ハリウッド・コメディ映画 第35位 「ハーヴェイ」 まぼろしのウサギをめぐるファンタジー! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「ハーヴェイ」

(原題:Harvey

 

Harvey (1950): A Meditation On Kindness | Counter Arts

 

「ハーヴェイ」 プレビュー

 

1950年10月13日公開。

ピュリッツァ賞を受けたメアリー・チェイスの同名戯曲の映画化。

ジェームズ・スチュアート主演。

 

受賞歴:

アカデミー助演女優賞(ジョセフィン・ハル)

ゴールデングローブ賞 助演女優賞(ジョセフィン・ハル)

 

キャスト:

エルウッド:ジェームズ・スチュアート

ヴィタ:ジョセフィン・ハル

マートル・メイ:ヴィクトリア・ホーン

サンダースン博士:チャールズ・ドレイク

チャムリー博士:セシル・ケラウェイ

ケリー:ペギー・ドウ

タクシー運転手:ウォーレス・フォード

 

Harvey (1950) - IMDb

 

あらすじ:

カリフォルニア州のロサンゼルス郡にある小さな町・グレンドーラ。

当地の名門ダウド家の主人エルウッド(ジェームズ・スチュアート)は、ハーヴェイと称する6フィートの白兎と大の親友である――と自ら信じ込み、会う人毎にこの親友を紹介したがるので、彼と同居している姉のヴィタ(ジョセフィン・ハル)や彼女の娘マートル・メイ(ヴィクトリア・ホーン)は大いに閉口している。

ヴィタは、マートル・メイの婿探しに名流婦人の茶会を催したが、エルウッドはチャーリーの酒場でいい御機嫌になって御帰館、兎を紹介しはじめ、会をめちゃめちゃにした。

ヴィタは遂に彼を精神病院に入れることにしたが、病院の若い医師サンダースン博士(チャールズ・ドレイク)はヴィタを患者と間違えた上、エルウッドにすっかり共鳴してしまった。

院長チャムリー博士(セシル・ケラウェイ)はエルウッドが帰ってからやっと彼が狂人であることに気づき、ヴィタを釈放する一方、、チャーリーの酒場に彼を追って行く。

だが、これまたすっかりハーヴェイ党になって、馴れぬアヴァンチュールにまで発展した末、兎の幻想に追われながら帰院した。

一方エルウッドは酒場でサンダースン博士と看護婦ケリー(ペギー・ドウ)を結び付けてやったところを看護人ウィルスンに病院に連れ戻され、ヴィタの願いで幻想の消える注射を打たれることになった。

しかしこの時乗ってきたタクシーの運転手(ウォーレス・フォード)から幻想の消えた患者が如何に平凡な人間になるかを聞いて、彼女も初めてエルウッドの良さを悟った。

そして、入院はおろか注射も中止して、彼女とエルウッドは、見えざるハーヴェイともども心楽しく帰宅したのであった。

 

ハーヴェイ (映画) - Wikipedia

 

コメント:

 

は1950年のアメリカ合衆国のコメディ映画。 

監督はヘンリー・コスター。

 

「フィラデルフィア物語」で主役をつとめたジェームズ・ステュアートが素晴らしい。 

 

Amazon.com: Harvey Harvey The Rabbit James Stewart 1950 Photo Print (8 x  10): Posters & Prints

 

原作は1944年にブロードウェイで初上演されたメアリー・チェイスによる同名戯曲であり、チェイス自ら脚色に加わっている。 

なお、原作戯曲は1945年のピューリッツァー賞(戯曲部門)を受賞している。

 

ハーヴェイは身長約2メートルのウサギの姿の妖精。

その姿は、主人公にしか見えない。

昼からマティーニを嗜む主人公のアル中による妄想と周囲は思っている。

主人公を入院させようとするドタバタ騒動を通して、正常と異常が逆転していくコメディ。

この主人公はほんとうに狂人なのだろうか。

少なくとも姉とその娘は妄想癖のある弟をなるべく世間に知られないように隠そうと必死である。

娘のマートルにいたっては叔父のおかげで結婚できないと不満たらたら。

確かに大の大人が妄想のうさぎと親しそうに会話を交わしている様子は不気味に見えないこともない。

でも彼は人に対して危害を加えるどころか、実に親切で人当たりがよい。

そんな彼を病院に入院させ普通の人間に戻そうとするドタバタをコミカルに描いている。

 

オリジナルが戯曲なので、滑稽な会話の応酬がいかにも舞台劇といった趣だ。

特に姉のヴィタを演じたジョセフィン・ハルの取り乱しぶりはまさに喜劇的で傑作。

アカデミー賞受賞も納得の芸達者ぶりを見せてくれる。

 

特に、ムキになって弟の病状を医師に説明するもののあまりのハイテンションぶりに驚いた医師が姉を患者と間違えてしまうという成り行きは爆笑もの。


純粋無垢で人の好いエルウッド(スチュアート)を治療によってつまらない普通の人間に戻してしまうのか?・・・というクライマックスの一言が意味深。


主人公の姉を演じたジョセフィン・ハルは、原作戯曲の初演時に同じ役を演じており、その映画化作品である本作でアカデミー助演女優賞を受賞している。

この人は、1877年にマサチューセッツ州ニュートンヴィルで生まれた。
本作当時は77歳だ。

1905年に舞台で女優デビューし、以後50年にわたって舞台女優として活躍、舞台演出家としても活動した。

映画出演はわずか6本だが、すばらしい存在感を示している。

 

Josephine Hull in HARVEY – Once upon a screen…


ハーヴェイは純真無垢な精神の持ち主にだけ現れる妖精なのか?

際どい題材ながら最後は心温まるエンドになっている。

 

天性の純粋さを当たり障りのないつまらない人間にもどそうとする行為への皮肉は、教育や医療といった社会の仕組みに対する批判のようにも感じる。

 

でも映画はそんな社会風刺などよりも人間のおかしさをファンタジックにまとめたコメディとして楽しめる作品になっている。

 

こういうあっけらかんとしたファンタジーの世界こそ、ハリウッド・コメディならでは。

精神病院のスタッフが患者に対する乱暴な接し方は、今だったら大問題になるだろうが、当時は問題にされていない。
時代の違いだ。

 

この映画は、Amazon Primeで動画配信可能:

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