日本の文芸映画 夏目漱石 「夏目漱石の三四郎」 幻と化している作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「夏目漱石の三四郎」

 

ひと目だけでも... 夏目漱石の 「三四郎」 | 映画探偵室

 

1955年8月31日公開。

原作は、『それから』『門』へと続く夏目漱石の前期三部作の一つ。

 

原作:夏目漱石「三四郎」

脚本:八田尚之 

監督:中川信夫 

出演者:

山田真二、八千草薫。笠智衆、土屋嘉男、岩崎加根子、江原達怡、金子信雄、村上冬樹、平田昭彦、沢村いき雄

 

あらすじ:

熊本の高等学校を卒業した三四郎(山田真二)は、大学に入るため上京の途中、汽車で広田先生(笠智衆)を知った。

東京へ着くと、すぐに大学へ行き、地下の研究室にいる野々宮(土屋嘉男)を訪ねた。

帰途、三四郎は大学の静かな池の端に腰を下ろし、ふと二人の女を見掛けた。

看護婦と鮮かな色の帯をしめた若い女である。

大学の授業が始まり、彼は与次郎(江原達怡)と知り合った。

三四郎は東京中を引っぱり廻されて歩いた。或日、大学病院に入院している野々宮の妹を訪ねた際、先日の若い女に再び出会った。

与次郎と連れだって洋食店へ行った時、三四郎は広田先生に会った。

彼は高校の先生で、与次郎に「偉大なる暗闇」と呼ばれていた。

その広田先生の引越しを手伝に行った三四郎は、そこで例の女に三度目に会った。

名を里見美禰子(八千草薫)という。

数日後、三四郎は、美禰子、広田先生、野々宮、よし子(岩崎加根子)と連れだって菊人形を見に行き、何時の間にか皆とはぐれ美禰子と二人になってしまった。

彼女は迷子のことを英語で、ストレイシープというのだと云った。

暫くたって、三四郎は与次郎に貸した二十円を、美禰子が渡してくれるというので里見家を訪ねた。

そして誘われて、小雨の中を、一緒に絵の展覧会を見に行った。

それから間もなく、三四郎は彼女が結婚するということを聞いた。

そして金を返しに美禰子を訪ねた。

彼女のハンケチからは、三四郎の選んだ香水の匂いがただよった。

別れる三四郎は、「ストレイシープ」と口の中で何度もつぶやいた。

 

コメント:

 

原作は、漱石の人気トップ10のひとつになっている作品である。

 

三四郎 / 夏目 漱石【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

 

九州の田舎から出てきた小川三四郎という若者が、都会の様々な人との交流から得るさまざまな経験、恋愛模様が描かれている。

三四郎や周囲の人々を通じて、当時の日本が批評される側面もある。

三人称小説であるが、視点は三四郎に寄り添い、時に三四郎の内面に入っている。

「stray sheep」という「迷い子」を表わす言葉が随所に出てくるのが印象的な作品である。

 

物語の舞台こそ、100年以上前の東京なのだが、作品で描かれる、主人公・三四郎の揺れ動く心は、令和の今を生きる若者の心とも通じる部分がある。

学問、友情、恋愛、人生・・・。

漱石自身が経験したかもしれない、そうした「若者の青春」を本作の主要テーマにしようとした作品だ。

 

これは間違いなく明治時代に初めて生まれた優れた日本の「青春小説」である。

 

夏目漱石と明治国家2 『三四郎』(2)上京②「髭の男」 | 粋なカエサル

 

原作となっている小説は、1908年(明治41年)、『朝日新聞』に9月1日から12月29日にかけて連載され。翌年5月に春陽堂から刊行された。

 

おそらくそれ以前の日本では絶対に見られなかった新しい若者の小説だっただろう。

 

夏目漱石は映画化が難しいとされているが、明治後期の頃としては、画期的な小説であり、おそらく大いなる野望に燃えて東京に出て一花咲かせたいと起こっている全国の若者たちに大人気となっただろうの思われる。

 

そんな背景で世に出た小説の映画化であることを念頭に、この映画作品を観たいものだ。

 

この映画は、ソフト化されていない様なのでVHS、DVDも見当たらない。

数年前にラピュタ阿佐ヶ谷で放映されたようだが、最近は不明。

どこかのテレビかネットで放送されることを望む。

 

夏目漱石と明治国家3 『三四郎』(3)野々宮と美禰子 | 粋なカエサル

 

主人公が恋する相手を演じている八千草薫が美しい。

 

 

「姿三四郎」という黒澤明監督作品があるが、全く無関係。

これは、富田常雄原作の柔術家・三四郎の物語。