こんにちは。秋田市の司法書士おぎわら相続登記事務所秋田、司法書士荻原正樹です。

 

 

今日は不動産登記と判決主文です。

 

 

 

 

先日、とある調停調書を見る機会があったのですが

 

 

調停条項として次のような条項がありました

 

 

「相手方は申立人に対して、平成30年0月0日遺留分減殺を原因とする所有権移転登記手続をする。登記費用は申立人の負担とする。」

 

 

そして、物件目録には、単独所有の不動産と共有不動産があります

 

 

この場合、登記手続上の登記の目的としては

 

 

①所有権移転

 

 

②何某持分全部移転

 

 

と二種類になるのですが

 

 

法務局での登記申請はこの主文で大丈夫でしょうか目

 

 

 

 

 

登記関係の裁判業務をしていると

 

 

書記官や裁判官にまず間違いなく聞かれることがあります

 

 

 

 

 

それは

 

 

この主文で大丈夫ですか?登記できますか?(書記官)

 

 

この主文で大丈夫なの?登記できんの?(裁判官)

 

(聞くときの聞き方が違います(笑))

 

 

です

 

 

 

 

 

不動産登記法で判決等が関与する主な条文は

 

 

①63条1項の判決による登記

 

 

②74条1項2号による所有権保存登記

 

 

の二つ

 

 

このうち

 

 

①は共同申請の例外規定としての単独申請を定めるもの

 

 

②は所有権保存登記の申請適格を定めるもの(もともと単独申請)

 

 

です

 

 

 

 

 

そこで

 

 

①の判決は相手方(登記義務者)の登記意思の擬制となるものでなければいけないのに対し

 

 

②の判決はあくまでも申請適格が確認されればよいことになります

 

 

そのため

 

 

①の場合、判決主文は相手方に登記手続を命じる給付判決になるのに対し

 

 

②の場合には、必ずしも給付判決である必要はなく所有権確認判決でも良いことになります

 

 

 

 

 

たまに

 

 

74条1項2号の裁判で所有権確認を求める主文で訴状を起案した場合

 

 

表示登記の当事者欄で別人が登記されていたりすると

 

 

これおかしいよね?

 

 

などと裁判官に言われることもありますが

 

 

今まで登記が通らなかったことはありません

 

 

 

 

 

 

ところで

 

 

先に述べた

 

 

所有権移転登記を命じる判決と持分全部移転の可否についてですが

 

 

次の先例が参考になるかなと思います目

 

 

 

 

甲単有名義の不動産について、「甲は年月日売買を原因としてABCに対し各3分の1持分の所有権移転登記をせよ」との判決書の正本を提供して、Aは自己の持分についてのみの持分移転登記をすることができる。(登研539号P154質疑応答)