松本清張の映画 「球形の荒野」 島田陽子と芦田伸介が戦争を経て再会するファミリー・ミステリー! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「球形の荒野」

 

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1975年6月7日公開。

第二次大戦中に欧州で亡くなったはずの父をめぐるミステリー作品。

 

原作:松本清張「球形の荒野」

脚本:貞永方久、星川清司

監督:貞永方久

 

キャスト:

  • 芦田伸介(野上顕一郎)
  • 乙羽信子(野上孝子)
  • 島田陽子(野上久美子)
  • 竹脇無我(添田彰一)
  • 山形勲(滝良精)
  • 岡田英次(村尾芳正)
  • 藤岡琢也(伊東忠介)
  • 笠智衆(福竜寺住職)
  • 大滝秀治(岡野)

 

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あらすじ:

昭和三十六年、初夏。関西での取材を終えた新聞記者添田は、大和路で婚約者の野上久美子と合流した。

大和路は久美子の亡き父・野上顕一郎がこよなく愛した処であり、彼女は亡父に自分の第二の人生の出発を告げに来ていた。

ところが、唐招提寺の拝観者芳名帳の中に、亡き父にそっくりの、中国の古人・米帯の書に習った筆跡を発見した。

翌日、久美子は添田を伴って筆跡の確認に向かうが、その部分だけが破りとられていた。

二人は帰京すると、久美子の母・孝子にこの事を話すが、とりあってくれない。

しかし、添田は何となく判然としなかった。

久美子の父・顕一郎は、第二次大戦末期、ヨーロッパの某中立国公使館で、一等書記官を務めていたが、終戦一年前、任地で病のため客死した、と当時の正式な公電によって伝えられている。

添田は、当時野上の部下で、現在外務省欧亜局課長の村尾、当時現地の特派員で公使館に出入りしていた滝に会ったが、不思議に二人とも反応は冷淡だった。

添田が、ますます野上の死に疑問を持った頃、久美子の周辺に奇妙な出来事が続いた。

名も用件も告げない電話や、商品が届けられるのだ。

元公使館付軍人、伊東が訪問したのもこの頃だった。

ある日、久美子と孝子は何者かに歌舞伎座に招待された。

添田も内緒で二人の後に歌舞伎座に入ると、そこには村尾、滝、伊東も来ていた。

この不思議なめぐりあわせに、添田は久美子の父が生きて、この日本に来ている事を確信した……。

長崎。

天主堂の見える墓地にひとりの男が佇んでいる。

ロベール・ヴァンネード--野上顕一郎である。

必死の調査によってヴァンネードが野上である事を知った添田も長崎へやって来た。

だが、野上は京都へ発った後だった。

京都。野上は滝と当時を回顧していた。野上は、戦争末期、国を捨て、妻子を捨て、日本人である事を喪失してまでも日本を破滅の淵から救うために連合国側と接触した。

こうした和平工作を、野上を、伊東たち軍人が憎しみぬいていた。突然、二人に村尾から電話がかかり、当時公使館付書記生で、久美子に会わせるべく野上を日本に呼んだ内田が殺されたと知らされた。

犯人は伊東に違いなかった。

やがて、野上は伊東に呼び出された。

だが、約束の時間に伊東は姿を見せなかった。

翌日の新聞に、伊東が自殺した事を報道していた……。

村尾、滝から野上の行方を聞き出した添田は、久美子に会いに行くように言った。

だが、久美子は会いたいと思いながらも、自分たちを捨てた父を許すことができなかった。

観音崎。

岩にくだける白いしぶきを見つめている久美子に、東洋的な顔だちをした白髪の紳士が近づいた。「海がお好きですか」「はい……あなたも?」まじろぎもしないで紳士を見ている久美子。

久美子は、全身で“父”の存在を感じていた。

 

奈良にゆかりの映画「球形の荒野」(ならにゆかりのえいが「きゅうけいの

 

コメント:

 

原作は、松本清張の同名長編推理小説。

『オール讀物』に連載(1960年1月号 - 1961年12月号)、1962年1月に文藝春秋新社から刊行された。

第二次大戦末期、日本を破滅の淵から救うため、祖国、妻子を捨てた男が、十七年ぶりに帰郷した事から発生する殺人事件、揺れ動く父と娘の心情をミステリアスに描いた作品。

 

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時代は昭和36年。

新聞記者の添田(竹脇無我)は婚約者の久美子(島田陽子)と結婚間近だ。

久美子の父・野上(芦田伸介)は戦時中に病死したと伝えられており、現在は母(野上の妻)の孝子(乙羽信子)と二人暮らしでである。
 

ところが最近、野上が生きている事を匂わす出来事が連続し、ブンヤ魂疼く添田は、当時の野上の部下であつた村尾(岡田英次)や滝(山形勲)と接触するが収穫は無い。

しかし名を名乗らぬ誰かが久美子と孝子を歌舞伎に招待、そこに野上がいると云うのだ。

実は野上は当時、極秘に終戦工作に奔走していて、その為に家族も国も棄てたという。

フランス国籍を取得し、ヴァンネードなどと名乗り、仏人の妻もいた。

野上を売国奴と憎む元軍人・伊東(藤岡琢也)が電話の主のようだ。

彼は野上を呼び出すが、野上が会う前に伊東は何者かに殺されていた......

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アヴァンタイトルで日本が関わった太平洋戦争の歴史が述べられる。

ナレーションは田宮二郎。

その戦争末期の1944(昭和19)年、敗戦必至の日本の傷を少しでも浅くするために、水面下で連合国軍と接触していた人物として芦田伸介がカタコトのフランス語ともども奮闘している。

第二次大戦下に隠された秘話として父の存在をさがすミステリー作品である。

実の娘・久美子を島田陽子が演じているが、実に美しい。

これこそ大和なでしこである。

芦田伸介が演じる実父の野上の存在感がまたグッとくる。

 

こういうファミリーミステリー作品は、松本清張ものでは珍しい。

 

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