現在、日本のミステリー小説界でダントツの人気を誇っている東野圭吾の映画を、一つずつレビューして行きます。
まずは、第1作から:
「秘密」
1999年9月25日公開。
99年度日本推理作家協会賞を受賞した東野圭吾の同名小説を映画化。
配給収入:6億円。
原作:東野圭吾「秘密」
脚本:斉藤ひろし
監督:滝田洋二郎
キャスト:
- 杉田藻奈美・直子 - 広末涼子
- 杉田平介 - 小林薫
- 梶川文也 - 金子賢
- 相馬春樹 - 伊藤英明
- 吉本和子 - 柴田理恵
- 木島 - 徳井優
- 亀田 - 広岡由里子
- 弁護士 - 斉藤暁
- 医師 - 並樹史朗
- 寿司屋の主人 - 螢雪次朗
- 小田島(高校時代の同級生) - 内山信二
- 富雄 - 冷泉公裕
- 容子(直子の姉) - 橘雪子
- TV局報道記者 - 柴田秀一
- 友紀 - 浅見れいな
- 梶川幸広 - 大杉漣
- 大学教員 - 東野圭吾
- 藤崎(バス事故・被害者の父) - 國村隼
- 三郎(直子の父) - 山谷初男
- 木村邦子 - 篠原ともえ
- 橋本多恵子 - 石田ゆり子
- 杉田直子(入れ替わり前まで) - 岸本加世子
あらすじ:
スキーバスの転落事故で、病院に運ばれた杉田平介(小林薫)の妻・直子(岸本加世子)と高校生の娘・藻奈美(広末涼子)。
直子は息を引き取るが、意識不明だった藻奈美は一命を取りとめる。
ところが、意識が戻った藻奈美の体には直子の人格が宿っていたのである。
戸惑いながらも、世間的には父と娘として暮らすことになる平介と直子。
だが、17歳の体になった直子はいきいきと若さを満喫する一方、平介は疎外感を感じるばかりか、医大に入学した直子の周りに恋の噂もあって気が気じゃない。
そんなふたりの気持ちは、次第にすれ違うようになっていく。
しかし、お互いの愛を確かめようにも平介は娘の体をした直子を抱くことは出来ないのだ。
ある日、平介は事故を起こしたバスの運転手・梶川(大杉漣)の息子・文也(金子賢)から、父親が家族の生活の為に過剰労働して事故を起こしてしまったことを聞かされる。
家族の幸せが自分の幸せだと語っていた梶川の言葉に、平介は直子が藻奈美として生きていくことが彼女の幸せなのではないかと思うようになる。
そんな折、藻奈美の人格が現れ出したのである。
娘が戻ってきたと喜ぶ平介だが、同時にそれは直子の人格が消えることを意味していた。
そして、複雑な想いの平介に運命の日はやってきた。
平介と直子は、初めてデートした岬の公園で永遠の別れをする----。
それから数カ月後。花嫁の父である平介は、藻奈美を文也に嫁がせようとしていた。
ところが、彼は自分の喉元を触って髭の剃り残しを確かめる直子の癖から、実は藻奈美の人格は直子のままであったことに気づいてしまう。
だが、彼女の幸せを考えた平介は、彼女を娘として送り出してやるのだった。
コメント:
原作は、東野圭吾の同名小説である。文藝春秋より1998年9月に刊行された。
死んだ妻の人格を宿した娘と、彼女と夫婦生活を送ることになった中年男の愛の行方を描いたドラマ。
妻の魂がなんと生き残った娘の体に入り込むという奇想天外な展開になるコメディ風ミステリー。
当時18歳の溌剌とした広末涼子が、眩しい。
岬の夫婦別れのシーンと、ラストシーンの広末の40秒間のアップがとっても綺麗で記憶に残る名シーン。
本当にこの頃の広末は、抜群に可愛いかった。
事故に遭った母娘のうち、母・直子(岸本加世子)は死に、娘・藻奈美(広末涼子)は生きながらえた。
しかし、娘は母の人格と入れ替わり、記憶もそのままだったというお話。
夫で有り、父親である平介(小林薫)は戸惑うが事実を受け入れ暮らしている。
一人が二人の人格、しかも妻と娘というありえないシチュエーション。
ホラーではなく、明るいコメディになっている。
壮絶な人生を描いた作風が多い東野圭吾の作品の中で、こういうファンタジー風なものもあるのだ。
