「プリズンホテル」
浅田次郎の人気小説で、ドラマ化、漫画化、映画化がなされている。
『プリズンホテル』は、浅田次郎による小説のシリーズ。
それを原作とするテレビドラマ、Vシネマ、漫画作品が存在する。
1993年から1997年にかけ全4巻が徳間書店より刊行された。
ヤクザが経営するリゾートホテルを舞台に、主人公の作家や従業員、宿泊客らの織りなす人間模様を描く。
1993年に第1巻『プリズンホテル・夏』、1994年に第2巻『プリズンホテル・秋』、1995年に第3巻『プリズンホテル・冬』、1997年に第4巻『プリズンホテル・春』がそれぞれ刊行された。
2017年8月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を突破している。
テレビドラマ版は1993年と1995年にTBS系列で単発ドラマとして2作放送された後、1999年にはテレビ朝日系列で、2017年にはBSジャパンにて連続ドラマ化されている。
主な登場人物:
木戸孝之介と同伴者など:
木戸 孝之介
- 主人公。章によっては狂言回しとなり、この物語は孝之介を「僕」とした一人称と三人称の両方で語られる。
- 極道小説『仁義の黄昏』で売れっ子となった小説家。文化人ではあるが、幼いころ、母親が自分と父の元から去ってしまったことがトラウマになっており、その時から精神年齢の成長が止まってしまっている。この物語は群像劇であるが、シリーズ全体においては彼の成長がテーマとなっている。
- 前述の通り子供がそのまま大人になったような人物で、性格は破綻しており(本人曰く「偏屈」)、自己中心的でプライドが高く、愛情を憎まれ口や暴力でしか表現できない。富江や清子には日常的にDVまがいの暴力を振るい、同業者や編集者にもしばしば襲い掛かる。反面、人が見ていない場では優しい面を覗かせ、女性の涙に弱い。
- 木戸 富江
- 孝之介の継母。
- 孝之介には事あるごとに「グズでノロマでブス」と罵られ暴力を振るわれるが、それをものともせず母としての勤めを尽くす人格者。
- また孝之介も本心ではかなり富江に依存している。
- 田村 清子
- 孝之介から月々20万円の手当てを受け取り、彼の秘書的(もしくは奴隷的)役割を担っている女性。元々はヤクザの妻。
- 100人の男が見て100人の男が振り返るぐらいの美女であるが、かなり抜けている性格であり、孝之介の憎まれ口にも傷つく様子もなく、的外れな反応をすることが多い。
- 日常的に受ける暴力に対しても終始無抵抗であり、一見、立場上逆らえないだけであるかような印象を与えるが、孝之介が投げた手桶に自ら当たりに行く描写があるなど、実際は力加減の分からない子供をあやしている感覚に近いと思われる。孝之介の屈折した愛情にも気づいており、家庭を支えてくれていることに感謝している。
- 娘の他に、寝たきりの母がいる。
- 田村 美加
- 清子と元夫の正男との間に産まれた一人娘で、6歳。
- 年齢の割にかなりしっかりしており、家事や掃除、料理・炊事などをこなす他、言動も筋が通っている。また、大人が鑑賞するような芸術にも興味を抱く。
- 『秋』では顔のない父親の絵を描くなど、孝之介との間には隔たりが存在していたが、次第に心を通い合わせ、『春』で再登場した時には清子と同じように孝之介の性格を達観している。
奥湯元あじさいホテルの人々:
- 木戸 仲蔵
- オーナー。
- 関東桜会木戸組の初代組長であり、「桜会五人衆」の筆頭。業界では名の通った侠客であり、総会屋の大立者として政財界にも知られている。
- 絵に描いたような仁義と任侠の男であり、物腰や趣味はヤクザだが、社会の理不尽を憂う気持ちと他人への思いやりに溢れ、銃を持った人間に無防備で説得に向かえる度胸を持つ大人物である。しかし会話・言動の所々に庶民的で小心的な親しみやすい面が垣間見えることが多々ある。
