「遊びのつきあい」という言葉の意味が

昔からよくわからなかった。

 

付き合うなら、大好きな人と相思相愛で!

 

それしか、私の価値観にはなかったから。

さすが、7-80年代少女漫画育ちなのです。

 

ところが、齢50になろうとするところで、

男の人と遊ぶのは楽しいなぁ~

と、実感できるようになってきた。

 

といっても、私の場合、

しょせんプラトニックの域を超えないのだけど。

 

所さんから、ちょっと「リリース」されてるこの頃。

たまたま、男性と会う予定が続けて入った。

 

前回は、ほしさん。

 

その次に、シングルファザーの川崎さん。

さらに続いて、アプリで知り合った、

ニューフェイスの江戸さん。

 

今日は、このふたりとのエピソードを綴りたいと思います。

 

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「野田秀樹の劇のチケットが

 2枚あるんですけど、

 一緒に行きませんか?」

 

と、川崎さんからLINEが届いたのは、

ひと月ちょっと前だったかな。

 

アプリで出会った、川崎さん。

↓ 過去の記事はこちら

 

 

川崎さんとは、知り合ってからもう3,4年?

 

その間、

「ボヘミアン・ラプソディー」を見に行って

プロ野球チームの夏のお祭りに行って

コロナの直前に新年会をして

3回会っただけなのか。

 

その間、LINEは1日置きくらいに続いてる。

 

川崎さんは映像関係のお仕事なので、ドラマ通。

演劇も好きなので、私と話がよく合う。

日々のドラマの感想を言い合う貴重なお友達だ。

 

川崎さんの奥さんは亡くなられてて

3人のシングルファザーさんなので、

子育ての話も、すごく共感できる。

 

大学もたまたま同窓なので、安心感がある。

 

そんな川崎さん。

ほしさんなんかと違って、恋愛が絡まない

安定の男友達なので

劇のお誘いも、気楽に受け止められる。

 

ああ、ほんとに、チケット余っちゃったんだろうなぁ、って。

 

でも、野田秀樹は過去に見たことがあって

私はそれほどハマらなかったので、

正直にそう言ってお断りした。

 

「そうですか。」

と、川崎さんらしく、あっさり終わったのだけど

お芝居の日が近くなったある時、

 

「やっぱり、一緒に行きませんか?

 チケットをリセールに出すとかもできますけど

 誰かと見て感動を共有したいな、と思いまして。

 週末なので見た後1時間くらいお茶する時間も

 ありますよね?」

と、再度のお誘いが来た。

 

「お茶する時間もありますよね?」

というあたりの単刀直入さが

川崎さんっぽいなぁー。

 

飾り気のない、率直な川崎さん。

とてもマイペースだけど、

私は彼のそういうところが好きで、

いっちょ行ってあげるか!という気持ちになった。

 

「ふむー

 じゃあ、行ってみましょうかー。

 波に乗るのもいいような気がしてきました」

 

すると、川崎さん推しの野球チームのマスコットで

「ありがとう」のスタンプが来た

妙にかわいい(^^)

 

やっぱり憎めない。

 

というわけで、川崎さんと演劇鑑賞を

することになったのだった。

 

当日、劇場ロビーで待ち合わせ。

会うのはコロナ禍ぶりだ。

でも、椅子に座ってる川崎さんをすぐ見つけることができた。

 

ダンガリーのシャツにチノパン。

川崎さんの私服は、いつもこんな感じで

特におしゃれではないけど、清潔感はある。

私は彼と会うと懐かしい気分になる。

大学時代、こんなファッションの男子が多かったから。

 

所さんみたいに、自分のセンスでおしゃれを楽しむ人も

素敵だけど

私は、男性のファッションにまったくうるさくない。

 

劇場の席に向かう間、

川崎さんは、いつもどおり、無口である。

「雨が降らなくてよかったですねー!」

なんて、私が思いついたことを言うと、

静かにうなずいたりして。

これこれ、川崎さんのペース😁

 

演劇通らしく、開演前にパンフレットを買う川崎さん。

席に並んで、一緒にパンフレットを眺め、

あれこれと話す。

先日会った、ほしさんと無意識で比較する。

 

ほしさんは、断然、会話上手。

適度に質問を投げかけてくれて、会話が盛り上がる。

 

対して、川崎さんは、すごくマイペースで

パンフレットに見入って、沈黙が訪れたりする。

 

でも、私は不思議と居心地のよさを感じる。

 

