願い事あります | そうゆうクンのおはなし

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ちょっと「へぇ~」な仏教のお話、宜しければお付き合いください。

奈良県、御所市。  ごぜ市と読む。

 

一言主神社。 ひとことぬし神社。

 

お祀りの神様が、一言主と申します。

 

一言のお願いなら、それをかなえてくださる神様。

 

その町のある郵便局だったところに、記念館があって、その住所あて、はがきに願い事を書く。

 

すると、願いがかなえられる・・・・

 

のではなくて、これはコンクール。

 

沢山の応募作品から、これは、と思われた作品を、齋藤 孝氏、五木 寛之氏、村上 由佳氏らが選考。

 

一冊の本になって書店に並ぶ。

 

で、手に取ってみた。

 

京都市 大志野 恵一郎さん。63歳。

 

                  ★

 

「家の前には昔から22段のきつい石段があり、

 

母は幼い私が転ばぬ様、

 

いつも優しく手を引いてくれました。

 

あれから60年が経ちました。

 

いつどこで転んだか分からないという

 

母の足は骨折していました。

 

お医者さんへんお行き帰り、

 

今度はその石段を私が

 

母をおぶってゆっくり歩きました。

 

私は淋しさを感じながらも

 

なんだか少し幸せでした。

 

背中で感じる母の心の涙。今までごめん。

 

どうかまだもう少し

 

こうしていられる時間を下さい・・・神様。」

 

                  ★

 

連想するのは

 

石川 啄木 の「一握の砂」の一首。

 

たはむれに 母を背負ひて そのあまり軽きに 泣きて 三歩あゆめず

 

 

 

大志野さんは、老いた母を背負い、小さかった自分を背負って階段を上った母を想った。

 

寂しいけれど、入れ替わったこの姿。ちょっと幸せ。もう少し、この時間が続いてほしいと。

 

啄木も、母の老いと、様々な思い出が重なって心が揺さぶられたのかと思います。