哲科のつぶやき。その4。 | そよぎめぐみブログ

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神仏大好き、お化けは苦手。何が見えても聞こえても、生きていくのだどこまでも。

まだやるか、と。まだ、やります。


トマス・クーンは、科学哲学という分野の人。

科学の世界で、それまで当たり前だった物の見方が、
一気に変わることを、パラダイム・シフトと呼ぶ。
ぽーんと一気に、斜め上に飛びあがるような、
視点の変換がある、そんな革命的な「変化」の提示。

パラダイム・シフトの例を上げると、こんな感じ。


天体の動きに不信感を持って調べなおした結果、
天動説=地球を中心に世界が動いている、
という考え方が普通だった世の中に、
地動説=太陽が中心で地球が惑星に過ぎない
という考え方が生まれた。


もうひとつ。ニュートンがリンゴの落下を見てから
あれこれ研究されて来た、古典力学。
電子顕微鏡が作られ、目に見えない世界の様子が
わかるようになったら、全然動きの法則が違う。

あれ?!あれ?!と騒ぐうち、それらは実際、
別物なんだよ、と考える人たちから量子力学という
新しい力学が提唱された。



これらの話で重要な点は、それまで信じていた
価値観を変えたからこそ、新しい理論の構築ができたこと。



昔は、地球が宇宙の中心だと信じてられていた。
地球は平らで、海は端から下方へと永遠に落ち、
世界は4匹の亀やら天蓋やらで支えられている、
と言う話が、まだそれなりに信ぴょう性を持っていた時代に、
「あ、地球は中心と違いますから」という発言は、
キリスト教世界を揺るがす大ショックだったに違いない。


力学の方もそう。古典力学では、呼吸の一つ、
鉛筆一本が転がるだけでも、ひいては世界全体に
影響があると思われていたのに、力の体系には二種類あって、
精密にそんなことは言えないんだ、なんて話をされた時の、
力学者のショックは、想像したくない。


いずれにしても、「違うものは違うから」と思って、
研究する人がいたからこそ、話は先に進んだのだ。



そんな前提で自分を考えてみる時、
信念に対する反論には、意固地になって抵抗するより、
「言われてみればそうかも」というノリで
一旦引き受けてみる必要があるのかもな、と思える。

あ、やっぱ違うじゃん。ダメダメ。という結論にしても、
お、こいつはちょっと使える見方!という結論にしても、
まずは一旦、自分と異質なものを取りこんで眺めてみる
というワンテンポの余裕が必要で。

その流れの全てが、個人的パラダイム・シフトの礎石に
なるかもしれないのだから、楽しまないと損だ。

科学的パラダイム・シフトの末に、
この世界が沢山のものを享受できたように、
個人的パラダイム・シフトの末に私自身も、
沢山のことを納得できた気がする。
生きるってすごいことだ。