人間の底にあった物 | サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ

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 進化人類学という物があるそうで、その分野の有名な先生がクラウド・ファウンディングで資金を募って面白い実験をされたそうです。

 その実験の仮説としてあった史観がとても面白い物でした。

 日本には、先住民族と言われる人々がいますね。

 天皇家が天孫降臨して、それら先住民族を支配して行って国としての日本のアウトラインが出来たと言って良いでしょう。

 これら先住民族の代表として、我々は熊襲や土蜘蛛の他にアイヌや琉球の人々を彷彿することが出来ますが、しかし最近の研究ではアイヌは比較的最近になって北海道に渡ってきた人々だとされているそうです。

 では、沖縄の人達はいつからあそこに居たのでしょうか?

 私たち四十以降の世代は、人類というのはその手前の状態で世界の各地に居た物だと習ったように思います。

 当時の大陸はパンゲア、一つの大陸だったといわれています。

 しかし大陸が分裂して移動した後、それぞれの土地で同時多発的に進化して人類になったと言われていました。

 ですが、上述の先生はそうではなくて、人類に進化してから渡ったのだと言う学派の先生です。

 沖縄の人達は沖縄に居た霊長類から進化して沖縄人になったのではなくて、台湾から渡ってきたというのが自説です。

 台湾人と言っても中国経由の外省人ではありません。いわゆる台湾族。首狩りの風習のある蕃と言われていた高砂族の人々です。

 その彼らが、沖縄に移住したのです。

 同様の説を唱える学派の中でも、これまでは黒潮に乗って漂着したという説がありましたが、この先生は計画的に移住をしたというのですね。

 なぜなら、流された漁師たちだけだと、生き残っても繁殖が出来ない。

 初めからある一定の個体数で移住したと考えないとそれだけ発展は得られないと言うのです。

 納得の行く考えですが、この説には反論が出ます。

 というのも、台湾自体が豊かな国で現在に至るまでそれを継続しているというのに、わざわざそこを離れて別の土地に向かう必要がないというのです。

 しかし、この先生が言うには、人類には元々外へと向かう好奇心があったというのです。

 これは非常に面白いお話です。

 確かに、大航海時代や幾多の開拓、また宇宙開発にしても、必ずしも必然性があって逃避しているとは言えない部分があります。

 人類というのは、単一の種としては世界中に分布している唯一の生物です。

 その理由はなんでしょう?

 確かに、貧困や飢餓、軍事による難民などで移住した人たちは多い。

 しかし、広い世界を自ら望んで故郷を出て行った人も多いのではないでしょうか。

 それと同じことを古代人もしていたというのがこの先生の考え方です。

 この先生は、台湾に行って現地の人々の古代の知恵を借りて古式のいかだを作り、それで実際に沖縄まで渡れるかを検証したのだそうです。

 果たして、実験は見事に成功。

 この先生もまた、自分の面白いを信じて実行した人です。

 ふと気づけば、消極的な理由で選択をすることが大人らしい、社会人らしいと感じてしまいがちですが、人類の遺伝子には本来このような行動を志向する部分が含まれていたとは思えないでしょうか。

 振り返れば、私の「アジアに土着化した西洋フェンシングのグランド・マスターになる」や「仏教の身体観によって伝わった行としての武術の継承者として生きる」という選択も、同じところを動機としている気がします。

 本当に自分が面白いと思うことに生きると言うのは、人としての根元的な幸せに繋がっている気がします。