奈良県、御所市。 ごぜ市と読む。
一言主神社。 ひとことぬし神社。
お祀りの神様が、一言主と申します。
一言のお願いなら、それをかなえてくださる神様。
その町のある郵便局だったところに、記念館があって、その住所あて、はがきに願い事を書く。
すると、願いがかなえられる・・・・
のではなくて、これはコンクール。
沢山の応募作品から、これは、と思われた作品を、齋藤 孝氏、五木 寛之氏、村上 由佳氏らが選考。
一冊の本になって書店に並ぶ。
で、手に取ってみた。
京都市 大志野 恵一郎さん。63歳。
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「家の前には昔から22段のきつい石段があり、
母は幼い私が転ばぬ様、
いつも優しく手を引いてくれました。
あれから60年が経ちました。
いつどこで転んだか分からないという
母の足は骨折していました。
お医者さんへんお行き帰り、
今度はその石段を私が
母をおぶってゆっくり歩きました。
私は淋しさを感じながらも
なんだか少し幸せでした。
背中で感じる母の心の涙。今までごめん。
どうかまだもう少し
こうしていられる時間を下さい・・・神様。」
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連想するのは
石川 啄木 の「一握の砂」の一首。
たはむれに 母を背負ひて そのあまり軽きに 泣きて 三歩あゆめず
大志野さんは、老いた母を背負い、小さかった自分を背負って階段を上った母を想った。
寂しいけれど、入れ替わったこの姿。ちょっと幸せ。もう少し、この時間が続いてほしいと。
啄木も、母の老いと、様々な思い出が重なって心が揺さぶられたのかと思います。