#blacklivesmatter #glimmerofhope

 

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私の友人、アリアナの肌の色は黒い。言語は英語。育った環境も食べ物も宗教も違う。私たちはアメリカの大学で出会った。同じ寮に住んでいて、ラウンジで声をかけたのがきっかけだった。大音量で一人テレビを見て笑ったり文句を言ったり、愉快な人だった。テレビの音量がうるさくて声をかけると、しかめっ面で、「は?」と返された。

 

喧嘩を売っているかのようにも見える、この「は?」は、大半が怒っているのではなく、普通の反応。「なに?(ちょっと聞こえなかった)」や「ん?」のようなもの。そこから会話が弾み、ベストフレンドと呼び合う仲になった。すれ違えば笑顔で挨拶をかわし、授業についていったり、料理の味見をしてもらったり、アリアナの顔を見ればいつも楽しい気持ちになった。

 

海外の大学では酒やドラッグが問題になることは多々あり、アリアナもその前科があると噂されていた。他のアメリカ人の友人から彼女は危ないから関わるな。と忠告を受けた。善意からの忠告だったが、私はとても嫌な気持ちになった。

 

他人がどう思おうと私にとってアリアナは優しくて楽しい友人に変わりない。もちろんドラッグを誘われたこともない。上手な英語が話せない私に外国人だと差別せず、分け隔てなく接してくれた人だった。私に彼氏ができた時には日本人みたいに空気を察して、すぐに気が付き祝福してくれた。感覚的に彼女がすきだった。それでよかった。疑惑があるからと仲良くしない選択肢はありえなかった。他人からみればドラッグ疑惑のある人は悪人に映る。しかし、私からみれば大好きな友人。善悪のつけ方はそんなに簡単ではない。

 

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いま世界が叫び訴えている。差別に苦しんでいる人。知らずのうちに差別してしまう人。誰も自分が悪だと思ってやっている人はいない。互いが己の正義をもってして正義と正義がぶつかり合っている状態。アパルトヘイト、ホロコースト、ロヒンギャ難民。人間はもう幾度も争ってきたし、過ちを犯してきた。そこから多くを学んだはず。なのになぜ終わらないのか。世界は声の大きな人に耳を傾けがちだが、それが善とは限らない。

 

sakin.