倍賞千恵子の映画 シリーズ第46作 「男はつらいよ 寅次郎の縁談」 マドンナは、松坂慶子! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「男はつらいよ 寅次郎の縁談」

 

 

「男はつらいよ 寅次郎の縁談」予告編

 

1993年12月25日公開。

マドンナは、松坂慶子(2回目)。

 男はつらいよシリーズ第46作。

 

 

観客動員は216万2000人。

配給収入:15億7000万円。

 

 

脚本:山田洋次・朝間義隆

監督:山田洋次

出演者:

渥美清、松坂慶子、吉岡秀隆、城山美佳子、倍賞千恵子、前田吟、佐藤蛾次郎、光本幸子、三崎千恵子、下條正巳、西田敏行、島田正吾

 

 

あらすじ:

来年大学を卒業し、就職しなければならない満男(吉岡秀隆)は、不況の追い風を受けて採用試験に苦戦していた。

さくら(倍賞千恵子)と博(前田吟)は苛立つ満男をハラハラしながら見守るだけ。

そのうち、自分自身にも嫌気がさした満男は旅に出てしまうのだった。

ひさしぶりに葛飾に帰った寅は、事情を聞いて満男を連れ戻すことを安請け合い。

さっそく、瀬戸内海の小島・琴島へ出掛けた。

満男を見つけ出し、説教してみたものの、当の本人は看護婦の亜矢(城山美佳子)に恋してしまい、帰る気がないらしい。

寅はその晩、とりあえず、満男の居候先に泊まった。

そこに年老いた当主とその娘・洋子(松坂慶子)がいた。

洋子は絶世の美女で、神戸では料理屋もやっていたという。

しかし、不況のために借金を作ってしまい、それを返すために働き過ぎて体を壊し、この島に帰って来たのだった。

疲れ切った様子の洋子を、寅は一生懸命勇気づける。

洋子は寅の優しさに次第に惹かれていった。

ある日、洋子は満男に寅への気持ちを伝えた。

満男自身もまた亜矢から告白され、尻ごみしてしまう。

そして明け方、寅は洋子に置き手紙を残し、満男も就職するために東京へ帰るのだった。

 

 

コメント:

 

バブル崩壊による就職難が満男の背景にも示される。
この映画はやんわりと時代を映す。それは特にタコ社長の言動などが象徴するが、後半は満男の受験から就職に至るまでの経緯がそれを示す。
二度目のマドンナとなる松坂慶子だが、素晴らしいシーンがある。

借金まみれで何もかも失った松坂慶子扮する洋子が叔父(島田正吾)から財産を渡されるシーンの向こうで祭りの行進が聞こえる。

感極まって泣き崩れる洋子と背景の行進の明るいメロディが折り重なって実に見事な構図を生み出している。


渥美清の体調のすぐれない中だが、ほかの役者陣のフォローもあって明るく描かれてはいるものの、何か物寂しい雰囲気が漂う。

しかしよくよく思い起こせば寅さんの明るさにはどこか寂しさも浮遊している。

寂しさには様々な要素が混ざっていて、そのひとつが冒頭の時代だろう。

 

時代がどんどん変わる。しかし寅次郎と柴又の情緒は変わらない。

変わらないものに誰もが懐かしさを覚える。

誰もが孤独化し、帰る故郷を失ってゆく寂しさ。
寅さんを追い続ける観客は誰もが寂しさを抱えていて、その期待に応じようとする作り手である山田洋次監督の心配り。

それは日本人として世代を超えてシンクロしているのだ。

 

本作では、さくらが源ちゃんに1回、1作目マドンナの光本幸子に2回、「御前様はお元気ですか?」と尋ねるシーンある。

だが、笠智衆が逝去された後の1作目なので当然姿は見せられず、源ちゃんと光本幸子に「山に行ってる」とか「とっても元気」とか言わせる。

これまた寂しい。
松竹映画らしく、くるまやの前を『釣りバカ日誌』の西田敏行が釣りしに行く格好で通るシーンがあり、笑える。
だんだんと、楽しさよりも寂しさが増してくる感じの寅さんシリーズ終盤の1作。

 

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