名人の施術 | サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ

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気持ちよく生きるためのライフスタイルとしての南派拳法(カンフー)蔡李佛拳とエスクリマ(フィリピン武術)ラプンティ・アルニス・デ・アバニコを横浜、湘南、都内で練習しています。オンライン・レッスン一か月@10000で行っております。
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 朝のワンコイン・ルーシーダットン企画、反応もなかったので誰も来ないんだな、と思いながら現場に行き、一人で気功とルーシーダットンをして帰ろうと思っていたら、いつもの生徒さんがきてくれました。

 しかも二大先生……。

 ワンコインでリラクゼーションをやる企画なのに、ふつーに濃い時間になりました。

 ひとしきりの内容が終わった後、名人が施術をさせよと言ってくれたのでお願いしたのですが、これがまた濃かった。

 この整体名人、異常な能力の持ち主です。

 普通に整体やマッサージで想像するような、凝っている筋肉をもみほぐすというような物ではないのです。

 身体の中で働いている力の連結を解析して、直接固まっているところではなくてそこに集約されている力の流れの末端からひとつづつ辿りながら施術をしてゆきます。

 それも、もむというより引っ張ったりします。

 例えば首が固まっている時には手の指や足の指、肋骨の間を引っ張ったりします。

 あっちをひっぱり、こっちをねじり、そちらをさすってそれから手首の骨をつまむ、というようなことをします。

 物理的には、直接つながっていないところでも、力の働きで連結しているところを下流から影響させるのです。 

 これ、気功の考えです。

 昔の中国人は、世の中には物質とエネルギーという物があると発見しました。

 そのエネルギーが気と呼ばれました。

 特定の気という物があるのではなくて、あらゆるエネルギーを差して気と呼びます。

 例えば音叉が反響するとき、直接の物質の接触は目に見えなくても、空気の震動というエネルギーが作用しています。

 これが気の働きということになります。

 磁力でも熱でも電力でもみんな同じです。だから磁気、熱気、電気と言う訳です。

 身体でも、直接骨格や腱で繋がっていない場所でも、力の働きで繋がっているということが多々あります。

 例えば耳を傾けて何かの音を聴こうとするときに、そちらの側の足に体重がかかってそこに重力が掛かります。

 足の裏から耳に直接つながっている骨はありません。

 でも、身体の中を通っている力は繋がっています。

 この力を気と呼び、この気に別の力、気を作用させて、名人は施術をしているのです。

 名人曰く「数奇な人生を送っているほど力の流れがこんがらがっている」であり「人間は最高のパズルだ」だそうで、聴けば私の身体がえらい複雑に力の繋がった物なので、その流れを解析して解いてゆくのが面白いのだそうなのです。

 この人、武侠小説に出てくる人だよ。

 教科書的に言えば、名人の施術は医学的にはまったく繋がってないところをいじってばかりいます。

 けれども、物質ではなく力の繋がりということでいうなら間違いなくそこに存在しています。

 それを直接見つけて解すと言うのは、私たちの武術の考えからすると非常に親和性が高い。

 と、いうのも、私たちの少林武術の考えというのは、易筋と洗髄によって体を作り変えることで身体が人間に進化したときに奥にしまいこまれてしまった動物の能力を発掘して活用する、という物だからです。

 その動物性の再現において、側対歩という物を作ります。

 動物には、側対歩と斜対歩という歩き方があり、これは筋膜の繋がり方に由来します。

 象やラクダ、キリンの筋膜は同じ側の前足と後ろ脚が繋がっているそうで、これが側対歩と言います。

 牛などは、胴体をクロスするように斜めに筋膜が繋がっていて、右前足と左後ろ脚、左前足と右後ろ脚が繋がっているそうです。

 人間は、生物学上は斜対歩の動物なので、筋膜がクロスして繋がっています。

 しかし、先天的につながっているこのつながりを置いておいて、側対歩に働く身体を作ってゆくところに武術の練功法のミソがあります。

 この力の繋がりはやはり言い方としては気と言っていいのですが、名人の施術はまさにここに作用します。

 いま、我々の団体、サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー内)では、この施術法を学んで身体の中のことを学ぼうとしています。

 そうすることで、より深く人間の体を感じて知ろうという試みです。

 5月の11日の土曜日、その施術のセミナーを開催する予定です。

 よろしければぜひご参加ください。

 武術と気功(およびヨガなどの操体法)、そして医術によって、より一層の見識を積んでゆこうと思う次第です。