福沢諭吉翁が遺したという、福沢心訓七則というのは、あれは偽作なんだそうですね。
それでも中々に面白いことを言っているように思います。
- 一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です。
- 一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
- 一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。
- 一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
- 一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
- 一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事です。
- 一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。
あの中で語られている仕事と言う言葉は、現在の言葉で言う仕事とは違うのだと聞いたことがあります。
仕事忙しいなー、とか仕事いかなきゃ、みたいな感じでいう仕事のことは、昔は生業と言ったそうです。
生きていくための作業のことですね。
対して、仕事と言うのはライフワークや、未来への事業のような、その場の自分に利益に直結している訳ではない作業のことを言ったそうです。
これは哲学なんかで言う「デリダの仕事」とか「ラカンの仕事」なんて言葉にいまでも残っているような気がします。
それで言うなら、まさに私の武術の研究と言うのがこの仕事に相当するように思います。
そして、その上で七則を見ると、まぁ、偽物武術をしたりなんだかよくわからないことをしていたりするのは、さみしいことだし惨めなことだと思いますよ。