秋田の相続は秋田市の司法書士おぎわら相続登記事務所秋田、司法書士荻原正樹です。

 

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今日のお話しは、訴訟資料の公開とプライバシー権侵害です。

 

 

 

 

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皆さん憲法は読まれたことありますでしょうか?

 

憲法というと9条の話しばかり印象にのこるので

 

それ以外の部分については

 

目にしたことがない

 

という方も多いのではないでしょうか?キョロキョロ

 

 

 

 

憲法がどういうことを書いてあるのか大雑把に言いますと

 

人権のカタログを記載するとともに

 

国家の運営方法について定めている

 

と言えると思いますメモ

 

 

 

前者を人権

 

後者を統治

 

といいます目

 

 

 

 

皆さんよく耳にするプライバシー権は

 

これを直接保障した規定はなく

 

13条後段の幸福追求権の具体化されたものとして保障されると考えられています音譜

 

 

 

 

さて

 

国家機関は立法・行政・司法というように

 

三権分立体制がとられていて

 

司法を担うのが裁判所です鉛筆

 

 

 

 

この裁判所による裁判については

 

次のような規定がありますサーチ

 

 

 

 

第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
○2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
 
 
 
 

裁判においては

 

「対審」と「判決」は公開しなければならない

 

とされています目

 

 

 

 

「対審」とは口頭弁論や公判手続きをいいます三毛猫

 

 

 

 

このように

 

条文により公開が要請されているのは

 

「対審」及び「判決」であって

 

訴訟資料の公開は憲法上直接保障されていませんニヤニヤ

 

 

 

 

この規定の趣旨は

 

裁判を国民の監視のもとに置くことで

 

裁判官の恣意的な判断を抑制して

 

裁判の適正化を図ることにありますから

 

主眼は

 

裁判所に対する抑制

 

にあるわけで

 

それは「対審」と「判決」の公開によって確保されると考えられたものと思われます

目

 

 

 

 

もっとも

 

裁判記録の公開ついて民事訴訟法は次のように定めていますメモ

 

 

 

 

(訴訟記録の閲覧等)
第九十一条 何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。
2 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
4 前項の規定は、訴訟記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
5 訴訟記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
 
 
 

 

このように裁判記録の閲覧は原則として自由であり

 

また当事者及び利害関係を疎明した第三者には

 

訴訟記録の謄写等が認められています

 

まずこのように閲覧と謄写等とは要件が異なることに注意が必要です目

 

 

 

 

では

 

このように第三者の閲覧が広く認められていることをもって

 

当事者や訴訟代理人が訴訟資料を当事者の同意なく公開することは

 

問題がないのでしょうか?キョロキョロ

 

 

 

 

この点については次の裁判例が参考になります目

 

 

 「不特定多数の者による傍聴や訴訟記録の閲覧が制度的に保障され,また,当該裁判を傍聴した報道機関により法廷に現れた事実として報道される可能性があるからといって,当該訴訟の原告であることが無制限に公表されることについて,法的保護を受けないことになるわけではない。上記の制度的保障によって知られる以外の場面では,当該情報は,なお,自己が欲しない他者にはみだりに開示されたくないと考えるのは自然なことであり,その期待は,上記(ア)のとおり,保護されるべき性質を失っていないからである。」名古屋高裁平成23年3月17日判決

 

 「原告が「別件訴訟を提起した人物」として,別件各判決文に現れた種々の情報が原告と結びつくこととなる。かかる情報は,原告個人の私生活上の事実又は情報であること自体は否定できず,一般人の感受性を基準としても,他人に知られることにより心の平穏が害されることがあることは否定することができない。」

「不法行為における違法性は,被侵害利益の性質と侵害態様との相関関係において判定すべきであるから,プライバシー侵害の違法性については,開示されるプライバシーの性質,開示の目的並びに方法,及び開示による不利益の程度等を総合的に考慮することが必要である。その結果,プライバシーに該当する情報が一般人の感受性を基準として私生活上の平穏を害するような態様で開示されたといえる場合には,違法なプライバシー侵害として不法行為を構成することとなると解される。」 さいたま地裁平成23年1月26日判決(判タ1346号185頁)

・「裁判の公開の制度により訴訟記録や対審が原則として公開される趣旨は,訴訟手続の公正を担保することにあり,国民に当該訴訟の内容を周知させることにあるものではないし,実際に同制度によって個々の訴訟の内容が国民一般に広く知られているわけでもない。したがって,右制度の存在を理由に私人が民事訴訟を提起されたとの事実をみだりに公表されない法的利益を否定することはできない。また,裁判を受ける権利によって国民一般に裁判を通じた権利実現の手段が保障されることは,個々の国民が一定の事由で訴訟提起を受けたとの事実について公開を欲するか否かとはそもそも関係のない事柄である。」東京地裁平成17年3月14日(判タ1179号149頁)

 

このように

 

表現活動の自由(憲法21条1項)及び憲法規定の私人間効力を前提としたうえで

 

「訴訟当事者であることをむやみに公開されない権利」

 

をプライバシー権として認め

 

それが違法性を有するか否かについては

 

開示される情報の性質、開示の目的及び方法等を総合的に考慮して決定される

 

とする判例があります目

 

 

 

 

以上から

 

訴訟資料の公開に対しては制約があり

 

ときには不法行為による損害賠償請求が認められる場合がある

 

と考えていいと思いますメモ

 

 

 

 

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