古谷一行の映画 「金田一耕助の冒険」 ただひとつの古谷一行の金田一耕助映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「金田一耕助の冒険」

 

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「金田一耕助の冒険」 全編

 

1979年7月14日公開。

横溝正史シリーズ・ドラマの劇場版。

盗まれた石膏像の首をめぐって起こる連続殺人事件を解決する金田一耕助を描く。

金田一耕助のコメディ映画。

 

原作:横溝正史「金田一耕助の冒険」

脚本:斎藤耕一、中野顕彰 

監督:大林宣彦 

出演者: 

古谷一行 、 田中邦衛 、 仲谷昇 、 山本麟一 、伊豆肇  、吉田日出子 、 坂上二郎、 東千代之介 、 樹木希林 、 熊谷美由紀 、 江木俊夫、横溝正史

 

あらすじ:

すっかり有名になった金田一耕肋(古谷一行)は、最近は、等々力警部(田中邦衛)と一緒にCFに出演したりしている。

その頃、街では、マリア(熊谷美由紀)を中心にした「ポパイ」という美術品専門の盗族団が暴れまくっていた。

そのマリアが、十年前、金田一が真犯人をつきとめることができなかった「瞳の中の女」事件の鍵を握る石膏像、不二子像の首を、金田一のところへ持ち込んできた。

不二子像とは、灰田勝彦が作ったもので、現在は、美術評論家の古垣和哉が保管している。

さっそく事件の渦に飛び込んだ金田一だが、その首が何者かに盗まれてしまい、それは古美術店々主・明智小十郎(東千代之介)の手に渡っていた。

マリアたちの手引きで明智邸を訪れた金田一は、そこで、明智の妻・文江(吉田日出子)に会う。

彼女こそ不二子像のモデルであったのだ。

金田一の行く先々で殺人事件が起こる。

やがて金田一は、文江がしばしば老人ホームに見舞いに行っていることを調べ出した。

そこには、盗まれた首と同じものを作っている森友吉(山本麟一)という老人がいた。

そして金田一は、古垣(仲谷昇)、森、それに老人ホームの経営者・今泉(伊豆肇)の三人の関係をつきとめた。

三人は灰田の弟子で、文江は灰田の妻であったが、やがて森と駆け落ちする。

しかし、自分の才能に限界を感じた森は文江を捨てて逃げ去ってしまった。

数十年後、すっかり老けこんでしまった森を老人ホームで発見した文江は、捨てられた復讐に、決して越えることの出来ない師匠の作った不二子像の首を作り続けさせていたのである。

そして、何とか逃れようとした森が、その首を盗み、事件の発覚を恐れて次々と殺人を犯していたのだ。

金田一は見事に事件を解決した。

そして、今日も、等々力警部とCFの撮影に出かけるのだった。

 

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コメント:

 

古谷一行が金田一耕助を演じている唯一の映画がこれ。

人気シリーズとなったTBS系の『横溝正史シリーズⅠ・Ⅱ」(1977年~1978年)のあと、制作された金田一耕助の劇場版である。

 

横溝正史の短編集『金田一耕助の冒険』から、唯一未解決に終わった『瞳の中の女』を解決しようという体で作られた作品だが
、基本的にパロディとギャグ連発のコメディになっている。
本もドラマも映画も売れて、ファンレターが届くほどすっかり人気になった金田一耕助だが、何か殺人事件中毒にでもなってしまったような感じだ。

横溝正史自身も出演し、横溝先生として語っている。


「おどろおどろしくも美しい殺人事件」を待ち焦がれていて、殺人が起こると待ってましたとばかりに喜ぶ姿は半分狂っている。
金田一耕助といえば市川崑監督の映画でお馴染みの石坂浩二か、ドラマ版の古谷一行がやはり定番という感じがする。

 

カエル岩 on Twitter: "角川映画「金田一耕助の冒険」で田中邦衛さんと共演中の宇佐美恵子さん。😙 #大林宣彦 #角川映画 #横溝正史  #金田一耕助の冒険 #BSフジ #クイズ脳ベルshow https://t.co/9he0zOBSVk" / Twitter


等々力警部役の田中邦衛のスタイリッシュな感じは新鮮。
大林監督らしいファンタジーな要素とドタバタ感、あとたまによく分からない演出、ふざけてるなあと思わせておいて結構毒があるのもお馴染み。


展開は無理矢理な感じがあるし、金田一耕助にしてはあまり推理が冴えていないのだが、大林監督が描きたかったのは上質なミステリーではないのだからそこはあまり気にならなかった。
ひたすらパロディとギャグの連発で、果たしてこの作品で監督は何を仕掛けてくるのだろうかとワクワクしていたら、その答えがラストにあった。

 

大久保マコト on Twitter: "『金田一耕助の冒険』で角川春樹が持ってきたトランクいっぱいの札束を雑に投げながら「私はこんな映画にだけは出たくなかった」と言う横溝先生  #映画で印象に残っている本人役 https://t.co/qAcGDzZh1g" / Twitter


事件が無事に解決した後、横溝正史自身が「こんな映画には出たくなかった」と言ってしまうし、短編集の他の作品の登場人物まで引っ張り出してきたのは無茶があったなどと反省会まで行われてしまう始末。
ここで金田一耕助は、事件というのは一から十まできっかり収まるものではないと弁明する。

矛盾はどうしても起こってしまう。
日本の犯罪は家族制度や血の問題が絡んでくる。

それは日本の貧しさであると。
そして金田一はここで自らの探偵業という仕事に対して、とんでもない心の内を暴露する。

 

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ひとつの殺人からどう拡がっていくだろう、そしてこの殺人がもうひとつの殺人を生むのではないか、それを考えるのが楽しいと。
事件を未然に阻止しようとすればできる、しかし事件は一人歩きする。

成長する犯罪を見守ってやりたいと彼は訴えかける。


殺人を犯せば犯すほど、犯人は絶望に駆られていく。自分ほど犯人の心を理解できる探偵はいないのだと彼は豪語する。
最終的に彼自身がひとつの殺人を犯してしまう。

『獄門島』や『犬神家の一族』『悪魔の手鞠唄』など金田一シリーズで起こる殺人のオンパレードのようなシーンは、やはりギャグとして笑うべきなのだろうが。


オープニングとエンディングの和田誠のイラストがとても可愛かったのと、「星のまたたかない夜」や「暑さに犬もあえぐ午後」「雨も唄ってる昼下がり」という表現が素敵だった。

 

肩の力を抜いてリラックスして古谷一行の金田一を楽しむ映画である。

 

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