「自転車泥棒」
(原題: Ladri di Biciclette)
1948年11月24日イタリア公開。
1950年9月8日日本公開。
イタリア・ネオレアリズムの代表的傑作。
受賞歴:
1949年 第3回 英国アカデミー賞 作品賞
1949年 第22回 アカデミー賞 特別賞
1950年 第7回 ゴールデングローブ 外国語映画賞
脚本:チェザーレ・ザヴァッティーニ
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
キャスト:
ランベルト・マッジォラーニ :アントニオ
エンツォ・スタヨーラ:ブルーノ
リアネーラ・カレル :マリア・リッチ
あらすじ:
アントニオ(ランベルト・マッジォラーニ)は長い失業のすえ、ようやく映画のポスター貼りの仕事を得た。
仕事に必要な自転車を質屋から請け出すために彼はシーツを質に入れた。
六歳の息子ブルーノ(エンツォ・スタヨーラ)を自転車に乗せ、彼はポスターを貼ってまわった。
ところがちょっとしたすきに自転車が盗まれてしまった。
自転車がなければまた失業だ。
アントニオは無駄とはわかっていても警察に行った。
毎日何千台も盗まれている時なので、警察は相手にしてくれない。
こうしてアントニオ親子の自転車探しがはじまった。
ローマの朝早く、2人は古自転車の市場に行った。
ここで泥棒らしき男に会うが、証拠がない。
その男と話していた乞食の跡をつけるが、乞食も逃げ出す。
途方にくれて女占い師を訪ねるが、もちろんなんの答えもでない。
いらいらしてついブルーノにあたってしまう。
偶然泥棒を発見したが、かえって仲間にやられそうになる。
ブルーノの機転で警官が来るが、肝心の自転車はない。
やけになったアントニオはとうとう競技場の外にあった自転車を盗んでしまうが、たちまち捕ってしまった。
子供の涙の嘆願に許されるが、アントニオは恥かしさに泣き、そんな父の手を息子のブルーノは黙ってとって、タ暮のローマの道に姿を消すのだった。
コメント:
第二次世界大戦後のイタリアで作られたネオレアリズモ映画の1本。
ロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』、ルキノ・ヴィスコンティの『揺れる大地』と並ぶネオレアリズモ映画の代表作である。
役所の広告貼りの仕事を得た失業労働者が、仕事に必要な自転車を盗まれてしまい、息子とローマの街を歩き回って自転車を探す物語。
自転車を盗まれた男が丸一日息子と共にローマの町中を探し回るが自転車は見つからない。
自転車がないと仕事にならないので、自分も自転車を盗むが捕まってしまう。
子供が涙ながらに許しを乞い、許されるが、男は恥ずかしさに泣いてしまう。
こんな悲しいことがあるだろうか。
人生の貧困と不幸をナチュラルに描いたイタリアの良心が際立つ最高のヒューマニズム溢れる名画だ。
第二次大戦直後は、敗戦国となった日本もイタリアもドイツも、極貧の毎日を送る国民であふれていたのだ。
久方ぶりに泣ける映画に出会った。
涙が止まらない。
本作の監督をつとめたヴィットリオ・デ・シーカは、イタリアを代表する名監督である。
代表作は、本作のほかに、『終着駅』(1953年)、『昨日・今日・明日』(1963年)、『ああ結婚』(1964年)、『ひまわり』(1970年)。
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(日本語字幕付き)