よく耳にすることで、変形労働時間制を採用しているので、1日8時間、週40時間を超えて働かせても残業代は出ません。と、言う人がいます。
では、就業規則や雇用契約書にそれが記載されているかというと、全くそういう規定がありません。
変形労働時間制は、労働基準法第32条の2~4に、詳細が記載されています。
そこでは、就業規則で記載されていないと、そもそも効果がなく、1年変形労働時間制に至っては、労使協定を締結し管轄労働基準監督署に届出ないと効果はありません。
わかりやすい例として、1か月変形労働時間制を解説します。
業務内容によっては、どうしても1日8時間以内で終わらないというのはあります。
さすがにそういうものにまで、1日8時間を適用させるのは酷です。
そのため、労働時間に偏りがるような業種には、変形労働時間制を採用することにより、労基法違反にならないようになっています。
ただそれにはちゃんと条件があります。
例えば1日10時間にしたいとき、その清算期間、わかりやすいよう1ヵ月(28日)内の労働時間を、週平均で40時間以内にするようにしなければなりません。
通常8時間、週40時間は5日勤務です。1週間は7日ですから、28日あるとすると7日を割って4週になります。
40時間×4週=160時間ですので、1ヵ月(28日)の上限は160時間(月の日数で変化します)です。
1日10時間ですと、160時間÷10時間で、16日間が限界ということになります。
通常は20日間ですから、例のとおりにすると、4日間勤務日を少なくするということです。
これは例ですので、1日の時間を長くすることもできますし、日によって短くすることもできます。
要は平均して週40時間ということになるわけです。
ところが中に、知っててわざとやってるのか、そもそも理解不足で勘違いしているのかわかりませんが、都合の良い部分を持ってきて、変形労働時間制と思っている人がいます。
上記の述べたように、ちゃんと就業規則や雇用契約書、労使協定という手続きがあるので、それを踏まえないと効果はありません。
その中には、清算期間開始前に、1日の労働時間を設定しなければいけないことも記載されています。
例えば3月1日は10時間、2日は7時間、3日は9時間とかです。そしてその設定時間を超えたとき残業代がかかります。(法定労働時間以下の設定は法定労働時間を超えたとき割増(ただし法定内時間外労働の分の追加賃金は必要))
後付けの週平均設定、つまり、この週は労働時間少なかったから次の週は多く増やしても問題ないよね、という変形労働時間制にはなりません。1日8時間を超えてれば、それはもう残業です。週40時間超もそうです。
前回述べたように、これからは賃金債権時効の期間延長が決まっています。
これからは、より適正な手続きが必要となってくるでしょう。
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