「いつか晴れた日に」
(原題: Sense and Sensibility)
1996年6月1日公開。
近代英国を舞台に良家の姉妹の生き様を描いた大ヒット作。
興行収入:$134,582,776。
原作:ジェイン・オースティン 『分別と多感』
脚本:エマ・トンプソン
監督:アン・リー
キャスト:
エマ・トンプソン:エリノア
アラン・リックマン:ブランドン
ケイト・ウィンスレット:マリアンヌ
ヒュー・グラント:エドワード
グレッグ・ワイズ:ウィロビー
イモジェン・スタッブス:ルーシー
トム・ウィルキンソン:ダッシュウッド氏
ジェマ・ジョーンズ:ダッシュウッド夫人
あらすじ:
貴族のダッシュウッド氏が亡くなった後、ダッシュウッド夫人と3人の娘、エリノア、マリアンヌ、マーガレットは、年500ポンドの遺産しか残されなかったことに愕然とする。
ダッシュウッド氏は妻と娘たちの身を案じ、死ぬ間際に彼女たちを頼むと先妻との間の息子ジョンに頼んでいたにもかかわらず、ジョンの妻ファニーがそれを阻止してしまったのだった。
ジョンとファニーは母娘が住んでいたノーランド・パーク邸に乗り込み、彼女たちを邪慳に扱うようになる。
エリノアは、屋敷を訪れたファニーの弟エドワードと互いに好感を抱く。
ダッシュウッド母娘はミドルトン卿の厚意でバートン・コテージへ移り住む。
マリアンヌは年の離れたブランドン大佐から愛情を寄せられるが、彼女は精悍な青年貴族ウィロビーと恋仲になってしまう。
しかし、ウィロビーは理由も告げずにロンドンへ去り、マリアンヌは悲しみに沈む。
一方、エリノアはエドワードの秘密の婚約者ルーシーの存在に大きな衝撃を受ける。
ジェニングス夫人の招待で、失意のエリノアとマリアンヌ姉妹、そしてルーシーはロンドンを訪れるが、そこでは思いがけない事態が待っているのだった。
コメント:
近代英国を舞台に、対照的な性格の良家の姉妹が幸福をつかむまでをコミカルに描いた名作。
原作「分別と多感」は、1811年に発表されたジェイン・オースティンの長編小説。
ジェイン・オースティンは、イギリスを代表する女流小説家で、代表作は『分別と多感』、『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』。
全て、イギリスの平凡な田舎の出来事を描いたものであり、人間階級を徹底的に描き尽くしており、人間性の不変さを示し、心理写実主義の先駆ともされている。
同時代や後年の作家にも高く評価されている。
モームは『世界の十大小説』で『高慢と偏見』を選び、「大した事件が起こらないのに、ページを繰らずにはいられない」と評し、するどい感性とユーモアのあふれる文体は比類がなく、平凡な生活の中で見出した真実味のある多彩な描写は非常に巧みであると論じている。
映画の原題「Sense and Sensibility」は、原作と同じ「分別と多感」。
原作の日本語タイトルが「分別と多感」となっている通り、「分別」を姉のエリノアが、「多感」を妹のマリアンヌがそれぞれ担当している。
日本語タイトル「いつか晴れた日に」は、映画の雰囲気を表現しているなかなか優れたネーミングである。
イギリスの貴族の母娘が、遺産相続の制限から長男の欲張り妻に家を追い出されるも、幸せに向かっていくお話。
もちろん紆余曲折があるが、一番不幸と思われた姉が一番幸せになる。
次女のマリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)はブラントン大佐(アラン・リックマン)とウィロビー(グレッグ・ワイズ)の二人に愛されるが、ウィロビーは愛よりもお金を選ぶ現実主義者だった。
姉のエリノア(エマ・トンプソン)はエドワード(ヒュー・グラント)と言う若者と恋をするが、なぜかエドワードは離れて行ってしまう。
あとで分かることだが、エドワードにはルーシー(イモジェン・スタップス)と言う結婚を約束した女性がいたのだ。
なかなか複雑な人間関係であるが、眼目は、心優しいルーシーが主人公で、それにマリアンヌという精神的には幼い妹の恋物語を絡ませて、物語を紡いでいくという仕掛けになっている。
予想通り最後には落ち着くところに落ち着くのでストレス無く見られる。
主役を演じたエマ・トンプソン。
脚本も担当している。
この人は、イギリスを代表する現役の女優、脚本家である。
5度のアカデミー賞ノミネート経験があり、1993年に『ハワーズ・エンド』でアカデミー主演女優賞を、本作『いつか晴れた日に』でアカデミー脚色賞を受賞した。
この映画は、TSUTAYAでレンタル可能: