欧州歴史映画「アンネの日記」オランダで密かに生きるユダヤ人少女を襲うナチスを描く! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「アンネの日記」

(原題:The Diary of Anne Frank

 

The Diary of Anne Frank (1959) - IMDb

 

「アンネの日記」全編(英語)

 

1959年3月18日公開。

日本でも翻訳出版されて好評を博したアンネ・フランクの『アンネの日記』の映画化。

 

原作:アンネ・フランク『アンネの日記』

脚本:フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット

監督:ジョージ・スティーヴンス

 

キャスト:

アンネ:ミリー・パーキンス

オットー:ジョゼフ・シルドクラウト

マーゴット:ダイアン・ベーカー

ピーター:リチャード・ベイマー

ミープ:ドディ・ヒース

デュッセル:エド・ウィン

 

The Diary Of Anne Frank (1959) | Montclair Film

 

あらすじ:

1945年、ナチ占領下から解放されたアムステルダム。

強制収容所を出たオットー(ジョゼフ・シルドクラウト)は、想い出の屋根裏部屋に戻って来た。

そこで娘アンネ(ミリー・パーキンス)の書いた日記をみつけた。

日記は1942年7月9日から始まる。

アンネの父オットーはユダヤ人で、母はオランダ人だった。

姉マーゴット(ダイアン・ベーカー)とアンネはドイツで生まれた。

ヒットラーが政権をとるとユダヤ人の排斥が始まった。

アンネ一家は親友のバン夫妻と息子ピーター(リチャード・ベイマー)と共に、オランダへ亡命した。

隠れ家の屋根裏部屋の下は香味料工場で、オットーは家族にいろいろと注意を与えた。

姉妹はピーターと親しくなった。

両親は耐乏生活に苦労した。

戦争は連合軍側に有利になった。

その頃、家主のミープ(ドディ・ヒース)がオットーに1人同居人を入れてくれと頼みにきた。

彼はデュッセル(エド・ウィン)というユダヤ人の歯医者だった。

デュッセルは一家の人々に、ナチのユダヤ人殺害の話をした。

アンネはその話を聞き、ある晩夢を見て悲鳴をあげた。

毎年12月に行われるユダヤ人のハヌカ祭が、屋根裏でささやかに開かれた。

アンネは父に手編みのマフラーの贈物をした。

その時、階下で物音を聞いた。

泥棒が入ったらしい。

おびえたアンネはピーターに抱きついた。

デュッセルはピーターが音を立てたと彼を責めた。

泥棒が捕まった時、その物音から自分たちの所在がばれるのを恐れたからだ。

新年を迎え、アンネも女性らしくなった。

ある日、階下の倉庫で働いているカールという男が、屋根裏部屋のことで階下のクラレルを脅迫した。

アンネとピーターは愛し合うようになった。

アメリカ軍がイタリアに上陸すると、ピーターは自由オランダ義勇軍に参加するといった。

ある日、ミープが盗まれたタイプライターのことで、アンネたちの所在がゲシュタポに知られたことを告げにきた。

8月のある日、遂に来るべきものが来た。

サイレンを鳴らした警察の車が階下に止った。

今はすべてを覚悟したアンネは、ピーターに別れの、そして最後の接吻をした。

人間の善意は永遠に失われないことを信じて、アンネは死の収容所に向かうのだった。

 

The Diary of Anne Frank | Rotten Tomatoes

 

コメント:

 

ジョージ・スティーヴンス監督は、戦時中アメリカ陸軍の映画班に所属していた。

その中で、ダッハウ強制収容所では解放直後から現場の記録撮影に従事した。

世界で一番早くユダヤ人のホロコーストの現実を目の当たりにした。
その悲劇のアイコンとして、アンネ・フランクの日記が各国でベストセラーになり、ブロードウェイでも
劇化された。

ハリウッドのメジャー映画会社の創始者にはユダヤ人が多い。

20世紀フォックスのウィリアム・フォックスもその一人。

スティーブンス監督がフォックス資本で「アンネの日記」を撮るのも因縁めいている。

映画は1945年の戦後まもなく、アンネの父オットー・フランクがアムステルダムの隠れ家を訪れ、協力者のクラーレルとミープに再会し、アンネが綴った日記を手に取る。

回想シーンからアンネが登場。
早々にアムステルダムの隠れ家にフランク家4人、ダーン家3人が入る。

さらに歯科医のデュッセルが加わり、計8人。

2階が事務所、1階が工場というレイアウトで、平日の5時になると行員が帰る。
それまでは音を出すわけにはいかない。

密告が暗躍するナチス支配下の世界だ。
このサスペンスの作りが上手い。

階下に泥棒が入るシーンがあり、その時は必死で8人が固まる。
この窮屈な生活が2年にも及ぶ。

アンネは日記をしたためることで、精神のバランスを取る。

映画も硬軟のバランスで、長丁場をひっぱっていく。

ユダヤ教の宗教儀式ハヌカの心温まるシーンは、追い詰められる8人の一時の解放でもあった。
また、思春期のアンネがダーン家のペーターに想いを寄せるようになるのだが、観客は運命を知っているわけで、キスの意味もひとしおとなる。

第二次大戦の悲劇なので、当然モノクロームが似合うが、シャープな陰影で、動きの少ない室内劇をカバーしている。特に、ラストの警備隊が侵入する寸前、屋根裏部屋の8人の恐怖のたたずまいは凄い。
音が乱暴に侵入する中、8人は凍りつく。

シネマ・スコープのサイズに完璧な8人の構図に舌を巻いた。

 

ヒットラーという狂人がドイツを大量殺人国家に変貌させ、欧州全体を恐怖の世界に陥れた。

その罪は地球より重いのではなかろうか。

 

政治の怖さを感じさせる映画でもある。

 

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