コンブチャ。別名「紅茶キノコ」と呼ばれ、日本では1970年代にブームを巻き起こした(=昆布茶ではない)。近年、米国を中心に進化したコンブチャ(KOMBUCHA)が爆発的な人気を誇っている。味は酸味とほんのり紅茶風味の爽やかな炭酸発酵飲料のようなもの。酵素、乳酸菌、ポリフェノールなどを含み、免疫力向上、腸活、肝機能改善など、様々な効果が期待されている。
砂糖を加えた紅茶に酵母由来から生まれた発酵菌スコビー(白い膜状の菌株)と酢酸菌(モヤモヤの菌と液体)を入れ、菌が酸素と糖をエサにして発酵していく。微量の炭酸が生まれ、糖がなくなるまで発酵を繰り返す。家庭で菌を培養して作る場合は好みの酸味に調整しながらオリジナルのコンブチャを育てることができる。
瓶の中で菌を培養し、3日ほどでモヤモヤした酢酸菌は白くうっすらと膜を張る。膜はやがて発酵菌“スコビー”いわゆるマザー(菌株)となっていく。飲んではまた、砂糖と紅茶を継ぎ足し、新たなスコビーが生まれる。
この繰り返しなのだが、菌はそう上手くは育ってくれない。気温によって成長スピードは変わるし、美味しくないときもあれば、カビるときもある。モヤモヤとした菌は毎日増えては動き、朝起きると横向きのスコビーが縦になっていることも。
瓶の中はいつも怪しげで活発だ。まるで水槽の中の魚を見るような気持ちで毎日何度も覗きこんでしまう。ひとつ屋根の下の別世界。私の力なんて仕込むだけの微々たるもので、あとは勝手にカタチを変えて成長していくスコビー(菌)たち。放っておくのも愛情。思い通りにならないもコンブチャの魅力。日々愛をもって研究中ってわけだ。
上手に育ったコンブチャは体の中に入って善玉菌を増やしてくれるらしい。しかし、失敗すると悪い菌にもなり得る。仲良くできる者もいれば、そうでない者もいる。菌も動植物と同様にこの地球の一員。時には生かし、生かされている。互いに生きる環境を奪い合うようなことはしたくない。うまいことバランスを保って暮らしていけたらいいな。
sakin