「日本のいちばん長い日」
キャッチコピー:「この戦争を終わらせるために戦った男たち」
2015年8月8日公開。
終戦の日・1945年8月15日を描いた作品。
興行収入:13.2億円。
原作:半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』
監督・脚本:原田眞人
キャスト:
- 主要人物
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- 阿南惟幾(陸軍大臣) - 役所広司
- 昭和天皇 - 本木雅弘
- 鈴木貫太郎(内閣総理大臣) - 山﨑努
- 迫水久常(内閣書記官長) - 堤真一
- 畑中健二(陸軍少佐、軍務課員) - 松坂桃李
- 宮中
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- 香淳皇后 - 池坊由紀
- 木戸幸一(内大臣) - 矢島健一
- 平沼騏一郎(枢密院議長、元首相) - 金内喜久夫
- 藤田尚徳(侍従長) - 麿赤兒
- 三井安彌(侍従) - 植本潤
- 入江相政(侍従) - 茂山茂
- 徳川義寛(侍従) - 大藏基誠
- 戸田康英(侍従) - 松嶋亮太
- 永積寅彦(侍従) - 岩寺真志
- 岡部長章(侍従) - 中村靖日
- 侍従 - 山田啓二
- 蓮沼蕃(侍従武官長) - 姉川新之輔
- 保科武子(女官長) - 宮本裕子
- 内閣
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- 米内光政(海軍大臣) - 中村育二
- 東郷茂徳(外務大臣) - 近童弐吉
- 安井藤治(国務大臣) - 山路和弘
- 左近司政三(国務大臣) - 鴨川てんし
- 下村宏(情報局総裁) - 久保酎吉
- 外務省
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- 松本俊一(事務次官) - 長澤壮太郎
- 陸軍
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- 梅津美治郎(陸軍大将、参謀総長) - 井之上隆志
- 田中静壹(陸軍大将、東部軍管区司令官) - 木場勝己
- 高島辰彦(陸軍少将、東部軍管区参謀長) - 奥田達士
- 森赳(陸軍中将、近衛師団長) - 髙橋耕次郎
- 芳賀豊次郎(陸軍大佐、近衛師団第二連隊長) - 安藤彰則
- 東条英機(陸軍大将、元首相) - 中嶋しゅう
- 杉山元(元帥、前陸軍大臣) - 川中健次郎
- 土肥原賢二(陸軍大将、教育総監) - 清水一彰
- 吉積正雄(陸軍中将、軍務局長) - 桂憲一
- 荒尾興功(陸軍大佐、軍務課長) - 田中美央
- 水谷一生(陸軍大佐、近衛師団参謀長) - 香山栄志
- 林三郎(陸軍大佐) - 柏村栄行
- 井田正孝(陸軍中佐、軍務課員) - 大場泰正
- 竹下正彦(陸軍中佐、軍務課員、阿南陸軍大臣の義弟) - 関口晴雄
- 椎崎二郎(陸軍中佐、軍務課員) - 田島俊弥
- 稲葉正夫(陸軍中佐、軍務課員) - 小林且弥
- 白石通教 (陸軍中佐) - 本郷壮二郎
- 古賀秀正(陸軍少佐、近衛師団参謀) - 谷部央年
- 窪田兼三(陸軍少佐、通信学校教官) - 青山草太
- 佐々木武雄(陸軍大尉、横浜警備隊長) - 松山ケンイチ(特別出演)
- 上原重太郎(陸軍大尉、航空士官学校教官) - 松浦海之介
- 藤井政美(陸軍士官学校附属大尉) - 戸塚祥太(A.B.C-Z)
- 海軍
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- 豊田副武(海軍大将、軍令部総長) - 井上肇
- 大西瀧治郎(海軍中将、軍令部次長) - 嵐芳三郎
- 岡田啓介(海軍大将、元首相) - 吉澤健
- 古川(海軍少佐、米内海相副官) - 原田遊人
- 阿南家
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- 阿南綾子(阿南陸軍大臣の妻) - 神野三鈴
