岡田茉莉子の映画 「不信のとき」 有吉佐和子原作 田宮二郎主演! 岡田茉莉子と若尾文子との対決! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「不信のとき」

 

 

「不信のとき」 プレビュー (酔った岡田茉莉子)

 

1968年6月29日公開。

有吉佐和子の同名小説の映画化。

男の甲斐性が墓穴を掘るみじめな男の悲喜劇。 

 

 

脚本:井手俊郎

監督:今井正

出演者:

田宮二郎、若尾文子、岡田茉莉子、加賀まりこ、岸田今日子、三島雅夫、永井智雄、目黒幸子、菅井きん、笠原玲子

 

 

あらすじ:

ある商事会社の宣伝部員・浅井(田宮二郎)は、子供がないこと以外なんの不満もない生活を送っていた。

だが、結婚生活も十年、何か新しい刺激を求めていた。

そんなある日、浅井は、取引先の印刷会社の小柳社長(三島雅夫)に誘われて、バー“ジョルダン”に行った。

そこのホステス・マチ子(若尾文子)の、洗練された着物の趣味は、デザイナー浅井の心をつかむのに十分だった。

店がはねて、マチ子をアパートに送った浅井は、激情のおもむくまま、彼女を抱いた。

一方、小柳社長もヌードスタジオの少女マユミに(加賀まりこ)惹かれ、老いらくのアバンチュールを楽しんでいた。

そんなある晩、浅井は小柳の招待で、妻・道子(岡田茉莉子)を伴い、料亭からクラブへと足をのばした。

道子は書家としてその名を知られていたが、浅井から見れば、所詮古典的なイメージの強い女性だった。

だが、あでやかに振舞う道子は、浅井に新鮮な印象を吹き込んだ。

やがて、浅井は宣伝部長に昇格し、日頃「あなたの子供を産みたい」と言っていたマチ子は、清水市の病院で女児を出産した。

浅井は子供が生まれた文化の日にちなんで文子と命名した。

ところが、浅井が清水から帰ると、今度は道子が妊娠したと言いだした。

妻には子供ができないと信じていた浅井にはショックだった。

同じ頃、小柳はマユミが自分の子供を出産してくれたと有頂天になっていた。

初夏になり、文子を連れだってマチ子が上京した。

だが、二人の関係は以前のようにしっくり行かなかった。

やがて、道子も予定通り出産した。

マチ子はそれを知ると子供を預け、再び働きに出るようになった。

それから一年半が過ぎた。

道子の書が日展に入選したという喜びの直後、浅井は急性盲腸炎で倒れ手術をした。

そんなある日、文子を連れて見舞いに訪れたマチ子は、道子と鉢合わせしてしまう。

道子はその場で、マチ子の産んだ子が浅井のものではないと言い張り、マチ子は手切金三百万円を要求した。

退院の日、浅井は道子から意外な言葉を聞いた。

自分の子と思っていた義道が、実は人工受精によって授かったというのだ。

動揺した浅井はマチ子を訪れ詰問した、

取り乱したマチ子は浅井の上司に、二人の関係を暴露した。

途方に暮れた浅井は、小柳に相談したが、彼はマユミに逃げられた直後とあって、役に立たなかった。

結局浅井は、上司中西常務の仲介で二百万円でマチ子との関係を絶った。

それから間もなく、浅井はデパートで、関係浅からぬ人妻・千鶴子(岸田今日子)に会った。

そこで彼女から、今連れている子供が浅井のだと言われて、浅井は自嘲的な笑いを禁じ得なかった。

 

 

コメント:

 

原作・有吉佐和子の味わい深い作品を見事に映画化。

こういう映画を社会派の巨匠・今井正が監督しているのは珍しい。

妻と愛人との修羅場を描くのは、社会派映画ではないと思うが。

 

前年公開の「妻二人」に続く若尾文子VS岡田茉莉子の再戦。

岡田茉莉子が妻で、若尾文子が愛人と、攻守ところを入れ替えての対決シーンは本作最大の見せ場である。

 

若尾文子の歯切れの良い啖呵と、岡田茉莉子のおっとりとしてはいるが嫌味を効かせた口調の組み合わせの妙が何とも言えない。

お調子者のハンサム夫である田宮二郎が両手に華で上手くやっていると思っていたら、実は二人の女どころか、過去の愛人である岸田今日子も入れると3人の女に、いいようにあしらわれていたという落ちは、笑えない喜劇。

ラストシーンの田宮二郎の自分の馬鹿さ加減に呆れた諦め笑いは何とも厳しい。

 

 

一対一の本妻vs愛人のなじり合いのシーンは静かながらコワイ。

若尾文子の名演もさすが。

やはりこういうキャスティングだと、若尾文子の演技力が一番生きてきて、拍手喝さいという感じになる。

この人は何をやらせても出来てしまうが、日陰者というポジションが最も輝くのだ。

「妻二人」よりもこっちが向いているのではないだろうか。

 

昭和の懐かしい風景や風俗が沢山出て来て楽しい。
言葉遣いや出前、くさやを焼くシーン。

田宮二郎が買ってくる「くさや」は、郷愁をさそう。
巨匠・今井正の映画は格調が高い。

安心してじっくり観られる。

不倫にまつわるサスペンス系と思いきや、何と人工受精への警鐘、低堕落男の生き方、深謀女の怖さ等をコメディタッチをからめた作品になっている。
主演の田宮二郎を挟んで、若尾文子と岡田茉莉子が対決。

田宮演じる浅井義雄は、個室ヌード部屋での表情からすると女遊びは意外にうぶだ。

だから、若尾文子演じる米倉マチ子の誘惑にたやすく、引っ掛かるのだ。

だが、あんな綺麗な女性なら男は皆、餌食となるかも。


ピークはやはり、病院での鉢合わせ。

若尾こと米倉マチ子VS岡田茉莉子こと浅井道子の、マチ子の部屋での、暴露合戦が見ものだ。

 

 

この映画は、TSUTAYAで購入可能: