ハンフリー・ボガートの代表作「カサブランカ」は、米国で最も人気がある作品である。
アメリカ映画協会(AFI)が発表しているAFIアメリカ映画100年シリーズでは、以下の通り「カサブランカ」が高く評価されている。
スリルを感じる映画ベスト100では、37位だが、ほかの部門では以下のような結果になっている。
アメリカ映画ベスト100(1998年): 2位。
情熱的な映画ベスト100(2002年): 1位。
アメリカ映画主題歌ベスト100(2004年): 2位(『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』"As Time Goes By")。
アメリカ映画の名セリフベスト100(2005年): 5位(「Here's looking at you, kid.(君の瞳に乾杯)」)。
感動の映画ベスト100(2006年): 32位。
アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)(2007年): 3位。
「カサブランカ」
(原題: Casablanca)
1942年11月26日米国公開。
1946年6月20日日本公開。
第二次大戦中のモロッコを舞台にしたメロドラマ。
ハンフリー・ボガートの最大のヒット作。
イングリッド・バーグマンとの共演。
第16回アカデミー賞受賞:
・作品賞
・監督賞:マイケル・カーティス。
・脚色賞:ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、ハワード・コッチの3人。
・主演男優賞ノミネート:ハンフリー・ボガート。
・助演男優賞ノミネート:クロード・レインズ(フランス植民地警察のルノー署長役)。
・撮影賞(白黒部門)ノミネート:アーサー・エディソン。
・アカデミー編集賞ノミネート:オーウェン・マークス。
・アカデミー作曲賞ノミネート:マックス・スタイナー。
(注:イングリッド・バーグマンはこの年「誰がために鐘は鳴る」で主演女優賞にノミネートされたため、本作では候補となっていない)
「アメリカ映画の名セリフベスト100」:
アメリカ映画協会 (AFI)選定の(2005年)の中に以下のセリフがランクインしている。
- 第5位:"Here's looking at you, kid."「君の瞳に乾杯」
- 第20位:"Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship."「ルイ、これが俺たちの美しい友情の始まりだな」
- 第28位:"Play it, Sam. Play 'As Time Goes By." 「あれを弾いて、サム。『時の過ぎ行くままに』を」
- 第32位:"Round up the usual suspects.「いつもの要注意連中を一斉検挙だっ」"
- 第43位:"We'll always have Paris."「僕たちの、心の中には、パリがある」
- 第67位:"Of all the gin joints in all the towns in all the world, she walks into mine."「世界に星の数ほど店はあるのに、彼女はおれの店にやってきた」
脚本:ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、ハワード・コッチ
監督:マイケル・カーティス
音楽:マックス・スタイナー
主題曲:「As Time Goes By」
キャスト:
- リック・ブレイン:ハンフリー・ボガート
- イルザ・ラント:イングリッド・バーグマン
- ヴィクトル・ラズロ:ポール・ヘンリード
- ルノー署長:クロード・レインズ
- シュトラッサー少佐:コンラート・ファイト
- フェラーリ:シドニー・グリーンストリート
- ウーガーテ:ピーター・ローレ
- サム:ドーリー・ウィルソン
- カール(ウェイター):S・K・サコール
- サッシャ(バーテンダー):レオニード・キンスキー
- イヴォンヌ:マデリーン・ルボー
- アニーナ・ブランデル:ジョイ・ペイジ
- エミール(ディラー):マルセル・ダリオ
- オランダ人の銀行家:トーベン・マイヤー
- リックにカジノ入りを拒否されるドイツ人バンカー:グレゴリー・ゲイ
- ギターを持って歌う女性歌手:コリンナ・ムラ
あらすじ:
まだ独軍に占領されない仏領モロッコの都カサブランカは、暴虐なナチスの手を脱れて、リスボンを経由し、アメリカへ行くために、1度は通過しなければならぬ寄港地である。
この町にアメリカ人リック(ハンフリー・ボガート)が経営しているナイト・クラブは、それら亡命者たちの溜り場だった。
独軍の将校シュトラッサアは、ドイツ側の飛脚を殺して旅券を奪った犯人を追って到着する。
旅券を盗んだウガルテという男は、リークに旅券の保管を頼む。
リックはこれをピアノの中へ隠す。
リックと奇妙な友情関係にあるフランス側の警察署長ルノーは、シュトラッサの命をうけてウガルテを逮捕した。
そのあと、反ナチ運動の首領ヴィクトル・ラズロと妻のイルザ・ラントが現れる。
2人はウガルテの旅券を当てにしているのだが、イルザは、この店の経営者がリックであると知って驚く。
憂うつなリックは、店を閉めたあと、盃を傾けながら、彼女とのことを回想する。
独軍侵入直前のパリで、彼はイルザと熱烈な恋に身を焦していていたのだ。
いよいよ独軍が侵入して来たとき、2人は一緒に脱れることを約束した。
しかし、彼女は、約束の時間に姿を現さず、そのまま消息を断ってしまったのだった。
こうした回想にふけっているとき、イルザが一人で訪れて来た。
だが、彼は素気ない言葉で彼女を立ち去らせる。
ラズロは闇商人フェラリの口から問題の旅券はリックが持っているらしいと聞き、彼を訪れて懇請するが、リックは承諾しない。
2人の会見の模様を夫から聞かされたイルザは、再びリックを訪れ、パリで彼と恋に陥ちたのは、夫ラズロが独軍に捕われ殺されたと信じ切っていたためであり、約束を破って姿を消したのは出発の直前、夫が無事であることが判明し、しかも病気で彼女の看護を求めていると知ったためだと事情を語った。
これでリックの心も解けて、2人の愛情は甦った。
翌日、リックは署長ルノーを訪れ、
「ラズロに旅券を渡すからそのとき彼を捕えろ、俺はイルザと逃げる」
と語り、手はずを整えさせた。
だが、その夜、店にラズロとイルザが現れ、ルノーがこれを逮捕しようとした時、突然リックはルノーに拳銃をつきつけ、ラズロ夫妻の旅客機を手配するため、飛行場へ電話をかけるように命じた。
ルノーは、電話をシュトラッサアへつなぎ、暗に2人が出発しようとしていることを知らせた。
飛行場へ赴いたリックは、ラズロとイルザをリスボン行きの旅客機に乗せてやる。
一足違いで駆けつけたシュトラッサアは、これを阻止しようとしてリックに射殺された。
彼の死によって独軍及びヴイシイ政府の呪縛から脱したルノーは、リックと共にこのカサブランカを脱出し、反独戦線に加わることを誓うのだった。
コメント:
我らがボギーが世界トップクラスの俳優になった記念すべき作品がこれだ。
この映画は、ボギーとイングリッド・バーグマンとの共演が素晴らしく、今でも大人気作品になっている。
ボギーのダンディで女に優しい部分はカッコいいし、バーグマンの素晴らしい美貌と泣かせる演技は際立っている。
しかし、この映画は、ボギーとバーグマンとの共演が素晴らしいだけではない。
まず、アメリカ行きの唯一のルートとなった「カサブランカ」という舞台設定。
ここがフランスの植民地という国際情勢の複雑さを象徴する土地であること。
第二次大戦において、モロッコの首都カサブランカは政治都市だったのだ。
リック、ラズロ、イルザの主役3人だけでなく、ルノー署長、裏の顔役であるフェラーリ、ちょこちょこ顔を出す摺師、ピアノ弾きのサム‥登場人物がいずれもキャラが立っている。
でも、それでいてストーリーはスッキリしていて混乱しない。
特に印象に残るのが、バーグマンとピアニストのサム(サム:ドーリー・ウィルソン)のやりとりと、そこに現れるボギーのシーンだ。
「あれを弾いて、サム。『時の過ぎ行くままに』を」とサムにねだるバーグマンが美しい。
空港で二人が別れるシーンがこちら:
ボギーのセリフがカッコいい。
「君の瞳に乾杯」
泣かせる!
ラストに「ビシー水」がゴミ箱に入れられるカット。
これは、ドイツのナチ批判のように見えて、実はフランスの傀儡政権であるビシー政府批判の映画でもあるのだ。
洒落が効いているのだ。
このミネラルウォーターは、楽天でも売られているようだ。
高い!
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