「ホビット 竜に奪われた王国」
(原題:The Hobbit: The Desolation of Smaug)
2013年12月2日公開。
『ホビットの冒険』を原作とした『ホビット』三部作の2作目。
世界興行収入:$959,027,992
原作:J・R・R・トールキン『ホビットの冒険』
脚本:ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ギレルモ・デル・トロ
監督:ピーター・ジャクソン
キャスト:
- ビルボ・バギンズ - マーティン・フリーマン(森川智之)
- ガンダルフ - イアン・マッケラン(羽佐間道夫)
- トーリン・オーケンシールド - リチャード・アーミティッジ(東地宏樹)
- スマウグ - ベネディクト・カンバーバッチ(声およびモーションキャプチャ)(大友龍三郎)
- 死人遣い(ネクロマンサー) - ベネディクト・カンバーバッチ
- レゴラス - オーランド・ブルーム(平川大輔)
- タウリエル - エヴァンジェリン・リリー(甲斐田裕子)
- バルド - ルーク・エヴァンズ(山路和弘)
- スランドゥイル - リー・ペイス(森田順平)
- 湖の町の統領 - スティーヴン・フライ(銀河万丈)
- ドワーリン - グレアム・マクタヴィッシュ(玄田哲章)
- バーリン - ケン・ストット(稲垣隆史)
- キーリ - エイダン・ターナー(土田大)
- フィーリ - ディーン・オゴーマン(落合弘治)
- ドーリ - マーク・ハドロウ(茶風林)
あらすじ:
邪悪なドラゴン、スマウグに王国エレボールを奪われたドワーフの王トーリンはスマウグを退治し、王国を奪い返そうと13人の仲間と、灰色の魔術師ガンダルフ、そしてホビットのビルボ・バギンズらとエレボールを目指して旅を続けていた。
道中、邪悪なオーク達の追撃をかわしつつ冒険を続けるトーリン、ビルボ達。やがてガンダルフは「もう一つの危惧」を確かめるため闇の森の前で旅の仲間達と別れ、邪悪なネクロマンサーの噂を確かめるためドル・グルドゥアに向かう。
ガンダルフはそこで、恐ろしい魔人の復活を目の当たりにする。
ガンダルフと別れたトーリン達は恐ろしい巨大クモの巣穴に紛れ込んでしまい、クモに捕食されかける。
だが、ビルボの機転と"シルヴァン・エルフ(森のエルフ)"の王の息子レゴラスと 闇の森の守備隊長タウリエルが現れたことによりその場を生き延びる。
しかしシルヴァン・エルフはドワーフに良い感情を持たず、より好戦的な種族だった。
エルフに見つからなかったビルボを除き、ドワーフ一行はエルフの里に捕らえられてしまう。
トーリンはエルフの王でレゴラスの父であるスランドゥイルと会談する。
スランドゥイルはスマウグの元からエルフの宝を持ち帰ることを条件に開放する取引を持ちかけるが、かつて王国を奪われた際に見捨てられた恨みを未だに忘れていないトーリンは取引を拒否。
ドワーフは全員投獄されることとなる。
そんな中、タウリエルは獄中のドワーフの1人・キーリと意気投合し、互いを意識するようになる。
その後、こっそり侵入したビルボの助けによりドワーフ一行は樽に乗り込み川へ脱出する。
しかし、一行がエルフの里から出てくるときを待ち伏せていたオークの襲撃に遭い、辛くもその場を逃れるがキーリは毒矢を受けて負傷してしまう。
また、武器はすべてエルフの里に残してきてしまったため丸腰であり、一行はまたも危機に陥る。
そこに現れた湖の町・エスガロスに住む弓の達人バルドに助けられ、町の中へ密入する。
エスガロスはエレボールのある「はなれ山」の近くであるが、かつてスマウグに襲われ富を失った谷間の国の人間達が逃げ込み、現在は堕落した統領により支配されている腐敗した町だった。
バルドは子供達を養いながらクーデターを計画していた。そんな中 出会ったドワーフ一行は、町の予言にあった「山の下の王の復活」ではないかとバルドは考える。
ドワーフ一行は統領に隠れてエレボールに向かう準備をしていた際に、キーリの傷が悪化し見つかってしまう。
一行は尋問を受けるが、「王国を取り戻した暁には、財宝は山のふもとのすべての民で分け合うこと」を約束し、町の支持を得る。
しかし、バルドは「竜を刺激しては再び町が襲われる」と王国の奪還に反対した。
誰よりも竜の恐ろしさを理解していた彼は、かつてスマウグを殺し損ねた、谷間の国の領主ギリオンの子孫だったのだ。
意見は割れたが、最終的に統領が一行を歓迎することと決めたことでトーリンの説得は成功し、武器や装備を手に入れる。
いよいよエレボールに向かうが、キーリは傷の悪化が激しかったため町に残るようトーリンに命じられてしまい、キーリの兄フィーリも弟と共に残ることにする。
苦難を乗り越え、入り口と鍵穴を発見し、エレボールに到着した一行。ビルボはドワーフの秘宝である「アーケン石」を求めて一人エレボール内部に侵入するが、金銀財宝の溢れた宮殿の中で、邪悪な竜が眠りから目を覚まし、ビルボの前に巨大な姿を現す。ビルボはスマウグから「アーケン石」を奪い逃げようとするが、追い詰められてしまう。
