が、伊豆の島々を作る為に、神々を集めて相談をする拠点としたのがここ神津島であります。昔は『神集島』と書いたそうです。また、神津島の天上山では出来上がった伊豆七島の神々が集まり、水の分配の会議が行われたという『水配り伝説』もある神秘的な島です」(神津島村役場HPより)
 事前の下調べは万端。いざ新聞とともに神津島へ。(続く)

(『そよかぜ』2021年6月号/このまち わがまち)