梶芽衣子の映画 「青春前期 青い果実」 初の主演映画 波瀾万丈の人生を熱演! 太田雅子名義! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「青春前期 青い果実」 

 

青春前期 青い果実 | 映画 | 日活

 

初の主演映画から、強姦、自殺未遂という激しい人生を演じている。

梶芽衣子の映画の幕開けとして、あまりにも象徴的な作品。

 

1965年5月15日公開。

太田雅子名義での初主演作品。

超人気アイドルだった太田博之が前面に出ている映画。

 

脚本:池田一朗、森本吉彦

監督:堀池清

 

キャスト:

  • 椎ノ木武志:太田博之
  • 河合奈津子:太田雅子
  • 青戸閨子:吉村実子
  • 国信高子:初井言榮
  • 河合良平:高野誠二郎
  • 河合富枝:山岡久乃
  • 河合明夫:矢内茂
  • 河合ユミ子:稲葉光子
  • 中瀬安芸男:内藤武敏
  • 阿部善之:久松洪介
  • 鈴木校長:河上信夫
  • 小畠教頭:天坊準
  • 医師霜村:佐野浅夫
  • 椎ノ木千枝子:谷川玲子
  • 武田:植頭実
  • 佐野:前野霜一郎
  • 谷村:河野一清
  • 内田厚子:岡田可愛

 

青春前期 青い果実 | 映画 | 日活

 

あらすじ:

東京の明道高校に転校して来た椎の木武志は、無口でニコリともしない一種独特の雰囲気をもっていた。

そんな武志に級友の河合奈津子は魅かれていった。

だが武志は頑に奈津子の視線を拒否した。

ある日の夕方、路上で言い合っていた二人は、チンピラ大学生三人に言い寄られ、武志は思いあまって空手で三人を路上に倒してしまった。

この出来事をきっかけに武志と奈津子は打ち解けていった。

それは女に嫌悪感をもつ武志と、母親が生れつき憎いという奈津子に共通の世界があったからかも知れない。

数日後、武志の行きつけの喫茶店“モンク”で待ち合わせた奈津子は、来合わせたあの日のチンピラ学生に強姦された。

近くに住む国信先生につきそわれ自宅へ帰った奈津子は、母親富枝の叱責に耐えられず家をとび出した。

翌日登校した奈津子は、国信先生の口からPTA会長千田夫人に伝わり、千田洋子が事件を知っているのに愕然とした。

武志は奈津子から話を聞くと仕返しをすると怒りたった。

噂は広まり武志は国信先生に辞表を出すよう迫った。

波紋は学校中の問題となって拡がった。

その頃、奈津子は信州の叔父の家に預けられた。

武志は信州を訪ねると奈津子に東京に帰るよう説得した。

奈津子の心は、自分が汚されたという不安でいっぱいであった。

東京に帰った奈津子は、らちのあかない学校の態度に窮地に追いこまれると、遂に自殺を自殺を図るものの一命だけはとりとめる。

逆上した武志は、奈津子を犯した三人の学生を見つけ、空手で殴り倒した。

一命をとりとめた奈津子は、病院で武志の叔父から、武志が父の死後母の情事をかいま見て、男を空手でメッタ打ちにして以来、武志は女に対して、空手に対して強度な恐怖感を覚えるようになったと聞かされた。

奈津子は、武志に会うと、しっかりみつめ合った。

 

青春前期 青い果実(デジタル) | 映画, ハリウッド映画, ハリウッド

 

コメント:

 

ダブル太田で売り出そうとしていた日活が、当時大人気だった太田博之と、新人女優・太田雅子を起用した映画である。

日活の作品データベースによれば「セックスによる激しいショックを受けた二人の男女高校生の心の交流をクールなタッチで描いた異色純愛」と記録されている。

 

人気アイドルの太田博之の美少年ぶりの影隠れているような太田雅子の存在がはっきり表れているポスター。

彼女の前途を暗示しているような初主演作品。

 

太田博之という俳優は、子役としてすでに世に知られていたアイドルだった。

出演作品は、「赤胴鈴之助 三つ目の鳥人」(1958年) 、「少年探偵団 敵は原子潜航挺」(1959年)、「路傍の石」(1960年)など多数。

 

映画「路傍の石」太田博之・主演(昭和35年) | 映画・食品情報発信基地

(「路傍の石」)

 

雑誌の表紙などにも登場し、大人気だった。

 

624 太田博之「友情万歳」 卒業の季節に : 遊星王子の青春歌謡つれづれ

 

 

本作は、日活映画らしい明るさはなく、強姦事件、親子の確執、過去のトラウマといった暗いテーマだらけの映画である。
逆に、そういった展開だからこそ、チャラチャラした脳天気な映画ではなく、いつの時代にも通ずる教育問題や家族関係の在り方を問う骨太の見ごたえのある作品となっているのだ。
銀座線の車輛基地や駅界隈など、50年前の渋谷の街の風景が屋外ロケでふんだんに映されていて、資料的にも印象深い。

 

興行的に見ると、真面目過ぎて、しかもストーリーが暗すぎるため、ヒット作になりようが無かったとも考えられる。

梶芽衣子にとってはせっかくの初主演映画だったのに、残念である。

 

この映画は、シネマヴェーラ渋谷などで今でも上映されることがあるようだ。