「アビエイター」
(原題:The Aviator)
2005年3月26日日本公開。
米国の大富豪・ハワード・ヒューズの半生を描いた伝記映画。
興行収入:$213,741,459。
受賞歴:
受賞:
- 第77回アカデミー賞:助演女優賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
- 第62回ゴールデングローブ賞:作品賞、主演男優賞、作曲賞
- 英国アカデミー賞:作品賞、助演女優賞、プロダクションデザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞
- 第30回ロサンゼルス映画批評家協会賞:美術賞
- 第10回放送映画批評家協会賞:監督賞、作曲賞
ノミネート:
- 第77回アカデミー賞:作品賞、主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、音響賞
- 第62回ゴールデングローブ賞:助演女優賞、監督賞、脚本賞
- 英国アカデミー賞:主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、作曲賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、音響賞、特殊視覚効果賞
- 第10回放送映画批評家協会賞:作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞
脚本:ジョン・ローガン
監督:マーティン・スコセッシ
キャスト:
- ハワード・ヒューズ - レオナルド・ディカプリオ
- キャサリン・ヘプバーン - ケイト・ブランシェット
- エヴァ・ガードナー - ケイト・ベッキンセイル
- オーウェン・ブリュースター上院議員 - アラン・アルダ
- ホアン・トリップ(パンナム社長) - アレック・ボールドウィン
- フィッツ教授 - イアン・ホルム
- エロール・フリン - ジュード・ロウ
- ジョニー・メイヤー - アダム・スコット
- フェイス・ドマーグ - ケリー・ガーナー
あらすじ:
1927年、21歳の青年ハワード・ヒューズ(レオナルド・ディカプリオ)は、ハリウッドへ単身飛び込み、父の遺産をすべて注ぎ込んで航空アクション映画「地獄の天使」の製作に着手。
30年にそれが完成すると、彼は一躍ハリウッド・セレブリティの仲間入りを果たす。
まもなくハワードは、人気女優のキャサリン・ヘップバーン(ケイト・ブランシェット)と恋に落ちる。
一方で、たくさんの話題の映画を世に送り出し、また飛行機会社を設立して、自ら操縦桿を握ってスピード記録を次々と更新。
人生の絶頂期を謳歌するかに見えたハワードだったが、夢にのめり込み過ぎた結果、やがてキャサリンと破局。
ハワードは次なる恋の相手に15歳の新人女優フェイス・ドマーグ(ケリー・ガーナー)を選んだが、ハリウッド一の美女と讃えられるエヴァ・ガードナー(ケイト・ベッキンセール)との仲に彼女が嫉妬し、ゴシップ誌の餌食となる。
そして自らデザインした偵察機のテスト飛行を行なったハワードは、墜落して炎上する大事故を起こす。
奇跡的に一命を取り止めたものの、米空軍との契約を打ち切られた開発中の巨大飛行艇、ハーキュリーズについてFBIの強制捜査が入り、精神に異常を来していく。
それでも裁判を乗り切った彼は、ハーキュリーズの完成に向けて力を注ぐ。
そして47年、いよいよハーキュリーズのテスト飛行。
結局これ一回限りとなる飛行を敢行し、ハワードは幼い日の自分のことを思い出すのだった。
コメント:
実在した大富豪ハワード・ヒューズの半生をスコセッシが映画化。
生涯のほとんどを映画と飛行機に没頭したヒューズにスポットライトを浴びせたものだ。
映画作りと大金持ちになる夢を叶えたヒューズは確かに凄い。
米国という国のエネルギーを感じさせる作品だ。
原題の「The Aviator」とは、本来は「飛行機乗り」という意味。
飛行機に乗ることだけでなく、飛行機を作り、飛行機ビジネスで成功する者という意味も込められている。
さらには、映画ビジネスや恋の成就に向けての飛行機乗りのような飛翔するハワードの心の高まりも含まれるのでは。
ディカプリオが演じる、精神錯乱したヒューズの姿が印象深い。
強迫神経症に苦しむヒューズ役のL.ディカプリオの演技はなかなかのもの。
映画を撮ったり飛行機を作っているときとは正反対の、切迫した表情から彼の苦悩が伝わってくる。
この作品あたりから、ディカプリオの表情が大分変化してきているようだ。
監督のスコセッシの演技指導にも影響されたのだろうが、眉間に深いしわを寄せて、いかついイメージを創り出している。
「レオ様」と呼ばれた、ハンサムで優しいイメージの顔つきの映像が、後半になるにつれて無くなってきている。
ヒューズは、映画製作と航空機事業で大成功し、大富豪となりながら、後半生は強迫性障害で引き込もり、凄惨な死を遂げた。
ストーリーは映画製作シーンから始まる。
パイロットとしても数々の記録を打ち立て、事業家としても強引に成功していく。
映画界、航空業界、さらには政財界の裏面を描く重層的な面白さを見せつける。
天才的な発想と破天荒で強引な手法が新時代を切り開いていく。
終盤の公聴会での攻防が痛快。
しかし、一方で彼には神経障害があった。
天才に潜む狂気が彼を蝕んでいく。
この辺りの描写のせいで、痛快味より悲愴感が強くなっている。
その後の悲惨な晩年を省略して、絶頂期で映画は終わって余韻を残すエンディングとなっている。
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