岡田茉莉子の映画 「顔」  松本清張原作! このサスペンスのヒロインにピッタリの岡田茉莉子! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「顔」

 

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「顔」 オープニング

 

1957年1月22日公開。

松本清張原作の初映画化作品。

 

原作:松本清張「顔」

脚本:井手雅人・瀬川昌治

監督:大曽根辰夫

 

顔 1957年 松竹 - 日本映画1920-1960年代の備忘録

 

キャスト:

  • 岡田茉莉子(水原秋子)
  • 大木実(石岡三郎)
  • 笠智衆(長谷川刑事)
  • 森美樹(江波彰)
  • 宮城千賀子(三村容子)
  • 佐竹明夫(小島刑事)
  • 松本克平(石渡部長刑事)
  • 千石規子(久子)
  • 小沢栄(加倉井)
  • 山内明(飯島哲次)
  • 細川俊夫(牧野)
  • 内田良平(前田記者)
  • 永田靖(医者)

 

 

あらすじ:

東海道線の小駅の近くで夜行列車から一人の男が転落、付近の病院で間もなく絶命した。

東京への照会で、男は飯島(山内明)といい、無免許で堕胎をしていたと判った。

警察はこの事件を軽く見たが長谷川刑事(笠智衆)は何かあると確信した。

果してその夜、病院の死体置場に贈主不明の花束が届いた。

ここに警察も知らぬ水原秋子(岡田茉莉子)という贈主がいた。

彼女は元、安酒場で働いていたが、ふとしたことでファッション・モデルの幸運を掴みこれを手放すまいと懸命になっていた。

この秋子には、二人の男がいた。

一人はプロ野球二軍選手の江波(森美樹)。

秋子は彼と結婚しようとしていたが、これを阻むもう一人が、死んだ飯島であった。

飯島は酒場時代の秋子の古傷にふれ彼女を苦しめていた。

この悪縁を清算せぬ限り秋子は幸福を掴めそうもない。

たまたま、秋子の大阪でのショーの帰りを追って飯島が夜行列車に乗った。

洗面所で秋子と口論、もみ合ううち飯島は列車から落ちた。

帰京した秋子は江波との生活設計を進めたが、長谷川刑事らの捜査も進み、事件の目撃者・石岡三郎(大木実)を見つけた。

石岡は洗面所で秋子の顔を見たという。

その新聞記事を見て秋子は遂にモデルをやめ江波と田舎に帰ろうと決心した。

ところが秋子の最後のショーに長谷川刑事が石岡を連れて飯島殺し犯人の首実検に来た。

驚く秋子。

しかし石岡は犯人はいないと刑事に告げた。

止むなく警察は石岡を尾行したが見事にマカれた。

その頃、秋子のアパートでは江波が田舎へ行くため荷造りをしていた。

そこへ現れたのが石岡。

秋子がいないと分って去るが、表で帰って来た秋子に会った。

石岡は秋子と旅館に連込み脅迫したが、そこを出たとたんトラックに轢かれて死んだ。

だが秋子がアパートに戻ると、江波は石岡との関係を難詰し、別れると言い出した。

秋子は、呆然として外に出た。

長谷川刑事らはようやく飯島殺し犯人として秋子を突き止めた。

夜の銀座をさまよう秋子。

それをパトロールカーのサイレンの音が、けたたましく追っていた。

 

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コメント:

 

この物語の舞台は華やかなファッションモデルの世界。

そこで成功を収めたいがために、ありとあらゆる女の武器を使って出世しようとする女の話。

トップモデルの座を射止めるためには手段を選ばない。

 

根っこにあるのは、いかにも清張モノらしい「貧乏」ゆえの犯罪だ。

貧しさゆえにつらい思いをしてきた女の幼少時代、なんとしてでも成功して華やかな世界で見返してやりたい。

それには色とりどりのネオンサインが輝く「東京」こそが理想郷。

 

 

トップモデルの座を射止めようとライバルを貶めるところなどは、「サンセット大通り」のようだ。

岡田茉莉子が女の中にある二面性を「顔」で表現する。

もちろん主人公は岡田茉莉子だ。

 

田舎刑事を演じている笠智衆。

目撃者を大木実。

 

岡田に肩入れして、入れ知恵をつける“ごうつくばばあ”に千石規子。

岡田を手籠めにしようとする“スケベおやじ”を小沢栄太郎。

岡田にトップモデルの座を奪われる先輩モデルに宮城千賀子。

 

このあたりのキャスティングは絶妙だ。

 

銀座四丁目あたりをパトカーに乗って走っているシーンで、田舎刑事の笠智衆がぽつりと言う。

「東京には色のついた明かりが多すぎるよ。色のあるほうに値打ちがあると思ったのかな。この事件のみんな、東京の色のついた明かりのほうに賭けたのだ、命がけでね。悪い奴らだよ。だが、悪い奴ってのは、またかわいそうな連中でね。かわいそうな奴がこの霧の中をさまよっているんだね」

 

松本清張ミステリーが初めて映画化された記念すべき作品である。

冒頭のシーンがミステリーだという雰囲気を醸し出している。

東海道線を疾駆する夜行急行「銀河」。

三等車をうろつき誰かを探す男(山内明)。

座席はぎっしり満員状態。

夜行という事で、男も女も皆眠っている。

網棚は荷物だらけで、当時は鉄道が長距離移動の中心だった事が窺える。

 

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男は目指す女(岡田茉莉子)を見つけ、何やら詰問している。

二人が揉み合ううちに、男が扉から転落し、病院に運び込まれるも死亡。

そして、これを目撃していた男(大木実)がいたのだ。

この映画は、岡田茉莉子主演のサスペンスドラマである。

岡田が扮するこの女性・水原秋子は野心的な性格らしく、男たちを踏み台にしてゆく。

ああ、こういうサスペンス調はわくわくすなあと思わせてくれる展開だ。

 

安酒場で働いていた時代は、山内明が演じる闇の堕胎医と深い仲になり、堕胎の手術も手伝っていた。

そして彼女の新たなターゲットは、森美樹が扮する野球選手だ。

ファッションモデルの道が開けてくると、今度は加倉井(小沢栄)を利用する。

なかなかのしたたか女なのである。


一方、目撃者の大木実もロクな奴ではない。

警察での証言では、岡田茉莉子をかばう発言をし、恩を売つて弱みを握る。

こいつもけっこうなワルである。

美しくも謎があるヒロインを演じている岡田茉莉子こそ、こういうミステリー作品の主役にピッタリなのだ。
 

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