彼がとってもマイペースだから。

私も自分のペースでいいのね、って

黙ったり、思いついたことを適当にしゃべったりする。

 

それに、川崎さんからは、ほしさんみたいな「圧」がない。

ほしさんは、自分がオススメの演目がいかにすばらしいか

私にわかってほしい、という想いが溢れてくる。

うんちくをすごく語ってくれる。

 

川崎さんは、そういうところがなくて

ボソっとうんちくを言ったりもするのだけど

それは、あくまでも、空間にぽつんを置かれるだけ。

彼は「理解」や「共感」を多く求めない。

そこは、所さんとも似ている。

 

求めない人・・・私はそういう人が居心地いいんだよなぁ。

 

「川崎さん、私、難しい劇見ると、寝ちゃうんです!

 もし私が寝たら、気づかないフリしてくださいね。」

ほんとのことなので、伝えると、

川崎さんは、静かに微笑む。

 

さてさて・・・劇はなかなか興味深かったのだけど

私の理解力が足りないせいか、

わからないことも多かった。

 

ああ・・・意識が遠いのいていく・・・

いかん、首がガグってなるのだけは、避けなくちゃ・・

 

と、隣を見たら、川崎さん、首がガクってなってるよーー!!!(^^)

ガクっとなりっぱなし。

下向いて、腕くんで、完璧な居眠りポーズ。

 

笑いがこみ上げる私。

 

劇が終わって会場から出る時。

なんと、感想を言おうか、ちょっと悩む。

「けっこう、難解でしたねぇ。」

と言うと、また静かに深くうなずく川崎さん。

 

川崎さん、寝てたでしょー?!って

ノドから出かかったけど、それは言わないでおいた。

演劇通の彼のメンツをつぶしてはいかんだろう。

彼から、言い出さない限りは。

 

でも、私がうとうとしていた場面で

今度は、川崎さんは起きていたらしく、

エンディングはちゃんと理解している風だった。

 

「そっか!あれはそういう意味だったんですね!」

と、言われてやっと気づく、アホな観客の私。

 

川崎さんは、こういう時、したり顔をしない。

「なんとなく、そうなんじゃいかな、って思ったんですよ。」

ぽつりぽつり語るだけで、うんちくを言わないんだなぁ。

 

そういうところが、気に入っている。

 

それにこの人は、自分が誘った劇を

私がちゃんと楽しんだかどうか、ということを

あんまり気にしていない。

私だったら、相手に楽しんでもらえなかったら

すごく気に病んじゃうんだけどな。

ある意味図太く、無頓着なんだけど、

ひょうひょうとしてくれてる方が、実は気が楽だったりする。

 

LINEの約束どおり、

ちょこっとお茶をしよう、と場所を探す。

 

大きな駅で、選択肢はたくさんあるけれど

ふたりとも、あまり店を知らない街だった。

 

「どこがいいでしょうねぇ?」

 

「私はこういう時は、

とりあえず、駅ビルとかデパートに行っちゃうタイプです。

そこにいけば、どこか入れるだろう、って。」

 

うなずいた川崎さんは、駅ビルにずんずん歩いていく。

 

こういう時、川崎さんは、お店を下調べしてきたりしない。

でも、まったく動じない。

それから、私の声もちゃんと聞いてくれる。

駅ビルがよさそう、とか、以前だったら、●●系のお店がいい、とか。

その上で、無言のうちに、川崎さんの中で「これ」って答えが

いつの間にか出て、「ここにしましょうか」と

落ち着き先が決まる。

 

エスコート上手では全然ないし、

ほしさんみたいに、女子が喜ぶセンスとか解さないけれど

このシチュエーションで動じないところが

ある意味、男らしい。

最後、決めるところは決めてくれるし。

 

そんな時、

「この人は朴訥としてるけど

結婚して3児の父をやってる人なんだよなぁ」って

妙な信頼感を抱いてしまう。

最後は頼りになる、というか。

 

で、その日の川崎さんの結論は

「タリーズにしましょう」だった。

 

駅ビルの中のタリーズ♪

 

いいなぁ~ その脱力感。

 

それは、単なる友達の私が相手だからなのか、

それとも、川崎さんはこだわらない人なのか

 

遅いお昼を食べたいと言っていた川崎さんは

パスタを頼んだ。

私はケーキとカフェラテ。

もちろん、お会計は別。

 

並びの席しか空いてなくて、

並んで座った。

 

席につくと、川崎さんは、ゴソっとスマホを出してテーブルに置く。

なんだろう?と見ていると、

野球中継アプリを起動。

 

「今、阪神とやってるとこなんですよ。

 ○回で□点差ですねぇ。:

と、スマホを見ながら、パスタを無心に食べる。

 

単なる野球好きのおっさん、だろうか?

