デスデモーナ
デスデモーナに感心しない人などいるでしょうか?
豪華にして清廉。
気品に溢れ かつセクシー。
デヴィッド・オースチン最晩年の傑作と思います。
深く複雑なロゼットがピンクと白のあいだをたゆたうように渦巻く姿はファンタジーとしか思えません。
この圧倒的な艶めかしさには息を呑みます。
香りも素晴らしく、オースティン・ローゼスの言葉を借りれば
"愛らしいオールドローズ香とアーモンドの花の香りに、キュウリとレモンピールのほのかな香りが混じります。"
だそうです。
よくわかりませんがはっきりとした強香は私にも感じられます。
交配親は両親とも不明とされています。
それは黄色いシュラブローズ、ピンクのクライマーということで、それ以外の情報が無いのですが、
この明るめの葉や特徴的な香りからしても、カザンリクなどのダマスクの血を感じさせるものがあります。
オースティン・ローゼス、つまりイングリッシュ・ローズは、イングリッシュと言うだけあってシェイクスピアの作品から命名されたものが多いのですが、
このデスデモーナも「オセロ」の登場人物から取られたものだそう。
デスデモーナはオセロの奥さんでありながら、オセロの部下の謀略にはまってオセロに殺されてしまうのです。
シェイクスピアの登場人物は悲劇も喜劇も不運な人が多いですね。
咲き始めのブラッシュ・ピンクから次第にふんわりとした天上の雲のような白色になっていのも素敵です。
そしてこうした深くて膨らみのあるカップの形を見せ、うつむきます。
このようなアウトラインは特に「聖杯型」と呼ばれています。
キリスト教の儀式に使われるゴブレットが聖杯です。
どこまでもうやうやしく接しなくてはならない・・・
そんな気持ちにさせるバラです。