広末が岸本風の演技で母親役をこなしたり、小林が妻への思いと、娘への思いを心で葛藤しながら暮らす演技はすばらしい。
ストーリー的にも良くできており、東野圭吾に拍手を送りたい。
この映画が世に出て、いよいよ東野圭吾という作家が、一世風靡してゆく。
現在のミステリー業界で、間違いなく第一人者として認められているこの作家の創造力と文筆力は飛び抜けている。
現時点での映画化作品は、以下の通り:
- 秘密(1999年9月25日、配給:東宝、監督:滝田洋二郎、主演:広末涼子)
- g@me.(2003年11月8日、配給:東宝、監督:井坂聡、主演:藤木直人、原作:ゲームの名は誘拐)
- レイクサイド マーダーケース(2005年1月22日、配給:東宝、監督:青山真治、主演:役所広司、原作:レイクサイド)
- 変身(2005年11月19日、配給:日本出版販売、監督:佐野智樹、主演:玉木宏)
- 手紙(2006年11月3日、配給:ギャガ・コミュニケーションズ、監督:生野慈朗、主演:山田孝之)
- 秘密 THE SECRET(2007年、フランス映画、監督:ヴァンサン・ペレーズ、主演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、原作:秘密)
- 容疑者Xの献身(2008年10月4日、配給:東宝、監督:西谷弘、主演:福山雅治)
- さまよう刃(2009年10月10日、配給:東映、監督:益子昌一、主演:寺尾聰)
- 백야행 - 하얀 어둠 속을 걷다(白夜行-白い闇を歩く)(2009年11月19日、韓国映画、監督:パク・シヌ、主演:ハン・ソッキュ、原作:白夜行)
- 白夜行(2011年1月29日、配給:ギャガ・コミュニケーションズ、監督:深川栄洋、主演:堀北真希)
- 夜明けの街で(2011年10月8日、配給:角川映画、監督:若松節朗、主演:岸谷五朗)
- 麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜(2012年1月28日、配給:東宝、監督:土井裕泰、主演:阿部寛、原作:麒麟の翼)
- 용의자X(容疑者X)(2012年10月18日、韓国映画、監督:パン・ウンジン、主演:リュ・スンボム、原作:容疑者Xの献身)
- プラチナデータ(2013年3月16日、配給:東宝、監督:大友啓史、主演:二宮和也)
- 真夏の方程式(2013年6月29日、配給:東宝、監督:西谷弘、主演:福山雅治)
- 방황하는 칼날(さまよう刃)(2014年4月10日、韓国映画、監督:イ・ジョンホ、主演:チョン・ジェヨン、原作:さまよう刃)
- 天空の蜂(2015年9月12日、配給:松竹、監督:堤幸彦、主演:江口洋介)
- 疾風ロンド(2016年11月26日、配給:東映、監督:吉田照幸、主演:阿部寛)
- ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年9月23日、配給:KADOKAWA / 松竹、監督:廣木隆一、主演:山田涼介)
- 解忧杂货店(2014年4月10日、中国映画、監督:韓傑、主演:王俊凱、原作:ナミヤ雑貨店の奇蹟)
- 祈りの幕が下りる時(2018年1月27日、配給:東宝、監督:福澤克雄、主演:阿部寛)
- ラプラスの魔女(2018年5月4日、配給:東宝、監督:三池崇史、主演:櫻井翔)
- 人魚の眠る家(2018年11月16日、配給:松竹、監督:堤幸彦、主演:篠原涼子)
- マスカレード・ホテル(2019年1月18日、配給:東宝、監督:鈴木雅之、主演:木村拓哉)
- パラレルワールド・ラブストーリー(2019年5月31日公開、配給:松竹、監督:森義隆、主演:玉森裕太)
- マスカレード・ナイト(2021年9月17日、配給:東宝、監督:鈴木雅之、主演:木村拓哉)
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