読書感想文が届きました。
志茂田景樹の久しぶりの歴史大作とのこと、早速読んでみた。
本作の主人公は江戸時代末期にサムライとして生を受け、明治維新直後それぞれ大志を抱いてアメリカに留学した4人の若者たち。つい数年前まで腰に刀を差し、髷を結い、戊辰戦争で敵味方に分かれて戦った彼らは、留学先で終生変わらぬ友情を育み、力を合わせて祖国に理想の学校(現在の専修大学)を設立した。
蒸気機関車や石造りのビル、ガス燈の明るさ――先進国の文明の光が、彼らの目にいかに眩しく映ったか、この小説はビビッドに描き出している。異国の地で異国の言葉で学問を修めるのは、並大抵の労苦ではなかったと思う。友の自死や留学官費削減などの憂き目にもあった。だが、彼らは恋をし、夢を語り合い、逞しく青春を謳歌する。何より新しい国づくりに燃えている。
当時の留学は、大いなる冒険だった。未知の場所に踏み入っていく彼らの冒険行を辿っていくうちに、あの時代だったからこそ起こり得たこと、いつの時代にも変わらぬこと、その両方が変わらぬ重みで人々の営みをかたちづくってきたこと、つまりこれぞ歴史的感慨と言うべきものを味わった。
西郷隆盛、福澤諭吉、中江兆民、小村寿太郎、津田梅子、牧野伸顕ら、4人の人生と一瞬交錯した歴史上の偉人がチラリと登場するのが楽しい。4人の視線からのスケッチで、時にスパイスの効いた人物月旦が交じる。そのあたり、志茂田景樹の筆は相変わらず冴えていると嬉しくなった。
(Iさん 48歳 会社員 )
本作の主人公は江戸時代末期にサムライとして生を受け、明治維新直後それぞれ大志を抱いてアメリカに留学した4人の若者たち。つい数年前まで腰に刀を差し、髷を結い、戊辰戦争で敵味方に分かれて戦った彼らは、留学先で終生変わらぬ友情を育み、力を合わせて祖国に理想の学校(現在の専修大学)を設立した。
蒸気機関車や石造りのビル、ガス燈の明るさ――先進国の文明の光が、彼らの目にいかに眩しく映ったか、この小説はビビッドに描き出している。異国の地で異国の言葉で学問を修めるのは、並大抵の労苦ではなかったと思う。友の自死や留学官費削減などの憂き目にもあった。だが、彼らは恋をし、夢を語り合い、逞しく青春を謳歌する。何より新しい国づくりに燃えている。
当時の留学は、大いなる冒険だった。未知の場所に踏み入っていく彼らの冒険行を辿っていくうちに、あの時代だったからこそ起こり得たこと、いつの時代にも変わらぬこと、その両方が変わらぬ重みで人々の営みをかたちづくってきたこと、つまりこれぞ歴史的感慨と言うべきものを味わった。
西郷隆盛、福澤諭吉、中江兆民、小村寿太郎、津田梅子、牧野伸顕ら、4人の人生と一瞬交錯した歴史上の偉人がチラリと登場するのが楽しい。4人の視線からのスケッチで、時にスパイスの効いた人物月旦が交じる。そのあたり、志茂田景樹の筆は相変わらず冴えていると嬉しくなった。
(Iさん 48歳 会社員 )