フランス映画200選 第199作 「8人の女たち」密室殺人事件を巡って暴露される家族の秘密! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「8人の女たち」

(原題:Huit Femmes)

 

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「8人の女たち」 プレビュー

 

2002年2月6日公開。

密室殺人事件をめぐる8人の女たちの争いを描くミュージカル。

カトリーヌ・ドヌーヴなどが出演した話題作。

2002年のベルリン国際映画祭で8人の女優達が銀熊賞が受賞。

 

キャスト:ギャビー:カトリーヌ・ドヌーヴ
オーギュスティーヌ:イザベル・ユペール
ルイーズ:エマニュエル・ベアール
ピエレット:ファニー・アルダン
シュゾン:ヴィルジニー・ルドワイヤン
マミー:ダニエル・ダリュー
カトリーヌ:リュディヴィーヌ・サニエ
シャネル:フィルミーヌ・リシャール

 

8 women 2002 hi-res stock photography and images - Alamy

 

あらすじ:

1950年代のフランス。

雪に閉ざされた大邸宅に、クリスマスを祝うため家族が集まってきた。

そんな時、メイドのルイーズ(エマニュエル・ベアール)が、背中を刺されて殺されている一家の主人を発見する。

容疑者は邸宅に集まった8人の女たち。

家族愛を吹聴するが、密かに株券を持ち、実は相当に欲深い主人の母マミー(ダニエル・ダリュー)。

妻のギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、夫の共同経営者と浮気をしているらしい。

妹のピレット(ファニー・アルダン)は元キャバレーのダンサーで、お金のトラブルを抱えているようだ。

ギャビーの妹のオーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)は欲求不満のオールドミスで、殺された義兄に好意を持っていた。

清楚な長女スゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)も、勝ち気な次女カトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)も、ルイーズも、黒人の家政婦マダム・シャネル(フィルミーヌ・リシャール)も、それぞれ怪しい。

犯人はいったい誰なのか?

大雪のために外部との連絡が断たれたこの屋敷で、女たちの欲望と本性が暴かれていく・・・。

 

8人の女たち」ゴージャスな女達のミュージカル仕立ての密室推理ドラマですが… - レタントンローヤル館

 

コメント:

 

殺人事件が起こった大邸宅の中で繰り広げられる8人の女性たちの争い。

原作は、フランスの劇作家ロベール・トマ作の戯曲「8人の女たち」である。
1961年8月28日にパリのエドワード7世劇場で初演された。

 

1950年代、郊外の屋敷が舞台。

クリスマスのために集まる家族と、忙しく働く使用人の目の前で、屋敷の主人が死体で発見される。

彼の背中には短剣が刺さっており、自殺ではない。

雪に降り込められた屋敷の中にいる8人の女性のうち、誰が犯人か互いに探り出すうち、隠されていた事実が次々と明らかになってゆく。

 

ミュージカル仕立てになっていて、女優たちの歌も聴ける。

まことにサービス精神豊かな作品だ。

 

 


長女シュゾンはロンドンからこの別荘に帰省した。

妹のカトリーヌと早くも舌戦。

母親ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は一家のまとめ役。

祖母のマミーは車イス生活で、古参の家政婦シャネルと新人のルイーズが世話をする。

 

そしてギャビーの妹オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)が加わる。
それぞれ歌が始まり、とても惨劇があるようには思えない。


しかし家政婦のルイーズが二階の当主マルセルの部屋で絶叫を上げる。

階段を転げ落ちそうに、旦那様が亡くなっている、と叫ぶ。

 

皆が部屋に入るとマルセルがベッドうつ伏せになっていて、背中には短刀が突き刺さっていた。

警察に電話するが、線が切られていた。

家の番犬は鳴かず、外から入ってきた人間はいそうにもない。

 

密室殺人事件だ。


途中から8人目の女、マルセルの妹のピエレットが屋敷に来訪、人物が出そろう。

登場人物たちは、真相を探る中で秘密を暴かれ、引きに引けない窮地に立つ。

それぞれに裏の顔があり、きれい事だけでは済まされない。

 

祖母のマミーは車イスから飛び出し、しゃきしゃきと歩き出す始末。

冴えないオーギュスティーヌはファッションモデルのような出で立ちで周囲を驚かす。

シャネルのレズのカミングアウトが飛び出したり、60年代初めの初演を考えると、LGBTや不倫問題など、時代を揺るがす仕掛けも一杯。

 

ミュージカルで甘さ十分だが、各所に苦味が配置され、奥深さも感じる。
そしてミステリーの探偵役を最年少のカトリーヌが務める。
主人のマルセルは株の取引で巨万の富を築いたが、心の平安は得られなかったようだ。

 

 

結末をばらしてしまうと、実はこれは殺人事件ではない。

 

主人のマルセルは、さまざまな家族の不祥事の秘密を耳にし、前途に失望してピストルを自分の頭に撃ち、自殺していたのだ。

それを他人にナイフで殺されたように偽装したため、誰が殺したのかというミステリー事件になったというのが真相だ。

密室殺人事件ではなかったというオチなのだ。

 

ということで、この映画の面白さは、探偵ごっこではなく、家族それぞれの秘密が次々と暴かれるというところだ。

女たちの本音が剥き出しになる辛らつなセリフの応酬で、彼女らの本性はどんどん暴露されてゆく。

 

この映画は、日本で公開されると女性の間で大人気になり、この題材を私たちもやりたいという人々が出現。

その結果、元宝塚女優による公演など、日本版「8人の女たち」が何度も作られているようだ。

 

その一部がこちら:

 

 

 

 

 

どういうわけか日本のミュージカル好きな人たちにとっては、楽しい出しモノらしい。

 

 

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