「ぽんぽん冷やさないようにね」と母に言われ、インナーシャツをズボンにインさせられていた幼いころも、「女の子は、足首を冷やさないようにね」と言われた、スカートを短くしていた中高生のころも、母に言われたことを忠実に守ってきた。それでここ数日、グッと肌寒くなってきたから、家のなかでも、パーカーに腹巻きに厚手の靴下という重装備で過ごしている。その結果、「いまからそれで、冬越せるの?」と母からひとこと。……まだヒートテックに頼ってないから、ギリ越せる、はず。
腹巻きといえば、バカボンのパパや「男はつらいよ」の寅さんなど、いまでは見かけない「昭和のおじさん」のイメージが強い。腹巻きをしている女性の有名キャラクターなんて思い浮かばないし、「おしゃれ」とはほど遠いアイテムだ。しかし、一般的に女性は筋肉量が少なく、冷え性の人が多いため、身体を温めてくれる腹巻きは、女性にこそメリットがあると言える。そもそも、腹巻きを表に出して見せる必要性はないのだ。
体が冷えて腸内温度が低下すると、胃腸の働きが鈍くなり、体に老廃物をため込みがちになる。その状態が続くと、肌荒れを起こしたり、基礎代謝が低下したり、免疫力が下がることで風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまう。「冷えは万病の元」という言葉の通りだ。
お腹を温めることで、リンパや血液の流れが促進され、内臓機能がよくなり、基礎代謝や免疫力がアップ。それに加え、ぽっこりお腹の原因でもある便秘も解消されることで、ダイエット効果も期待できる。肌荒れ解消も見込めるので、美容にもいいのだ。
足首も同様、冷やしてしまうと、全身の冷えや血液循環の低下につながる。また、ふくらはぎにかけて女性ホルモンを調整するのに欠かせない経路が流れている。「冷やさないように」と母が言ってくれたのは、おそらく母も祖母に言われていたからだろう。それを思うと、やはり先人の教えは理にかなっている。
私自身、昔は体温が、35℃台が普通だったけど、お腹や足首を冷やさないよう注意してからは、平均体温が36.5℃になった。末端は冷えるときがときどきあるが、体温が上がったということは基礎代謝もアップしているということ。
マスクで顔を覆うよりも先に、腹巻きでお腹を覆う。おしゃれもウイルス感染予防もまずは中身から。マスクをして外に出るよりも、身体のなかからできる予防法はまだまだありそう、なのだ。
くらもとよしみ