数年前に買った魔術学の本を引っ張り出してみる。魔法使いになるための修行や怪しげな呪文、占星術、錬金術、世界の魔法使いについて書かれている。ユニコーンの角をすり潰して沸騰させたワインをハチミツに混ぜ、1日2回、ひとさじずつ飲むという万能治療薬。ユニコーンに出くわしたことがないので現実的ではないが、きっと葛根湯のようなものか。

 

おとぎ話では怪しげなものを入れて作る秘薬がよく出てくるが、実際はハーブ療法に近いのだろう。ハーブ療法も科学的、医学的根拠が付けられるまではきっと神秘的で怪しい存在だったはず。こうやって怪しいところから新しい療法が見つかっていく。最近流行りのCBD(カンナビジオール)もそのひとつ。

 

先日コンブチャの瓶を2ℓに変えた。そして緑茶のコンブチャに挑戦。紅茶で培養した原液を小さな瓶に移して緑茶を加え、新しいコンブチャ液を培養した。液を大きな瓶に移して緑茶のコンブチャを育てはじめた。紅茶よりも透き通った色の緑茶は膜が美しく、いまのところ育ちも順調。

 

早速発酵が始まり気泡がたくさん上がってきた。時折大きな泡が下から上がり、膜が移動したり、落下物があったり。傍から見たら、目は怪しげなホルマリン漬け。だが、コンブチャを始めてから乳酸菌と酢酸菌のおかげで腸内菌に変化が現れたのか、免疫力が高まったようだ。自分なりの健康法として続けている。

 

梅雨入りで頭がぼんやりする日々が続き、頭と体をほぐすために自己流の瞑想法を見つけた。髪の重さから頭を開放するために髪の毛は結ばずバサッと下ろし、あぐらの姿勢で首をだらんと下ろし、ゆっくり大きく何度も何度も円を描くように首を回し続ける。髪の重みに引き寄せられる感覚がまた気持ちいい。波の音を聞きながら体を揺らし、好きなタイミングと角度で頭を止めて置物のように停止。

 

傍から見たら呪われたかのような奇妙な動き。空っぽになったかと思えば、好きな情景が頭に浮かび旅をしているかのような感覚にも陥る。はたしてこれは瞑想なのか、妄想なのか、ただのストレッチなのか……。

 

ちょっと怪しい。それが楽しい。それがツボ。

 

sakin.