「ダーリング」
(原題:Darling)
1965年9月16日公開。
ジュリー・クリスティの大出世作。
数々の男性遍歴を経て社会の頂点に到達する女性を描く。
受賞歴:
- 第38回アカデミー賞
- 主演女優賞(ジュリー・クリスティ)
- 脚本賞(フレデリック・ラファエル)
- 衣装デザイン賞(白黒)(ジュリー・ハリス)
- 第31回ニューヨーク映画批評家協会賞
- 作品賞
- 女優賞(ジュリー・クリスティ)
- 監督賞(ジョン・シュレシンジャー)
- ゴールデングローブ賞
- 外国語映画賞
- 英国アカデミー賞
- 男優賞(ダーク・ボガード)
- 女優賞(ジュリー・クリスティ)
- 脚本賞(フレデリック・ラファエル)
脚本:フレデリック・ラファエル
監督:ジョン・シュレシンジャー
キャスト:
- ジュリー・クリスティ:ダイアナ・スコット
- ダーク・ボガード:ロバート・ゴールド
- ローレンス・ハーヴェイ:マイルズ・ブランド
- ローランド・カラム:マルコム
あらすじ:
彼女の名はダイアナ(J・クリスティ)だが、誰もが“ダーリング”とよんでいた。
若気でごく平凡な男と結婚しモデルをしていたのだが、とてもそんなことで満足はできなかった。
たまたまテレビのドキュメンタリー番組に出て、彼女はディレクター兼ナレーターのロバート(D・ボガード)と知り合った。ロバートには妻子があったが、ダイアナの奇妙な魅力にひきつけられ、二人は同棲した。
しばらくは充実した愛の日々が続いたが、ロバートの仕事はいそがしく、一人残されるダイアナは、退屈に身をもてあますようになった。
そんなある夜、彼女は手伝いに行ったパーティで、大会社の若社長マイルス(L・ハーベイ)に出会い、彼の紹介で映画のチョイ役に出た。
やがて妊娠した彼女は中絶をし、その療養に田舎に帰ったが、すぐに退屈になりロンドンに逃げかえった。
だが、ロバートは仕事で忙しく、彼女は一人でイライラしていた。
ある日、ダイアナは芝居のオーディションを受けに行ったが、途中で自信を失ない、マイルスを訪ね誘われるままに、一緒に寝た。
そして、「パリに仕事がある」とロバートに嘘をつき、二人でパリへ遊びに出かけた。
だが、その嘘はバレてしまい、怒ったロバートは荷物をまとめて出て行ってしまった。
マイルスの会社のCMガールとなったダイアナは、CM映画撮影のためイタリアに行き、そこで、ある公国君主のチェザーレに求婚され結婚に踏み切った。
今や公妃となり雲上人となったダイアナだが、その生活は退屈であり、苦痛でさえあった。
そしてついには気も狂わんばかりとなってロバートのもとへ走った。
だが彼女は、もはやそんな勝手がゆるされる立場ではないのだ。
ロバートに送られ、“ダーリング”は一人飛行機のタラップをのぼっていった。
コメント:
中流階級出身のロンドナー、ダイアナ・スコット。
彼女がジャーナリスト、コーポレート・エグゼクティブ、イタリア人貴族との男性遍歴を経て社会の頂点に到達して行く様子を、60年代のイギリス、ヨーロッパのモード文化を背景に描いたストーリー。
イギリス人女性として、世界のトップスターであるジュリー・クリスティの大出世作となった作品。
若くて美しさが際立つ女性の最高の出世物語であり、デビュー間もないジュリー本人にとっても一世風靡することになった映画である。
原題の「Darling」は、恋人同士や夫婦間で使われる、呼びかけ時の愛情表現。
日本では「ダーリン」だ。
だが、この映画では「誰にでも好かれる人気者」という意味である。
この映画では、どんな男をも夢中にしてしまう女性・ダイアナ。
ヒロインを演じたジュリー・クリスティは、本作で喜怒哀楽様々な表情を魅力的に披露。
それを監督が巧みに切り取っていて、デビュー間もない本作でいきなりアカデミー主演女優賞。
一躍トップスターに躍り出て、続く「ドクトル・ジバゴ」「華氏451」と自身の代表作とも言える作品に続けざまに出演し、各賞を受賞した。
映画同様、実生活でもシンデレラストーリーを歩んでいるというイギリス人女優の中で最も成功した人だ。
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