 

でも、私はほんのり居心地の良さを感じる。

 

川崎さんといると、いつもほんのり、居心地がいい。

 

もし、デートだとしたら(川崎さんとはデートじゃないけど)

ほしさんのほうが、ずっとずっと気が利いてスキルが上なのに

なぜか、私はマイペースな川崎さんのほうが居心地がいいんだなぁ。

 

所さんもそうなんだけど、

どうやら私は、マイペースな人といると

リラックスできる性分らしい。

 

あれこれ、気を回してエスコートしてもらうよりも

のびのびできるんだよねぇ。

 

そして、そんなマイペースな人を

かわいい、愛おしいと思うタイプなんだと思う。

 

川崎さんと身を寄せ合って、野球中継を見たりしながら

ふと、想像する。

「この人と結婚せよ、と親に決められたら

 私は多分、川崎さんとは、やっていけると思う」と。

 

ロマンチックな要素はあんまりない人だけど。

彼は物腰がとても上品だ。

そして、しゃべりかたが、ゆったりしていて、

いつも思慮深く発言をして・・・・・

それを聞いているのが、心地がよい。

彼の居住まいが好きだ。

 

私は、ケーキとカフェラテの写メを

本日の記録代わりに撮ろうとした。

 

でも、先日スマホを取り替えたばかりで、

「スクエア」のサイズにするやり方がわからない!

 

「なんでだろー?新機種になって、

 スクエアは、なくなっちゃったのかなぁ?」

 

すると川崎さんが

私のスマホに手を伸ばし、

あれこれといじってみる。


すぐに、わかった!という顔をして

「ふふふ、ここをちょっとタッチしてごらん?」

と、いたずらっぽく、言う。

 

「え?ここ?んーー ない、ない~」

 

「その先の、モードに入ってみると・・・」

と、彼はモニターをタッチした。

 

「あ!あったーーー!!

 スクエア、こんなところにあったんだぁ」

 

川崎さんの、得意げな

いたずらっ子みたいな表情が新鮮だった。

その時、私はこの人と付き合ってもいいなぁ、って

ふと思った。

 

完全なるドラマ友達って思ってるのに、ね。

 

所さんの居場所が心の中で空いちゃって

スカスカしているのかなぁ?

 

私って、移り気?

あんなに所さんを大好きだったし、今でも好きなのに。

 

でも、考えようによっては、生命力旺盛なんだな。

 

誰か、愛情を注ぐ相手が欲しい。

 

それは私の本能で、すごく強い衝動で

注ぐ先を失ってしまったら、

どこか、別の器を探そうとするのだ。

強い強いエネルギー。

 

まあ、川崎さんとは、ずっと

楽しいボーイフレンド、ガールフレンドだろう。

 

チケット代をお渡ししたら、

そこは、断ることなく、ちゃーんと受け取ってくれた(^^)

プレゼントしてくれないかなーって

ちょこっとだけ期待してたけど。

 

「少しおまけしてくれる?」

 

「いいですよ」

ってやりとりして、何千円か負けてくれたけど。

 

完全なるお友達。

 

でも、こんな風に、少しときめきを秘めた

男友達との関係は、楽しい。

 

男性といれば、自分は自然と女性の役をやるようになるし。

 

その人と息を合わせて、一緒にいる時間を楽しむ。

女性として、華やいだ気持ちにもさせてもらう。

 

そういう「男遊び」。

 

みんなもっと若い時期にエンジョイすることかもしれないけど

私はアラフィフにして、そんな楽しみ方をおぼえた。

 

特に次の約束もなく、駅で川崎さんと別れる。

 

彼は、

「川野さんが見逃したって言ってたドラマ、

ブルーレイに焼いてきました」って

渡してくれた。

 

「ありがとう。

 でも、うち、未だにブルーレイプレーヤー買えてなくて

 前もらった、すかんちのディスクも見られてないのー!!」

 

でも、川崎さんは、そんなの気にしない。

あくまでマイペースで、

この間は、私が好きな街の「じゅん散歩」を

録画して焼いてくれた、とLINEで言ってた。

 

彼のそういう、求めないところが

私はやっぱり気に入っている。

 

、次回は、ニューフェイスの江戸さん編へつづきます♪