先日、オリンピックに出場していたフェンシングの選手のお話をラジオで聴きました。
私はテレビは見ないし、オリンピック開催にも反対だったので中継は一切見ておらず、その選手のことも初めて知りました。
フェンシング自体には昔から興味があったので、お話は大変に面白く拝聴いたしました。
なにせ、私は元々アーサー王伝説や三銃士などが好きでフェンシングをやりたい少年だったのですから。
それが結局、スペイン式フェンシングの流れを汲むエスクリマのマスターとなることに繋がりました。
この放送に出ていた選手、小柄で非常に腕が長いそうです。
これは、リーチがあって的が小さいので非常に有利だと言っていました。
さらにはパワーも強いそうです。
筋トレ動画などを観ているみなさんは目にしたことがあるかもしれません。フェンシングの選手にはすごい筋肉の持ち主がいます。
これ、偶然ではなくて、実はフェンシング競技、特にエペと言われる物にはものすごく筋力が必要なのだそうです。
フェンシングと言うと軽い剣を持ってスマートに動いていて、技巧的な物というように見られがちだそうですが、全然そんなことはなくてエペはもうとにかく剛力を持って相手の剣を跳ね返したらそのまま力攻めに攻め込んでゆくという要素が強い物なのだそうです。
上に書いた特徴、実は全部私の継承しているスタイルのエスクリマに共通しています。
私の先生方はみんな小柄です。
小柄ですが、体格的には優れています。
GMは160センチも無いのですが、初めにお会いしたときは肩から脚のような腕が生えていました。
マノマノを教えてくれたGMレイは一見細身ですが、カットされた筋肉の筋が全身を走っていました。
これはオーストラロイドの遺伝子が影響しているようなのですね。彼らは非常に力強い人種だと言われています。
ジムで出会った一見ぶよんとしただらしない体格のマスターたちもものすごく力が強い。
上の二人のGMの先生であるGMヴィン・サンチェスはご高齢だったのですが、写真で見る限りはその後年齢にしては長身だったようです。
伝説的存在だったカコイ・カニェーテ先生も非常に大きく、格闘技のルールの中でその巨体に任せて攻めてくるというのは大変に有利であったことが想定されます。
強力なダメージをもたらすとは言え、棍棒で打ち合う試合であるならやはり打たれ強い身体を持っている巨漢が掴みかかってくるというのは非常な優位でしょう。
対して、刀剣を主体とする私たち伝統派では、なるべく身体で受け止めないで済むように兵器の影に隠れながら相手との距離を詰めて行きます。
その近距離戦で、相手の攻撃を刀で受け止める力や近づいたやいなやふん捕まえて引きずり倒すようなパワーは非常に重要だったと思われます。
ちなみに上に書いたフェンシングの選手、平素のウェイトなどのパワーはそれほどではないのだそうです。
けれども、剣を持っている時だけは力が強いのだと言っていました。
これは、フェンシングをするときのための力、相手の剣を弾いて押し込んでゆく打ち込むための力であって、ただの単体での力を作っているからではないようです。
これってすごく中国武術的であるようにも思います。
もちろん、力の中身は違うからそこは全然違うのですけれども、兵器を中心とした体作りと言うのは中国武術の基本です。
これは元々、古代での戦闘が弓や戈、戦車を使ったものであり、その訓練で作られた身体を基準に拳術が作られたからだと言います。
この辺りも、徒手のための身体で行う格闘技とは違うところなのですよね。
フィリピン武術の徒手の技術も、あくまで兵器の用法を前提とされています。
決して単体で行うものではありません。