赤でも恋するバルセロナ | Souvenirs de la saison

赤でも恋するバルセロナ

バルセロナ 【Barcelona】

1932年 

コルデス社作出

 

作出年からしても、その容姿・ティーの香りからしても、

まごう事なきハイブリッド・ティー。

クリムゾン・レッドというのでしょうか、その黒きに沈む赤のなんと美しいこと!

 

本当の命名理由こそわかりませんが、バルセロナと言えば赤バラのようです。

バルセロナはスペインの中でも独特な文化と歴史を持つカタルーニャにあります。

そのカタルーニャで毎年行われる4月23日の「サンジョルディの日」というお祭りでは、

恋人や親しい人に本か赤いバラ、あるいはその両方を贈る風習があるのです。

本を贈るのはどうやら「ドン・キホーテ」を書いたカタルーニャの偉人、セルバンテスの命日という理由のようです。

そして一方の赤いバラのほうの理由は昔話から。

昔々、カタルーニャの村人は住み着いている悪いドラゴンに毎年若い娘を人身御供に差し出していました。

ある年、ついにカタルーニャのお姫様の番が回ってきます。

ヨヨと泣き崩れ諦めていたところに、颯爽と現れたのが白馬の騎士、サン・ジョルディ!

ドラゴンを退治し、その時流れ出たドラゴンの血が真紅のバラになったのだとか。

ドラゴンの血はかくも赤黒いものかとも思いましたが、

そう言えば健康診断の時に採血した僕の血もこんな色だったような・・・

 

サンジョルディの日に因んだとすればこのバルセロナ、春のバラとも言えそうです。

しかし返り咲いた秋のそれは素晴らしい。

どこまでも凛とした居ずまいで、直視するのも憚られるほどの高貴な赤みを湛えています。


バルセロナ。

赤いバラは趣味では無かったのに、

「いや、バラと言えば赤だろう」

と宗旨替えを迫ってくるバラです。

真っ赤なバラを育てるのであればHT(ハイブリッドティー)。

だとしたらイングリッド・バーグマンかこのバルセロナ。

どちらかをやってみたいです。