日本の文芸映画 石坂洋次郎 「赤い蕾と白い花」 吉永小百合主演の日活映画! 主題歌もヒット! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「赤い蕾と白い花」

 

赤い蕾と白い花 | 映画 | 日活

 

「赤い蕾と白い花」 プレビュー

 

1962年6月10日公開。

石坂洋次郎の小説『寒い朝』を原作とした映画。

 

原作:石坂洋次郎「寒い朝」

脚本:池田一朗

監督:西河克己

主題歌:吉永小百合・和田弘とマヒナスターズ 「寒い朝」

 

キャスト:

  • 岩淵とみ子:吉永小百合
  • 三輪重夫:浜田光夫
  • 三輪貞一:金子信雄
  • 岩淵真知子:高峰三枝子
  • 岩淵かね:北林谷栄
  • 柳屋のおかみ:武智豊子
  • 柳屋の女中:福田トヨ
  • 桶川:堀恭子
  • 宮本:相馬幸子
  • 島中家政婦:早川名美
  • 看護婦:佐川明子
  • 藤林医師:左卜全

 

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あらすじ:

三輪重夫(浜田光夫)と岩淵とみ子(吉永小百合)は高校三年の仲の良いクラスメイトである。

重夫は小さい時に母親を亡くし、とみ子は父親を亡くして母親に育てられた。

似たような境遇が二人を一層親密にさせたが、彼等には片親の子にあり勝ちな暗い影はみじんもなかった。

或る日、とみ子の母親・真知子(高峰三枝子)が風邪をひいて寝こんだ。

とみ子は三輪医院に電話した。

それから毎日、重夫の父・貞一(金子信雄)が真知子の診察に来た。

重夫ととみ子は、父と母がそれぞれ仲良くつきあっていけるようにいろいろと気を使った。

そんな頃、とみ子の祖母・おかね(武智豊子)が上京して来た。

真知子は貞一と語らっておかねを羽田空港へ連れてゆき、遊覧飛行機に乗せた。

その時、真知子が捻挫したため、貞一が彼女を抱いているところを、真知子が校長をしているドレス・センターの生徒達が写真に撮った。

その写真は家に送られて来た。

ちょうど、重夫ととみ子が試験勉強をしている時だったので、とみ子はその写真をみた。

スカートから白い足を露わに貞一に抱かれている写真なのでとみ子は、「汚らしいわ!」と言うと泣き出した。

とみ子は親たちへのレジスタンスのために家出を決意した。

重夫も不承不承同意した。

重夫は、とみ子一人に家出させるのは危険だと思ったのだ。

真知子は二人の書き置きをみて仰天した。

真知子は早速貞一の家にかけつけた。

ちょうど、そこに旅館“柳家”のお内儀から電話がかかってきた。

お内儀が三輪医院の患者で、偶然重夫の顔を見知っていたのであった。

貞一と真知子がかつけると、二人は一室で寝ていたが、部屋の隅と隅にフトンが敷かれ、真中には机が置かれてあった。

安心した貞一と真知子も“柳家”で一泊することにした。

翌朝、重夫、とみ子の二人は旅館に近い堤防で自然に抱き合うのだった。

 

赤い蕾と白い花 | 映画 | 日活

 

コメント:

 

原作は、石坂洋次郎の小説「寒い朝」。

1959年4月から7月まで『週刊現代』に連載され、8月に講談社から単行本として刊行された。

 

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最近の吉永小百合のイメージとは違い、主人公の岩淵とみ子はかなり活発で饒舌、親の世代の人々にもズケズケとものを言う。

若い頃の彼女は、頑張り屋、意地っ張り、ハリきり娘といった役柄が多く、この当時の方が演技力があったかも知れない。

 

この映画でも、スイーツをよく食し、エクレアを口に銜えたまま電話に向かう。

うぐいす餅を食べながら話し、食べかけを投げつけたりする。

 

一方、相手役の浜田光夫が演じる三輪重夫は、とみ子に振り回されて従うばかりの軟弱なイメージだ。

でもとても優しい。

二人の織りなす青春時代の一こまを描いた作品として、とても清々しかった。

とみ子は感情の起伏が激しく、かなり衝動的に行動する。

彼女の母と重夫の父は今は一人身で、二人をくっつけようとするが、仲が急接近すると反撥するという、複雑な乙女心を見せる。二人は家出して外泊するが、これが超健全なのが微笑ましい。

罪悪感は全くなく、この時期に罹るはしかみたいなものだと自分で分かっている。

あの「仁義なき戦い」における悪役の親分を演じた金子信雄が、本作ではとても理解のある医者役で登場し、好感度抜群。

昔はこんな良い人だったんだという印象だ。

 

高峰三枝子も感じが良く、北林谷栄のおばあさんがとてもユニークな存在で面白い。

この手の日活青春映画を観たことがない人には一見の価値がある作品である。

 

とにかく吉永小百合が恐ろしく可愛い。

おでこにはニキビが見られるが、そんなものは何の欠点にもならないほど魅力的だ。

 

やはり大女優になった人は、若い頃から存在感が違っていたのだ。

 

この映画も、石坂洋次郎原作の「寒い朝」に沿ったストーリーなので、さほど面白くはないが、映画界での吉永小百合の成長を促した効果だけは認めても良いだろう。

 

この映画の主題歌「寒い朝」も、吉永小百合、和田弘とマヒナスターズ 「寒い朝」が歌って大ヒットした。

 

 

この歌は大ヒットし、吉永小百合はこれで歌手としても認知され、その年の紅白歌合戦に初出場している。

その時の出場歌手のリストがこちら:

 

 

 

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