- 孝之介の実の叔父かつ1人だけの身内であるが、ヤクザということと、兄の暴力から義姉を救うために駆け落ちを手引きしたことにより、彼からは嫌われていた。
- 花沢 一馬
- 支配人。
- 熱血ホテルマンであり、自他共に認める誠実で実直な男。常に客の立場でものを考え、客が心に抱える悩みにまで耳を傾ける。カタギではあるが、他人のために自らを犠牲にできる覚悟があり、仲蔵からは「俺のメガネどおりの男」「おめえは人を幸せにする」と評される。
- 元々は大手「クラウンホテル」のホテルマン。客のことを第一に考えるあまりホテルの利益主義と反する事件をいくつも起こし、不遇を受け続けていた矢先、仲蔵により奥湯元あじさいホテルに引き抜かれる。
- 黒田 旭
- 副支配人(番頭)。
- 木戸組若頭。巨顔、巨体、筋骨隆々の典型的なヤクザだが、従業員の例に漏れず善人。
- ヤクザがホテルを経営することによるズレを代表するような人物で、花沢とは度々コントのような会話を展開する。
- 孝之介の母と駆け落ちした張本人。責任を感じているが、後ろめたい態度を常に表に出しているわけではなく、孝之介の子供っぽくあしらい易い性格も把握している節がある。
- 梶 平太郎
- 板長。
- 唯一、仲蔵がオーナーになる前からこのホテルに務める人物。
- 職人気質で、料理の腕は一級品。最初はメニューに服部のフランス料理が加えられることを渋っていたが、やがて彼の実力を認めていき、師弟のような関係を築いていく。
- 服部 正彦
- シェフ。
- 30歳の若さで「クラウンホテル」の料理長を務め、多くの著作やグルメ番組で有名となった天才。
- 花沢支配人と共にクラウンホテルから引き抜かれるが、その際に赤痢の集団食中毒をでっち上げられた。
- 誠実だがミーハーな面もあるようで、『夏』では心霊に『冬』では登山に熱を上げている。
- 花沢 繁
- ボーイ。
- 一馬の一人息子。暴走族「西荒川連合」のアタマでバリバリのヤンキーだったが、バイクの趣味で通じた黒田によって更生させられる。口癖は「ダッセーよなー」。
- ホテルで働くうちに父親の仕事ぶりに尊敬の念を抱くようになり、ホテルマンの仕事にもやりがいを感じ始める。
- アニタとゴンザレス
- 出稼ぎにきた外国人労働者。日本語も達者で、従業員たちの人間性までしっかり理解しており、客を励ます優しさも持つ。
- 日本人と同じだけの給料を払ってくれる仲蔵に感謝し、侍と称している。
- 常
- バーテン。
- ホテル内のカラオケバー「しがらみ」を任されている。かつて広島代理戦争で3人を殺めた業界の有名人であり、別名「鉄砲常」。
- 黒田 千恵子
- 女将。
- 旭の妻で孝之介の実母。孝之介には負い目を感じている。
ドラマ化作品:
TBS:
単発スペシャルドラマ
『プリズンホテル 暴力団御用達 奥久慈ホテル2泊3日・ドリームツアー』
1993年12月6日放送。
また、1年半近く経過した1995年4月3日に2作目が放送された。
不祥事を起こして失業し、木戸仲蔵に「プリズンホテル」へ呼び寄せられた古谷演じる元ホテルマンが主人公であるなど、原作とは異なった作品となっている。
キャスト
- 古谷一行
- 中田喜子
- 綿引勝彦
- 清水由貴子
- 矢崎滋
- 小松方正
- 結城美栄子
- ルビー・モレノ
- 芦田伸介
このドラマは、K-PLUSでレンタル可能:
テレビ朝日:
「プリズンホテル」
1999年4月17日~6月19日放送。
テレビ朝日系列『サタデードラマ』枠で放送。
全10話。
主人公の木戸孝之介が女性に変更されている。
一方、木戸孝之介の恋人かつ秘書の田村清子が男性に変わり、名前も「田村清次」に変更されている。
キャスト(テレビ朝日)
- 木戸孝之介:松本明子
- 木戸仲蔵:武田鉄矢
- 木戸富江:大島蓉子
- 田村清次:井ノ原快彦 (20th Century)
- 須藤幸枝:小野麻亜矢