そこにトーリンたちが助けに現れるが、巨大なスマウグに太刀打ちできず危機に陥る。
しかし、トーリンの機転でエレボールの炉に火を入れ、溶かした黄金でスマウグを固めようと思い付く。
作戦は成功したかに思えたが、スマウグは固まる前に脱出し、ドワーフ一行に協力したエスガロスを滅ぼすことを告げ、エレボールから飛び立った。
コメント:
大ヒットした実写映画「ホビット 思いがけない冒険」の第2作。
魔法使いガンダルフ(イアン・マッケラン)に誘われトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)ら13人のドワーフたちとともに、巨大な竜スマウグ(声:ベネディクト・カンバーバッチ)に奪われたドワーフの王国エレボールを取り戻す旅に出たホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)。
臆病だったビルボは、旅を通じて自分にも知恵や勇気があることに気付き、ドワーフたちと固い絆で結ばれていった。
獰猛で巨大なクモの群れの襲撃、ドワーフたちと因縁のある森のエルフとの遭遇、急流を下りながらのオークとの死闘など、旅路は困難を極めた。
それでも彼らは目的を果たすため、恐ろしいスマウグがいるはなれ山の荒れ地を目指す……。
ホビットという題名だが、ドワーフの種族流浪譚の性格が強い。ドワーフの祖国奪回運動がユダヤ人のシオニズム運動のように見えてしまう。トールキンはクリスチャンのイギリス人だから関係ないだろうが。
主人公・ビルボ・バギンズ、イギリスのジェントリのような保守性を感じさせるホビット族の若者が、「思いがけない冒険」の旅に出る。
頑迷という欠点を持つトーリン・オーケンシールドが率いる13人のドワーフたちは、「竜に奪われた王国」、スマウグというドラゴンに奪われたエレボールの王国を取り戻そうとする。
その祖国奪回運動に、オーク、エルフ、人間たちの思惑が絡む、「決戦のゆくえ」は……。
本作は三部作の第二弾、かつてのドワーフ王国の地、はなれ山に到達する。
スマウグが単なる悪役で神秘性がないのが西洋ファンタジーらしい。
ドワーフの王の末裔のトーリンが邪悪なドラゴンに奪われた王家の石を取り戻すために離れ山を目指し、仲間とともにドラゴンと対決するファンタジー物語。
ホビット族からはビルボ・バギンズが、斥候役として雇われて参加する。彼が、この道中で指輪を手にしたことから、後の「指輪物語」へとつながるのだ。
だから、指輪物語の主要登場人物である魔法使いガンダルフ、エルフ族の剣士レゴラスも登場する。
本作はロケ地のニュージーランドの風景が上手く切り取られている。
人の気配の無い、草木と大地だけの風景がとても美しく、おとぎ話の雰囲気を醸成するのに十分である。
城や町の造形もきちんとしている。
場末の居酒屋の食卓の上がとても奇麗すぎて、場違いなのが気になったが。大きな齟齬は無い。
登場する悪役の雑魚キャラのオークや、ラスボスのドラゴンの造形は王道。
映画の内容は、続編とはいえ、かなりバトルの趣が本格的で、問題ない。
実は、タイトルがおかしいのだ。
原題が「The Desolation of Smaug」
日本語タイトルは、「竜に奪われた王国」。
全然異なる表現になっている。
当初の予定は「スマウグの荒らし場」だったという。
「The Desolation of Smaug」という原題は、直訳すると「スマウグの荒廃」。
つまり、「ドラゴン・スマウグの荒らし場」という意味だ。
ところが、日本では「スマウグ」とは何かを知ってる人はほんのほんのほんの一部で、知らない人がほとんどだから、観客動員のためには「スマウグの荒らし場」よりも「竜に奪われた王国」の方がわかりやすいだろう・・・ということだろうと、配給会社のおじさんたちが考え、「竜に奪われた王国」に変わったらしい。
これに反感を覚えたファンがけっこう多かったようだ。
この映画のエンディングが中々の迫力だ:
ようやくトーリンやビルボ一行は苦難を乗り越えてエレボールに辿り着いた。
城は金銀財宝で溢れかえっており、一行が大興奮するなか、ビルボは単身でドワーフの秘宝“アーケン石”を求めて城内を探索する。
しかし、その時遂にスマウグが目を覚ましてしまい、ビルボに襲い掛かってきた。
ビルボはトーリンらと合流しスマウグに立ち向かうが、全く歯が立たず絶体絶命の危機に陥る。
そこでトーリンたちは城の炉で黄金を溶かし、スマウグを溶かした黄金で固める作戦に出たが失敗。
スマウグは、エスガロスを滅ぼすと宣言して飛び去っていくのであった。
そのシーンがこちら:
これは、第3作の予告にもなっているのだ。
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