「ハサミ男」
2005年3月19日公開。
メフィスト賞受賞の殊能将之のミステリーを映画化。
R-15指定。
原作:殊能将之「ハサミ男」
脚本:池田敏春、香川まさひと
監督:池田敏春
キャスト:
- 安永 - 豊川悦司
- 知夏 - 麻生久美子
- 堀之内 - 阿部寛
- 磯部 - 樋口浩二
- 日高 – 斎藤歩
- 樽宮由紀子 - 阪田瑞穂
あらすじ:
半年の間に二人の女子高生が殺される。
2件とも被害者の喉にハサミが深く刺されていたことから、マスコミは犯人を「ハサミ男」と命名。
ハサミ男は連続猟奇殺人犯として世間の耳目を集めていた。
連日報道されるTVのワイドショー。
今また、第三の死体が知夏(麻生久美子)と安永(豊川悦司)の前に転がっている。
ジョギング中の男・日高(斉藤歩)に見られてしまった。
“違う、これは私たちの凶行ではない―”。
二人は自らに捜査が及ぶ前に、この謎の“ハサミ男”を突き止めねばならない立場に追い込まれる。
所轄の目黒西署は色めきたった。
世間を騒がせる殺人鬼の第三の凶行が管内で発生したのだ。
暴走気味ながらも正義感の強い若手刑事・磯部(樋口浩二)は義憤にかられ、はやる気持ちを抑えきれない。
そんな彼が、本庁からやって来たキャリア組のサイコ・アナリスト・堀之内(阿部寛)の目に留まり、捜査の中枢に抜擢される。
自殺癖があり未遂を繰り返す知夏と、何故かそれを優しく見守るだけの安永の二人も、なかなか“ハサミ男”に到達できない。
警察も三つの事件の共通点さえ掴みかねている。
しかし、謎を抱えたまま、両者の距離は次第に狭まってゆくのだった。
そして、複雑に絡み合いながらその真相を現わさなかった事件は、ある些細な出来事をきっかけに白日のもとに晒されるのだった。
コメント:
原作は、殊能将之のデビュー作「ハサミ男」。
1999年に第13回メフィスト賞を受賞し、同年の宝島社「このミステリーがすごい!」の第9位にランクインした。
映像化不可能と言われていた殊能将之の原作を、鬼才・池田敏春監督が大胆なトリックで完全映画化したサイコサスペンス・ミステリー!
ちょっとひねった趣向のサイコサスペンスで、派手さは無くてもやり方ひとつで面白くなるという一例。
トヨエツの薄気味悪い存在感と麻生久美子の渾身のゲロ演技で妙な説得力がある異色作。
麻生久美子という女優は、出演する映画毎に雰囲気・印象が全く違うタイプの女性を演じられる人だ。
上手に切り分けが出来る素晴らしい役者である。
美しい美少女ばかりを狙った連続殺人…。
凶器は鋭利なハサミで喉を一突き!
マスコミは犯人に“ハサミ男”というあだ名をつけて騒いでいた。
次の獲物を物色中の“ハサミ男”は…自分の事件を真似た犯行に遭遇。
誰もが、“ハサミ男”の新たなる犯行だと勘違いしているが…その事件の犯人は別にいるのだ。
という、意外な展開がミソになっているこの作品。
怪しい題名に、怪しいバックミュージック、怪しくもセクシーないい男(トヨエツ)、怪しくもはかなげな女性(麻生久美子)の取り合わせが実にいい。
このストーリー展開と、トヨエツの気味悪さ、麻生久美子のぶっ飛んだ演技を堪能するためには、絶対ネタバレすべきでない。
見どころとヒントをピックアップすると:
・R-15指定
・人格破壊か、多重人格か(?)
・一人二役か、二人一役か(?)
とにかく、豊川悦司という俳優が、まさに怪優であることを証明している貴重な作品だ。
そして、ヒロインを演じる麻生久美子。
自殺を試みて何度も苦しみ悶えるのだが、まだどこか幼さを残している感じで、おまけにほとんどすっぴんぽいのに、妙にエロチックだ。
これぞ、麻生久美子ワールド。
この人は、映画『カンゾー先生』のオーディションを受けたところ合格し、出演が決定し、デビュー。
そして、無名女優から一気に日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得してしまった天才女優だ。
デビュー作から全裸に近いすばらしい肢体を披露していた。
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