日本の文芸映画 藤沢周平 「山桜」  田中麗奈の代表作! 東山紀之との共演! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「山桜」

 

 

「山桜」予告編

 

原作 - 藤沢周平

脚本 - 飯田健三郎、長谷川康夫

監督 - 篠原哲雄

 

キャスト:

  • 磯村野江 - 田中麗奈
  • 手塚弥一郎 - 東山紀之
  • 浦井七左衛門 - 篠田三郎
  • 浦井瑞江 - 檀ふみ
  • 手塚志津 - 富司純子
  • 浦井新之助 - 北条隆博
  • 浦井勢津 - 南沢奈央
  • 磯村左次衛門 - 高橋長英
  • 磯村富代 - 永島暎子
  • 磯村庄左衛門 - 千葉哲也
  • 諏訪平右衛門 - 村井国夫
  • 保科忠右衛門 - 並樹史朗

 

 

あらすじ:

海坂藩の下級武士の娘・野江(田中麗奈)は、前の夫に病気で先立たれ、磯村庄左衛門(千葉哲也)と再婚していた。

叔母の墓参りの帰りに、磯村との縁談がある以前に縁談の申込があった、剣術の名手、手塚弥一郎(東山紀之)と偶然出会う。

山桜が満開のころであった。

野江が手塚からの縁談を断ったのは、剣術の名手は怖い人、という先入観を持っていたからであった。

しかし、実際に話をしてみると手塚は、野江が思っていたのとはまるで正反対の心の優しい男であると分かり、その時から野江は手塚のことを意識するようになった。

彼女の婚家の日夜は幸せではない。
そのころ、凶作が続き藩の財政があやういときに乗じて、重臣・諏訪平右衛門(村井国夫)は私腹を肥やしていた。

磯村はこの諏訪に取り入って儲ける算段であった。

藩内の不満や百姓の申し立ても諏訪は握りつぶし、これを知った手塚は、城中で諏訪を襲い殺傷する。

お咎めは、しかし長期の投獄にとどまる。

その頃、野江は磯村と離縁した。

そして、野江は手塚の家を訪ね、そこで彼の母・志津に会い、お互いに心を通わせる。

殿が江戸から帰り、奸を打った手塚が許される日を祈りながら、手塚の母・志津とともに待ち続けるのであった。

山桜が満開のころである。

 

 

コメント:

 

数多くのヒット作で主演している田中麗奈。

中でもこの作品は、日本女性を象徴するような姿を見せた田中麗奈の代表作だ。

 

主人公・野江(田中麗奈)は、二度目の結婚も不幸せな境遇の武家の妻。

かつて求婚してくれたが、行き違ってしまった男・手塚とのたった一度の偶然の出会い。

主人公が叔母の命日に行った先での山に、見事な山桜が咲いている。

一枝折って帰ろうとするが、背の低い彼女には届かず転んでしまう。

そこへ現れたのが手塚弥一郎(東山紀之)。

実に恰好いい現れ方をする。

いかにも背の高い、優しい男性をイメージさせる、

その現れ方が憎い。

 

そして手塚と初めて言葉を交わし、美しい山桜の花を手渡される。

このシーンが素晴らしい。

観る者の心に深く刻まれる。



手塚はその後、乱れた藩政を正すべく、佞臣を斬る。

監獄に閉じ込められ、厳罰必至の状況だったが、味方するものが現れ、処分はなかなか決まらない。

彼女は婚家を去って彼を待つことにする。

封建社会を背景にしたメロドラマである。

山桜の咲く季節から始まる一年間の物語。

自然風景や日常生活描写が丁寧で、主人公たちの佇まいが美しい。

心に染み入るような秀逸な作品。
幸せな未来が予想できた。

 

静かな藤沢周平の世界~映画「山桜」 - アーバンライフの愉しみ

 

エンディングにおける田中麗奈の流す涙のシーンが忘れられない。

この女優こそ現在の日本映画界で日本女性を代表する演技が出来る人であることを感じさせる。

 

台詞も説明も少なく、とても静かな映画。

田中麗奈が役にぴったり。

やはり、桜は日本人の心にひびく美しい花だ。

 

手塚が投獄された後の留守宅に一人暮らしの母を演じる富司純子。

一人で息子の釈放を待つ武家の女性としての姿は、凛と美しくて良い。

さすが、緋牡丹のお竜で天下に知られた名女優は、武家の母ならではの素晴らしい存在感だ。

 

 

 

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