倍賞千恵子の映画  「男はつらいよ お帰り 寅さん」 男はつらいよ第50作 シリーズ最終作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「男はつらいよ お帰り 寅さん」

 

 

「男はつらいよ お帰り 寅さん」 2019年12月26日公開記念舞台挨拶

 

男はつらいよ お帰り 寅さん 予告編

 

2019年12月27日公開。

男はつらいよシリーズ第50作(最終作品)。

興行収入: 14.7億円。

 

 

受賞歴:

第44回日本アカデミー賞

  • 優秀作品賞
  • 優秀脚本賞(山田洋次、朝原雄三)
  • 優秀主演女優賞(倍賞千恵子)
  • 優秀助演女優賞(後藤久美子)
  • 優秀撮影賞(近森眞史)
  • 優秀照明賞(土山正人)
  • 優秀音楽賞(山本純ノ介)
  • 優秀美術賞(倉田智子、吉澤祥子)
  • 優秀録音賞(岸田和美)
  • 優秀編集賞(石井巌、石島一秀)

 

脚本:山田洋次・朝原雄三

監督:山田洋次

キャスト:

  • 車寅次郎:渥美清
  • 諏訪さくら:倍賞千恵子
  • 諏訪満男:吉岡秀隆
  • イズミ・ブルーナ(及川泉):後藤久美子
  • 諏訪博:前田吟
  • 高野節子:池脇千鶴
  • 原礼子:夏木マリ
  • リリー:浅丘ルリ子
  • 朱美:美保純
  • 源公:佐藤蛾次郎
  • 諏訪ユリ:桜田ひより
  • カフェくるまや店長・三平:北山雅康
  • 編集長・飯田:カンニング竹山
  • 書店の客:濱田マリ
  • 出版社社員・山中:出川哲朗
  • ジャズ喫茶店長:松野太紀
  • ケアセンターの職員:林家たま平
  • 噺家:立川志らく
  • 窪田:小林稔侍
  • 御前様:笹野高史
  • 及川一男:橋爪功

 

 

 あらすじ:

長い間サラリーマンをしていた諏訪満男(吉岡秀隆)は、その合間に書いた小説が認められ小説家になった。

現在、彼は中学3年生の娘と二人で暮らしている。

最新著書の評判は上々だが、次回作の執筆にはなかなか乗り気になれないモヤモヤした毎日。

なぜか夢の中に、初恋の人・泉(後藤久美子)が現れ、悩みは尽きない。

そんな折、満男は、妻の七回忌の法要で柴又の実家を訪れる。

柴又の帝釈天の参道に昔あった『くるまや』の店舗は新しくカフェに生まれ変わり、その裏手に昔のままの住居がある。

法事のあと、母・さくら(倍賞千恵子)、父・博(前田吟)たちと昔話に花が咲く。

いつも満男の味方であった満男の伯父・寅次郎(渥美清)との騒々しくて楽しかった日々……。

あれからもう半世紀の歳月が流れたのだ。

ある日、サイン会を行うことになった満男。

ところが、その列に並ぶ客の中に泉の姿を見て呆然となる。

ヨーロッパで生活している彼女は仕事で来日し、偶然サイン会に参加したのだった。

満男はサイン会もそこそこに「君に会わせたい人がいる」と小さなJAZZ喫茶に泉を連れて行く。

経営者の顔を見て驚く泉。

それは20年以上前に奄美大島で会った寅の恋人のリリー(浅丘ルリ子)だった。

リリーは、寅次郎と最も深い付き合いのあった女性だ。

リリーは満男と泉に、寅次郎との思い出を話す。

沖縄や奄美で、一緒に暮らしていたこともあると言う。

どうして寅次郎と結婚しなかったのかと泉が聞き、満男は、寅次郎が振られたのではないかと言うと、リリーは否定し、こう語る。

以前、さくらに打診されたことがあった。

寅次郎には、逃げ癖があった。

幸福になりそうなときには、寅次郎はそれを放り出して逃げる癖があったのだと。

満男もそのことを思い出し、納得したのであった。

その後満男は泉を連れて柴又の実家を訪ねる。

博、さくら、満男、泉の4人で食事をし、泉はとらやの2階に泊まることになった。

泉は、翌日、事情があって今は神奈川県の施設にいる父親・一男に会いにいくつもりだと話す。

泉の両親は離婚しており、昔、泉は母・原礼子と暮らしていたのだ。

泉の父はほかに女性を作って家を出て九州に住んでおり、泉は父と確執があった。

満男はしぶる泉の背を押し、明日、同行すると言う。

翌日の約束をして柴又を辞去するとき、満男はさくらに、妻の瞳が亡くなっていることを言わないでくれ頼む。

泉は、満男が結婚していることは知ってるが、妻が死んだことは知らないのだ。

 

 

コメント:

 

世界最長の映画シリーズとしてギネスにまで認定された寅さんシリーズ。

寅さんこと渥美清はすでに亡く、その第50作はいったいどうなるんだろうと思ったが、なるほどこの手があったか。

寅さん自身の消息ははっきり描かれないが、おいちゃん、おばちゃん、タコ社長もすでに亡く、甥っ子の満男には中学生の娘がいる。

亡妻の七回忌に集まり昔話に花咲かすとらやの人々の脳裏には、そう、懐かしい寅さんの姿が甦るのである。

 

何しろ全48作(第49作は再編集の特別編)となると、ネタには尽きない。

その膨大な昔話の中から監督自ら選りすぐった寅さんの姿が蘇るのだ。

その映像を見ていると何故か涙が溢れてしまう。

ラスト数分の歴代マドンナのカットバックは『ニューシネマパラダイス』を超越した映像の宝庫。

まさに文化である。

 

 

寅さんを演じた渥美清は亡くなっているので、本作の主人公は甥っ子の諏訪満男(吉岡秀隆)だ。

寅さんは生死もどこにいるのかもわからない設定となっていて、満男がイメージする寅おじさんの姿が過去の作品映像から現れる。

つまり現在進行形の話と過去の「渥美清出演場面を切り貼りしたコラージュ作品となっている。
 

 

満男は営業マンから小説家になり、書店でのサイン会で、初恋の人で一度は結婚の約束までした女性・イズミ(後藤久美子)と再会するという設定だ。

ヨーロッパに住むイズミは帰国まで2日間しかなく、再会した二人がお互いがまだ惹かれあっていることを確認するが、お互いの今の生活に戻っていくという大人の恋がテーマだ。

二人の恋を見守り続けた寅さんが回想として登場する二重構造をよくぞ考え付いた。

企画の勝利である。
 

ともかく22年間の時間の経過は大きく、渥美清の他においちゃん、おばちゃんや御前様、タコ社長などが亡くなっている。

倍賞千恵子、前田吟、浅丘ルリ子ら懐かしい面々が出演しているので、ファンとしては感動モノの仕上がりとはなっている。

 

寅さんの妹・さくらという役をずっと演じ続けてきた倍賞千恵子。

彼女にとっても、こんなに長期にわたるシリーズになるとは、思いもしなかったであろう。

まさに、さくらという役柄を通して倍賞千恵子の映画人生の背骨になるような偉大な作品群である。

 

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