- 萩原みどり:青田典子
- 大曽根勉:桜金造
- 黒田千恵子:銀粉蝶
- 黒田旭:大杉漣
- 梶平太郎:河原さぶ
- 花沢繁:徳山秀典
- 花沢一馬:北村総一朗
- 岩井:藤井尚之
- バーテン・常:でんでん
- 安:野添義弘
- 玄:前原一輝
ゲスト出演者
- 村松利史(第1話)
- サード長嶋(第1話)
- 保積ぺぺ(第2話)
- 川俣しのぶ(第2話)
- 徳井優(第7話)
- 小木茂光(第9話)
- 酒井敏也(第9話)
- 石井洋祐(第9話)
- 白竜(第9・10話)
- モロ師岡
- 勝部演之
- 草村礼子
- 岸本宏志
- 温水洋一
- 逸見太郎
- 広瀬仁美
主題歌
- 松本明子「ステラ」
- 挿入歌 - 海援隊「エレジー」
このドラマは、動画配信、DVD共に見当たらない。
2017年10月7日から12月16日まで、テレビ東京系列のBS放送局・BSジャパンで同年同月より新設された連続テレビドラマ枠『連続ドラマJ』(土曜 21:00 - 21:54)の第1弾として『浅田次郎 プリズンホテル』のタイトルで放送。
キャスト(BSジャパン)
- 花沢一馬(支配人) - 田中直樹(ココリコ)
- 新井拓也(フロントマン) - 矢野聖人
- 花沢シゲル(花沢の娘) - 北香那
- 鉄砲常(バーテンダー) - 森下能幸
- フランケン安吉(バー スタッフ) - 長江英和
- 梶平太郎(板長) - 武田幸三
- 服部正彦(料理長) - 永岡佑
- ゴンザレス(番頭) - 望月ムサシ
- ロドリゲス(番頭) - 副島淳
- アニタ(仲居) - ジョアニ・エロア
- みい子(仲居) - かなで
- ローザ(仲居) - ユリコタイガー
- 寅二(番頭) - 谷充義
- 舎弟A - 河西祐樹
- 舎弟B - 石原直哉
- 蛭田(番頭) - 坪谷隆寛
- 黒田旭(副支配人) - 菅田俊
- 木戸仲蔵(オーナー) - 柄本明
ゲスト
第1話
- 木戸孝之介(人気小説家) - 吹越満(第9話)
- 田村清子(孝之介の内縁の妻) - 佐藤江梨子
- 矢野政男(清子の元夫) - 豊原功輔
- 田村美加(清子の娘) - 稲垣来泉
- 釣り客 - 岡けんじ
第2話
- 真野みすず(大物演歌歌手) - かたせ梨乃
- 林章太郎(音楽プロデューサー兼マネージャー) - 三上市朗
- 藤沢ゆりな(人気アイドルグループOKgirls 元センター) - 増田有華
- 極道 - 森里一大
第3話
- 小田島仙次(小田島家の父) - 河相我聞
- 小田島八重子(小田島家の母) - 菜葉菜
- 小田島陽菜 - 鎌田英怜奈
- 小田島春斗 - 田坂湊
- 新井の祖父(守護霊) - 菅登未男
第4話
- 藤野涼太(振り込め詐欺グループメンバー) - 水間ロン
- 北大路大介(振り込め詐欺グループメンバー) - 阿部亮平
- 星野一平(振り込め詐欺グループメンバー) - 牧田哲也
- 老人 - 五頭岳夫、池端幸三
- レポーター - 向衣琴
第5話・第6話
- 渡辺莞爾(青山警察署 巡査部長) - 中本賢
- 松倉岩夫(青山警察署 第四係係長) - 島津健太郎
- 佐々木広之(青山警察署 署長) - 阪田マサノブ
- 大曽根勉 - 山本龍二
- 香川新介 - 井上肇
- 竹本朝夫 - 阿邊龍之介
- 大曽根組組員 - 石田尚巳
- マル暴の刑事 - 川守田政人
第7話
- 阿部マリア(ナース) - 遊井亮子
- 平岡正史(医師) - 夙川アトム
- サチコ(バー店員) - 北香那(二役)
第8話
- 武藤剛士(悪役レスラー) - 武藤敬司
第9話
- 富江(孝之介の育ての親) - 大方斐紗子
- 木戸孝之介(幼少期) - 桑折侑良
最終話
- 金森吾郎(元・木戸組組員) - 小沢仁志
- 武田(金森の舎弟) - 國本鍾建
- 志賀(金森の舎弟) - 浜田大介
映画化作品については、次回ブログで紹介します。