先日フラダンスの発表会を終えた。憧れだったフラを習い始めて約1年半、初めて若手4人だけのステージを経験した。誰にも頼れない状況下で全員が自分を信じて踊るしかないと喝を入れ、バッチリメイクにとびきり可愛い衣装でなんとか晴れ舞台を踊りきった。
趣味とはいえ、山あり谷あり。毎度振りを覚えるまでは記憶と戦い、上手に体を動かせるようになるまでには何年もかかる。髪を伸ばすのも容易ではない。これは修行だ。まあ、ゴルフも英会話も、大人の趣味に修行はつきものだろう。
私のお気に入りのハワイアンソングに「メレオラナイ」というラナイ島に伝わる歌がある。アップテンポで「へメレ! コナプア!」など、踊りながら掛け声を出す楽しい曲だ。
ラナイ島はとっても小さな島。
噂にもならない島だけど重要なところよ。
カウナオア(花)はハワイ島のレフアに勝るとも劣らない、金色で太陽のようなお花。
この島はパイナップルで栄えたの。
ラナイ島を覚えてね。
なんてことを歌っている。「小さい島で有名ではないけれど、とってもいいとろなのよ」と、愛嬌たっぷりの歌詞に心惹かれた。美しい山や花、海を愛おしく想うハワイの人々はたくさんの島歌を残している。
文字をもたなかったハワイの人々は踊りや音楽で島の歴史や秘密が語り継いできたという。森羅万象すべてのものに神や精霊が宿るというハワイ(ポリネシア人)の信仰からフラダンスが生まれた。長い髪を揺らしながら、豊作や雨を願い神様に踊りを捧げる。フラダンサーの髪が長い理由は「マナ(精霊)」が宿ると言われているから。
山や海などの自然界をはじめ商売繁盛に至るまで、日本には八百万(やおよろず)の神が存在すると言われている。島国であるハワイと日本の信仰は少し似ている。しかし、日本では長い髪には怨念が宿るなんていう恐ろしい説もある。こわいなぁと思いながらもフラのために私は髪を伸ばしている。宿るならお願いだから心優しい精霊であってほしい。
発表会を観に来てくれた友人は舞台で踊る80代のおばあちゃんを見て感動し、心が浄化されたという。よっぽど気に入ったのか、最後にはおばあちゃんと握手をして一緒に記念撮影までして帰っていった。いくつになっても挑戦する姿は美しい。私の踊りにはまだ人の心を清める力は宿っていないだろう。なんせ煩悩が多い…… 。
sakin