僕がNTTから書道家として、独立して2年くらいの時に

初めての個展を自分のアトリエで開きました。


作品の飾り方も、演出も何もかもわからない時に、

個展の数ヶ月前に知り合ったデザイナーのAYAさんが、

徹夜で個展の準備をしてくれました。


AYAさんは30代のとても心豊かな優しい女性でした。

ふわぁーっとした包み込むようなオーラを持っていて、

空間デザインやアイデアに関しても才能が溢れています。

人間としてクリエーターとして尊敬すべき人でした。


個展は無事終わりました。

たくさんの人が喜んでくれました。

パーティ時にAYAさんのことをみんなの前で紹介しても

恥ずかしそうにして出てこないシャイな人でした。

その時はお金も全くなくて、ボランティアでやってくれました。


「絶対次の個展もAYAさんと一緒にやりたい!

今度はちゃんとギャランティ払うから!」


と言うと、「ぜひ(^^) 」と微笑んでくれました。


そして、半年くらいたって、

次の個展について相談したいと思っていた時に、

突然、AYAさんの両親からお手紙が郵便ポストに入っていました。



不慮の事故で亡くなっていたのです。



意味がわからないまま、頭の整理がつかないままお葬式に行きました。

ご両親が、僕がAYAさんに送ったお礼の色紙のことを泣きながら語ってくれました。


長い行列に並び、いよいよ僕が棺おけの中を見る番になりました。


・・・


棺おけの中のAYAさんはまるで生きているようでした。

ぜんぜん死の実感がわきません。

それは今でも。


個展はちょうど桜が満開の時期でした。

そしてAYAさんも桜が散るようにいなくなりました。

しかし桜のように再度咲くような気がしてなりません。

いやどこかで咲いているのでしょう。


それからというもの、私は、

一緒にお仕事をする人、出逢った人の見方が変わりました。


「いつか会える」という考えを捨て、

「これが最後」だと思って一生懸命接するようになりました。

すると色んなことがうまくいくようになりました。


それから何度か個展をやることができたのですが、

AYAさんと創った個展がベースになっています。

ありがとーAYAさん!


今度はゴールデンウィークに個展をやります。

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/event/gardening/events.html




散桜