- 阿南喜美子(阿南陸軍大臣の長女)- 蓮佛美沙子
- 阿南惟晟(阿南陸軍大臣の次男) - 三船力也
- 阿南惟道(阿南陸軍大臣の五男) - 稲田都亜
- 秋富(阿南喜美子の婚約者) - 渡辺大
- 鈴木家
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- 鈴木たか(鈴木首相夫人) - 西山知佐
- 鈴木一(首相秘書官、鈴木首相の長男) - 小松和重
- 鈴木布美(一の妻) - 小野愛寿香
- 鈴木孝雄(鈴木首相の弟) - 福本清三
- NHK
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- 館野守男(NHK放送員) - 野間口徹
- 保木玲子(NHK放送局員) - 戸田恵梨香(特別出演)
- その他
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- 絹子(陸軍大臣官邸の女中) - キムラ緑子
あらすじ:
1945年7月、戦局が厳しさを増す中、日本に無条件降伏を求めるポツダム宣言が発表された。
連日閣議が開かれ議論に議論が重ねられるが、降伏かそれとも本土決戦か結論が出ないまま8月に突入。
広島、そして長崎に原爆が投下され『一億玉砕論』の声も上がる中、日本最大の決断がくだる。
しかし、降伏に反対する若手将校らは玉音放送を流させまいとクーデターを企て、皇居やラジオ局占拠に向け動きはじめる……。
コメント:
昭和史に関する著作を多く手がける半藤一利が緻密な取材を積み上げ著したノンフィクション『日本のいちばん長い日 決定版』を映画化。
1967年に公開された、三船敏郎主演の同名映画のリメイクである。
本作もしっかりした脚本と監督の手によって立派な作品になっており、興行面でも13億円とヒットした。
日本がポツダム宣言を受諾し太平洋戦争が終結した1945年8月15日に向け、その直前に何が行われていたのか、それぞれの苦悩や思いとともに描いている。
陸軍を背負う阿南大臣を役所広司が、国民を思う昭和天皇を本木雅弘が、終戦に向け動く鈴木首相を山崎努が演じている。
松坂桃李、堤真一らも主要人物を熱演している。
ポツダム宣言の受諾から終戦の玉音放送まで、教科書では事実のみが淡々と語られていた。
だが、終戦へ至るまでの数々の葛藤と混乱とがこの映画で描かれる。
阿南陸軍大臣の生活を通すことで、事の重大さが宙に浮かず、人間の目線で歴史が映される。
終戦を告げる玉音放送を控え、阿南陸軍大臣(役所広司)は軍の暴発を抑えるため、自身の責任を取り切腹を選ぶ。
だが、なかなか絶命できず、うずくまりながら介錯の申し出を断り、再び切腹を敢行した。
切腹は、決して美談ではないことを彼の背中が訴えかけているようだった。
太平洋戦争においての作戦のやり方と主導権においての陸軍と海軍の対立、どのように戦争を終結させるかで天皇の意向通り和平を目指すか本土決戦に向かうかの対立が閣議や支持者のまとめや裏工作やクーデター計画の中で描かれる。
ポツダム宣言を受諾する上で国体の護持や武装解除をどのようにするのかなどで、議論が沸騰していた様子がはっきりわかる。
国民一丸の特攻を強行するためにクーデターを起こす陸軍の青年将校と彼らを煽る東條の暗躍が凄まじい。
終戦には、ギリギリの折衝があったことが解る傑作映画である。
平和ボケしている令和のどこかの国の総理大臣とは違う、国の興亡を目の前にした当時77歳だった宰相・鈴木貫太郎首相を山崎努が熱演している。
この俳優にとっては初めての一国の総理役を演じているが、なかなか様になっていて素晴らしい。
当時の決死の真剣さがビンビン伝わってくる。
この映画は、日本人の心を呼び覚ましてくれる、格調高い作品であり、令和の日本人は今こそこういう映像を通して、真の大和民族の魂を感じるべきだろう。
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