淀川長治が選んだベスト映画100本 「風と共に去りぬ」 アカデミー賞総なめの名作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「風と共に去りぬ」

 

「風と共に去りぬ」 Part-1

 

「風と共に去りぬ」Part-2

 

「風と共に去りぬ」Part-3

 

1939年12月15日公開。

ハリウッド映画史に輝く名作。

興行収入:$389,000,000。

 

受賞歴:

第12回アカデミー賞
作品賞
主演女優賞: ヴィヴィアン・リー
助演女優賞 :ハティ・マクダニエル
監督賞 :ヴィクター・フレミング
脚色賞 :シドニー・ハワード
撮影賞(カラー)
室内装置賞
編集賞
 

原作:マーガレット・ミッチェル

脚本:シドニー・ハワード

監督:ヴィクター・フレミング

 

キャスト:

ヴィヴィアン・リー (スカーレット)
クラーク・ゲーブル (レット)
オリヴィア・デ・ハヴィランド (メラニー)
レスリー・ハワード (アシュレ)
イヴリン・キース (スゥエレン)
トーマス・ミッチェル (ジェラルド)
ハティ・マクダニエル (マミー)
 

あらすじ:

前篇:

1861年、南北戦争が始まろうとする直前。

ジョージア州タラの大地主ジェラルド・オハラ(トーマス・ミッチェル)の長女スカーレット(ヴィヴィアン・リー)は、樫の木屋敷と呼ばれる同じ大地主ウィルクス家で明日開かれる野外宴会で、そこの嫡子で彼女の幼馴染みであるアシュリー(レスリー・ハワード)と彼の従妹メラニー(オロヴィア・デ・ハヴィランド)の婚約が発表されると聞いて心おだやかでなかった。

激しい気性と美しさをあわせ持つスカーレットは、多くの青年の憧れの的であったが、彼女の心はアシュリーとの結婚をかたく決意していたのだ。

宴会の当日スカーレットは想いのたけをアシュリーにぶちまけたが、彼の心は気立ての優しいメラニーのものだった。

スカーレットはそこで、チャールズトン生まれの船長で素行の評判の良くないレット・バトラー(クラーク・ゲイブル)に出会い、彼の臆面のない態度に激しい憎しみを感じながら、何か惹きつけられた。

突然、戦争の開始が伝えられ、スカーレットは失恋の自棄からメラニーの兄チャールズの求婚を受け入れ結婚した。

メラニーと結婚したアシュリーもチャールズも戦争に参加した。

だがチャールズは戦争で病を得て死に、スカーレットは若い身を喪服に包む生活の味気なさからアトランタのメラニーの元へ行き、陸軍病院のバザーでレットと再会した。

レットは強引に彼女に近付いてきた。

戦況はその頃南軍に利なく、スカーレットとメラニーは看護婦として働いていたが、やがて、アトランタは北軍の接近に脅えた。スカーレットと生まれたばかりの子供を抱えたメラニーは、レットの御する馬車で故郷へと向かった。

レットは途中ひとり戦線へ向かい、のこされた2人はやっとの思いでタラの地に着くが、すでに廃墟になって、北軍にすっかり蹂躪されたあとだった。

後篇:

戦争は南軍の敗北に終わった。

捕虜になっていたアシュリーがかえって来てメラニーを喜ばせたが、スカーレットは再び彼に愛を告白してはねつけられた。

タラは重税を課され、土地を守る決意を固めたスカーレットは、その頃北軍の営倉に捕らえられていたレットに金策を頼みに行ったが、断られた。

彼女は妹スーレン(イヴリン・キース)の許婚フランクが事業に成功しているのを見て、欺いて彼と結婚し、事業を自分の手中に収めてアシュリーを仲間に引き入れ、ただ金儲けだけに生きるようになった。

フランクが死んで、スカーレットはレットと結婚し、娘ボニーを生んだが、まだアシュリーへの想いが断ち切れず、レットはもっぱらボニーへ愛情を注いだ。

こうした結婚生活の不調和から、レットはボニーを連れロンドンへ行ったが、ボニーが母を慕うので再び戻ってきた。

ところがボニーが落馬して死に、メラニーも病死してしまった。

このためレットとスカーレットの結婚生活はまったく破れ、レットはチャールズトンへと去っていった。

スカーレットはこのとき初めてレットを愛していたと気付くが、一番愛しているのはやはりタラの土地であった。

彼女はタラに帰ってすべてを考え直そうと決心した。

 

コメント:

 

米国南部の農園主の強気でわがままな娘が強くたくましい女性に変わっていく。
歴史の流れに翻弄された女性がたどる一大メロドラマだ。


最後のセリフは「明日に望みを託して(Tomorrow is another day)」だが、このセリフには伏線がある。

冒頭、中盤、そして上記の最後のセリフの前に娘スカーレットはこう言う。
「明日 考えよう」。


最初は北部との戦争何するものぞという若者たちから翌日のパーティーに誘われて、中盤は南北戦争のさなか北軍の脱走兵を護身のためとはいえ銃で殺害したあと、最後は去って行った夫レット・バトラーを取り戻したいと涙に暮れたとき。


冒頭と中盤は面倒なことを考えるのは明日にしようという先延ばし、明日になれば誰かが何かする、時間が解決するという他力本願的な期待だ。


しかし、最後は違う。つい、いつものクセ?で「明日 考えよう」と口から出るが、そのままでは明日になったところで何も変わらない。誰も助けない。自分で考え行動しなくてはならない。
やがて父親や関わりのあった男性たちが言った「タラこそお前の土地だ」という言葉を思い出し、ついに、故郷へ帰ってその先を自分で考えようと決意する。自ら道を切り開こうと決意する。
強気な女性が強い女性に生まれ変わった瞬間だ。


おそらく、この壮大な歴史メロドラマが公開(1939年)以来、今もなお光を放ち続けているのは、この点にある。

歴史的な出来事に翻弄されながら、当時の社会通念ではひんしゅくを買う行動を取りがちな若い女性が、強気な女から強い女に変わる。

その瞬間を最後の最後に見せる。

押しつけがましくなく、あくまでもロマンに満ちたメロドラマの終焉として。

だから誰もが素直に受け入れ理解できるのだ。

これぞハリウッドの名作だ。

 

なんといってもヒロインをつとめるヴィヴィアン・リーの存在感が際立つ。

この人はイギリスの女優。

1939年の本作でのスカーレット・オハラ役と、1951年の映画『欲望という名の電車』のブランチ・デュボワ役でアカデミー主演女優賞を受賞した。

『欲望という名の電車』は、1949年にロンドンのウェスト・エンドで上演された舞台版に引き続いて彼女がブランチ・デュボワを演じた作品でもある。

また、1963年のブロードウェイ・シアターで上演されたミュージカル『トヴァリッチ』 で、トニー賞のミュージカル主演女優賞を受賞している。

AFIの「映画スターベスト100」においては、女優25名中第16位に選ばれている。

 

この映画は、今ならYouTubeで全編無料視聴可能(日本語字幕付き)(Part-1~3)。