房中術について再び・3 | サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ

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気持ちよく生きるためのライフスタイルとしての南派拳法(カンフー)蔡李佛拳とエスクリマ(フィリピン武術)ラプンティ・アルニス・デ・アバニコを横浜、湘南、都内で練習しています。オンライン・レッスン一か月@10000で行っております。
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 前回は、精を引き上げる練功法を通して中脈が開かれることで、精髄が得られるということを書きました。

 この精髄が気功と武術のレベルを一段階引き上げます。

 中国武術のデモンストレーションにある、股間を物で叩いたり蹴らせたりするというパフォーマンスは、単に打たれ強さを訴えているのではなく、精髄の獲得を表現している訳です。

 生殖器で重りを持ち上げたりするのも同様です。

 また、精を吸い上げる中脈の勁が通ると性器で物を吸うことが出来ると言われています。

 水やお酒を尿道で吸い上げるというデモンストレーションがあり、性交中には女性の性器内の気をそれで吸い上げるのだと言うのですが、これは現代では雑菌による感染症の元になりうるため禁止されています。

 なお、映画ではこのモチーフを見ることが出来ます。RZAの「アイアン・フィスト2」この気に精通(文字通り)しているために異性の精を吸い取る邪仙が登場します。

 このように、歴史上武術や気功の各所に点在して見られる房中術の気功法ですが、これには一つ重大な問題があります。

 それは、この中脈が開通すると精髄を登った精が上に上がりっぱなしになり、脳に熱がこもって偏差が起きるということです。

 ヨガでは精髄に至ることをクンダリニー上昇と呼んでいるようなのですが、この上がりっぱなしになる病気をクンダリニー症候群と呼んで危険視しています。

 では、それに対してどうすればいいのかと言うと、中脈を開通する前に小周天に成功しておくのです。

 小周天とは、背中側の督脈と腹側の任脈という奇経八脈の内の二つを開通させて、気が循環するようにしておくことです。

 中脈が開いて上に上った精を、今度はこの小周天の流れに乗せて循環させてゆくことで、頭部でうっ滞させないようにします。

 という訳で、精髄を得るためにはまず小周天を得ていないとならない。

 さらに言うなら、精を引き上げるには法輪と呼ばれる七つの大きな穴所、ヨーガで言うチャクラの活性化が必要となりますので、まずはこの七つのチャクラを開通させておく必要があります。

 このように幾つもの段階が必要となるため、うちではまずは全身の気の運用から入り、その後、法輪を活性化させ、その後に五臓の勁を引き出し、それらを繋げて小周天を開通させるという指導をしています。

 それらの外周を開いておいてから、真ん中を通る中脈に着手します。

 房中術の練功が必要となるのは、このように段階を踏んでゆく過程で、ということになります。

 しかし、中国ではこの部分をこそ目的として功夫を学ぶと言う人も少なくないと聞きます。

 福建出身の師弟もそうでした。

 そこまで行くにはだいぶ年月をかけないといけないのですが、精髄を獲得すれば、性交に及んだ時の快楽は大幅に増し、その快感は中脈を直行して脳にまで至るようになります。

 これは本当に背骨の内側から震えるような感覚があります。

 さらには、この状態で絶頂に達すると、恐らくは中脈の勁の作用なのでしょう、精管を任意で締めて射精を防ぐことが出来ます。パイプカットと同じ理屈ですね。

 このため、精を損なうことなく、古い故事に言うには一晩に十一人とでも交わることが出来るというのです。

 実際に私も確認したのですが、やはり放出される精が非常に少ない。行為後のぐったりとした疲れとそのまま眠りに入ってしまう感じがません。

 性器も収縮することなく、そのまま継続することも可能でした。

 この部分の話が独り歩きすることも納得は出来ます。

 しかし、これももっと大きな生命の営みと人の心の交流のための物、安易な性交のために行うものではありません。

 本気で取り組める修行者でなければ、そこにまで至るのではないかと思われます。

 実際に、武術の面だけを切り取っても、精髄に至ったという話は百日功夫の実践者と、某有名名門武術団体でしか聞きません。

 後者のほうでは内弟子がやはりひと月の禁欲による練功を行っていて、若い人には大変だったという笑い話を聴いたことがあります。

 この部分のことが当たり前に行われている団体は、中国武術の正道がきちんと継承されていて非常にレベルが高いところだと思われます。